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安ければ安いほどの価値

両者にらみ合う中、部屋のドアがノックされる。

控えめながら数回、礼儀正しいノックだ。緊急時ではないだろうしそれなりに身分がある人、な気がする。というかそうあってある意味では欲しいと思わなくもない。

だって面倒ごとな可能性もぼちぼちあるだろうから。


「・・・どうぞ」

お姉さんも誰か見当がつかないのだろう、不信がりながら入室を促す


「失礼、何やら面白い話を聞いてきてみたんだが、どうやら正解だったようだな?」

明らかに金のかかってる服を来た人が少し笑みを浮かべながら入ってきた。間違いない、面倒事だ!

俺の感と経験がそう語っている


「こ、これは辺境伯様!?なぜこのような所に」

いきなりの大物の登場にお姉さんが振り向き敬礼した。まさかお貴族様直々にこんなところに来るとは・・・


「何、近くを視察中に面白いヤツが取り調べを受けてると聞いてな。ちょっと覗きにきたのだよ。それで彼が例の聖人様か?」

「は、はい。ただその奇跡を見せるのを拒みあまつさえ帰ると言い出しまして」


礼儀を見せなければ首が飛びかねない世界ということもあり、俺はしぶしぶ辺境伯様に頭を下げる


「ほう見せるのを拒むか。理由を伺ってもよろしいか?」

お姉さんに聞くのが早いだろうに、とも思うが本人の口から語らせるのが一番正確ということもある。それで聞いてきたのか、それともこちらと話たかったかは分からないが、俺は正直に答えることにした


「無料で治療しろ、さもなければ通さないと言われたからです。見ての通大したものも持っていない身、治療をすることで生計を立てています。それをタダで治せでは私が飢え死にます。貴族相手でも平民相手でも今までタダで治療はしていません。こちらの方あるいはこの領地では治療では金銭をいただけないのでしょうか」


こちらの言い分に辺境伯様はなるほど、と頷き答えた

「では払おう、いかほどだ?それでこの問題は解決するのだろう」


その通り、金さえ払えばいいのだ。右腕だけ細くなるほど放っておいて、治してもらいたいと思っているのに金を払おうとしないお姉さんが悪い!というかタダどころかこちらの手間を考えればむしろマイナスなのをなぜ考えないのか。


「払えるだけ、払いたいと思う金額、そう私は指定しています」

俺の答えに辺境伯は笑い出した。失礼極まりない!と思うがまあ確かに笑ってしまう設定だとは思う。

ただなぁ明確にいくらと決めるのは難しいんだ。状態や整復の必要など色々だし診ないとわからないでは患者が来ないのだから。


「なら銅貨1枚でもいいわけか。それなら誰でも払えるな。尋問官、それくらい払ってやったらどうだ?」

「ま、まあそれくらいなら」

辺境伯に言われお姉さんが財布からごそごそとお金を取り出す。その姿を見て俺は正直がっかりだった。お姉さんにだけじゃない、辺境伯にもだ


「私は金額を指定しません、が。一つ忠告するならば、払った金額が治されたものの価値となるということです」

「どういうことです?」

こちらの忠告にお姉さんの手が止まった。そして辺境伯が目を細める


「お姉さんのその傷が治ることは銅貨1枚の価値、ということでよろしいですか?あるいはお姉さんという人物の価値が銅貨1枚あるいは大差ないということで」

もしここで頷くようであれば俺は迷わずここを去ることにしようと思っている。辺境伯とさらに国の出入り口を見張る者の価値がその程度であるならば、この辺境伯領地に住む者の価値などほぼ無いだろうから


だが・・・それは違ったようだ。お姉さんは財布の中に右手を突っ込み、中のお金を握れるだけ握ってテーブルに叩きつけたのだ。

「腕の、私の価値はこんなもんじゃ足りない!これだけ私の価値を証明できて!?」

あまり動かせない右手で思いっきり叩きつけたお金・・・やればできるじゃないか。

少しだけ俺はお姉さんを見直した。となれば話は早い、目の前に治すべき患者がいるんだ。速く治療を始めよう



初作品となりますがいかがでしょうか?

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