掃除と監視
溜息混じりに空を眺め、さてこの部屋を片付けていいものか思慮しているとドアがノックされた。
おいおいまさかもう患者が!?色々な意味で準備ができていないぞと身構えるも
「残念ながら診療はここで行うようにと、今からモノを準備したり警護体勢を変えるのは難しいそうです」
入ってきたのは悲報を持ってきてくれたエリーゼだった・・・
「あ・・・はい」
神官長はこの部屋の惨状を知っているのだろうか。むしろ知らずに言ってたら神殿の管理者は名乗ってはいけない気がする。ここは診察するような場所じゃない!
「あぁもうこうなったらどうせ怒られるのは決まってるようなもんだ、エリーゼさん新しいシーツとゴミ袋を持ってきてください。ゴミは全部聖女様の持ち物なのでうっかり捨てないようどこかに保管を。その責任を取れる人も連れてきてください」
「あぁぁ・・・はい。わかりました。これじゃー患者さん入れられないですもんね」
誰が見てもわかるゴミ部屋にエリーゼはため息交じりに了解し再びどこかへ向かう
どうせ勝手に神殿に向かった時点で怒られるのは目に見えている、ならもう部屋をどうこうして文句言われようが大差ないだろう。もちろん必要以上にぶーぶー言われないようしっかり責任者を巻き込む
結果・・・来たのは誰かというと
「やれやれ一息ついたと思ったというのに。それでこの部屋を片付けたいと?」
神官長自ら来てくださった。他にも責任者の一人もいたろうけど、聖女絡みということで全員上に上にと任せたのだろう。そこらへんのちょっとした役職持ちでは手に余るだろうから
「ごらんの通りこの部屋で治療なんぞしようものならむしろ病気を持ち帰らせる可能性すらあります。ですので片付けを。午後まであまり時間もありませんが適当に荷物を詰め込んで床掃除するくらいの時間ならあるでしょう」
幸い人手ならある。エリーゼさんに護衛二人。これだけいれば余裕だろう
特に三人ともひ弱な感じではなく、むしろ普通よりも体力はあるだろうし
「いいでしょう、では許可をしますのであまり神殿内を汚さないように。では」
そう言って出て行こうとする神官長を俺は肩を掴み止めた
「あれがないコレがない壊されたとか言われたら困るので神官長にはここで作業を監視しててもらいますよ?当たり前でしょう責任者様なのですから」
ちゃんと営業スマイルで笑いかける
こんなのでも責任者で使えるものなら使ってやる。こっちもこき使われるんだ、自分だけ何もなしでいられるわけがないだろう
何だったら俺はここを出て行ってもいいんだが!
ちらっと脅すように睨みつけると神官長も観念したらしい
「はぁ・・・では私は椅子に座って見ていますので。それでよろしいですな?」
もしかしたら色々とお疲れなのかもしれない、神官長は適当に持ってきた椅子に腰を落として溜息混じりに座る。
掃除が終わったら癒しの奇跡掛けてあげてもいいかもしれない・・・聖女がいるこの場所での管理職は色々と大変なのだろうから
なんせ部屋の掃除一つ命令できない神官長なのだから・・・
初作品となりますがいかがでしょうか?
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