状況整理
にらみ合いを先に止めた引いたのは意外にも聖女のほうだった。
「ふう、仕方ありません、ここは出直しましょう。確かにこれは女性を守るための法。そこの男に適応するわけにはいきませんから」
ありがたい書状を辺境伯の手から取るとくるくるっと手早く巻き取り聖女は来た馬車の中へ御者の手を取り乗り込む。出直すといったことからまた来るのは明白だろう。それも今度は準備を整えてから
騎士とともに去っていく聖女を見ながら俺はただただ不安でいっぱいだった。あんなのが居る王都とか絶対に行きたくない。これはもう逃げるしかない!そう決意を新たにした
「さて、なんだか面倒なことになりそうですが、まずはごはんにしましょう。皆さんまだ召し上がっていないでしょう?もちろん私もです。せっかくだから一緒に食べましょう聖人様」
「こちらとしても色々と言いたいこと聞きたいことはありますが、まずはそうしましょうか。お腹が減りましたので」
何とか無事に辺境伯と屋敷の中へと戻ることができた。辺境伯が来るまではこのまま王都に連行されるかと思ったが・・・とはいえこのままここに居れば連行待ったなしなのだが。
「で、シスターエリーゼさんや、貴女は聖女様一行と一緒しなくてよかったので?」
さらっと何事もなかったかのように屋敷の中についてきた彼女だが、彼女は辺境伯側ではなく王都聖女側の人間なのでは?スパイ的なのもバレてるのになぜにここに一緒にいるのだろうか
「行くわけがないでしょう、あんな事するような人たちと。いくつ命があっても足りませんよ!?」
そりゃそうだ、あんな捨て駒のように扱われて着いて行ったら狂信者としか言いようがない。
「では引き続き雇いますので王都や聖女様のこと教えていただけますか。どうするにも相手の出方を知りたいので」
辺境伯の言うことも最もだ、そしてここで首にせず雇い続けるのは冷静な判断でなかなかに強かな人物なのは改めて再認識する。
そして俺も色々と辺境伯に聞きたいのだが?あと今日の仕事は休んでいいだろうか
そんなこちらの要望など後回しだと言わんばかりにまずはエリーゼの話を食事をしながら聞くことに。
確かに彼女の情報は大事だけれどもっ!今日もパンとベーコンが美味しいな!
不満を抱いていますという表情を一切隠さず俺は辺境伯をにらみつつ朝食に舌鼓を打つ。あぁ美味い!
「といったところでしょうか。今頃聖女様は使いのモノを早馬で走らせていることでしょう」
「なるほど、それは困りましたね・・・」
二人の話を黙って聞いていると内容としてはこうだった。
聖女様はとりあえず早馬で王都の神官長に書状の内容では男を連れていけないことを報告しつつ
機会を見て聖人を拉致してそのまま連れ去るつもりだ、と
・・・ものすごい俺はピンチなのは気のせいだろうか。今からでも遅くない、隣国なりに行ったほうがいいのでは?
「戦力としてはこの辺境伯領問題ないのですが、いかんせん護衛となるとどうでしょうか。それに適したモノがどれだけいるか」
傭兵や騎士はたくさんこの辺境伯領にはいるが、問題は真正面から来ない相手の予想外のケースに柔軟に対応できるのか、ということにある。
拉致しようとする相手となれば正面玄関から入ってお邪魔しますとは来ないものだ。街中人混みに紛れて、夜の暗闇に紛れて。
そんな多様なケースに対応できる人材がどれだけいるのか
「一人は私がいます。見ての通り辺境伯領に潜り込み聖人様の隣に立つ程度の腕がありますので」
「まぁ尾行バレてターゲットの前にのこのこ出てきたけどなっ!?」
若干笑いながらバカにしたからだろうか、エリーゼの肘がこちらの脇腹を強打する
朝飯出てきたらどうしてくれるんだ。
「君一人ではまずいだろう、交代要員も不可欠だ。執事のトロンも護衛に回そう、彼も退役したとはいえ元は軍人だ。経験に勝るものも無いだろう」
部屋の隅に立っていたトロンが静かに頭を下げる。やっぱり只の執事やメイドはこの屋敷に居なかったんじゃ?
初作品となりますがいかがでしょうか?
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