飯の出ない館
施術を終えたレティカ姫が眠りについて早4時間ほど経ったろうか・・・
俺は小汚い部屋に押し込められ昼飯ももらえないまま過ごしていた。
これ俺脱走してもいい気がするんだ。いくらなんでもな扱いだろう、治ってたとしてもモーロック子爵は俺を重用する気はさらさらないらしい
いやあんなおっさんに重用されても困るんだが。にしたってこの扱いはないだろう。こっそり部屋を出ようとしたら外から鍵でも掛けてるのか開かないときた
いい加減にしろよと空腹も相まって機嫌が悪くなってきたところでようやく俺は開放された。姫様がお目覚めらしい
ガチャっと明らかに鍵を開ける音をさせてドアが開く。ああやっぱり鍵かけてたか、一応建付けが悪くて開かない可能性もあるかと思っていたけどそんなことはないようだ
「出ろ、姫様がお目覚めだ。お前の治療が成功したか確認するために連れてこいとのことだ。失敗してたらその首は無いと思え」
目を吊り上げる騎士様・・・俺が一体何をしたというんだ。姫様に俺が施術する代わりのマネキン替わりにしただけじゃないか
その後しっかり整復もしたからむしろ身体の調子はいいはずなのに
「それで、もし治っていたらどうしてくれるので?無理やり連れてきて飯も出さず監禁して、相応のものは払ってくれるんでしょうね?」
「さあな払うのは俺じゃない」
それはそうだがその態度はいかがなものかと思うが。聖女が治せないもの治した相手とか少しは丁重に扱っても罰は当たらんだろうに。というか今後の身の振り考えたらそのほうが無難だと思うが、そういう意味では正直で裏表がない態度なのはいいことなの・・・かもしれない?
「モーロック子爵、レティカ姫様、男を連れて参りました」
騎士がノックを三回し来訪を告げると中から入るように声がする、たぶん俺以外のみんな飯食ってるんだよなー、きっとおいしいもん。
何も歓迎しろとは言わないが無理やり連れてきた以上飯くらい出してくれてもいいのにな
そんな愚痴を言いたいのを堪えながら、騎士の後に続いて部屋へと入った。
そこには笑顔の姫様と侍女様、それとモーロック子爵の姿が。不安には思ってなかったけど治療は成功したらしい。
「セイジ様、改めてお礼を。この通り、足が動くようになりました」
レティカ姫がベッドから足を卸し前後に振って動くことをアピールする。まだ歩くのは無理だが動くようにはちゃんとなってるようで何より。
「無事治療ができたようで何より。後のリハビリはホッカ様にお伝えしていますのでその様に。これで私の出番は終わりましたので出て行かせていただきます。このお屋敷にいては私が餓死しますので」
一度深く頭を下げ、俺はそのまま部屋を出ようとレティカ姫らに背を向けると
「モーロック子爵、貴方は私の恩人に食事も与えなかったのですか?無理やり連れてきただけでなく、そのような無礼まで。貴族と平民としてではなく、人として許されない行為ですよ」
レティカ姫の鋭い視線がモーロック子爵を貫いた
初作品となりますがいかがでしょうか?
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