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覚醒

自分には癒しの奇跡が使える、らしい。だがその肝心な使い方がわからない。

そのせいで今できるのがみんなと同じせっせと薬草汁を塗っては包帯を巻くことだけ・・・


身体の痛みを取ってあげたい、治してあげたいと整骨の道に入ったというのに、これはあんまりだろう。

向こうの世界を捨ててまで俺は一体何をしにここに来たんだ


傷が大きく、出血の止まらない患部に手を当て祈るように願う。治れ、治れと。そんなことをしても意味などないと分かっている、だがそれでも止められなかった。今目の前で死にそうな男性がいるのだから。

見ず知らず、なんなら世界すら違う相手だけれども、それでも死んで欲しいとは思わなかった。


「な、なぁ・・・あんた・・・見たことないヤツだが・・・ありがとうな・・・。必死に治療してくれて・・・」

震える声で彼が声をかけてくる、明らかに力がなくもう彼の時間が残り少ないのを告げていた。


「まだ治療は終わってない、礼を言うのは助かってからだ」

終わっていない、だけれどもこれ以上できることは・・・なかった。


「あぁ・・・そうだな。治ったら一緒に・・・酒でも・・・」

その後に続く言葉を彼が喋ることは無かった


「おい、しっかりしろよ!おい!!」

肩を揺らし、頬を叩いても彼はもう返事をしなかった。


奇跡の力、癒しの力くれたんだろう!そのために俺をこんなとこに呼んだんだろ、おい!

あの後光が差すヤツをこの時ほど恨んだことはなかった。こんな無力で残酷な仕打ちをするためにわざわざ俺を呼んだっていうのか?

だとしたら随分と悪趣味なヤツもいたもんだ。


真っ赤に染まった無力な両手をじっと見つめる・・・俺は本当何してるんだろうな。

必死に薬草積んで、ここまで来て・・・何ができたっていうんだ。


心が無力感に苛まれる中、俺の身体はまだやる気らしい。

両手から力が溢れてくる、それは次第に光まで出す始末


・・・あぁようやくなのか。なんでかはわからないけれど、これが癒しの奇跡というやつか


間に合うか、と冷たくなりだした彼に手を当てるも、傷は治っても失った命は戻らないらしい

心臓マッサージ、人工呼吸も考えたが・・・今がトリアージをしなければいけない場面、なんだろう。


両目から流れるものも無視して俺は患者のいる場所へと向かう。今にも死にそうな者を優先して

すまない、名も知らぬ人。申し訳ない・・・申し訳ない・・・







初作品となりますがいかがでしょうか?

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