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タダ働きはご免ですよ?

誰も喋らないこの空間で一番最初に口を開いたのはお貴族様だった。


「な、なぜだ。聞いた話ではお前はろくに金もないものすら癒したというではないか」

やっぱり金のことって結構広まるんだろうな、一応タダではないのだけれども


「なぜもなにも、強引に連れてこられて金の話もなく仕事しろと言われましても。下手なことをすれば首を飛ばされるでしょうし、それなら今ここでやらずに飛ばされるも同じでしょう」


セイジのその豪胆な姿勢に周りにいた騎士ですらおののく。貴族相手の姿勢はもちろん、自分の命を捨てることにすら恐れぬその姿勢に

もっとも、セイジからすれば命を捨てる気でいるわけではなかった。


強引にここに連れてきた理由はどうしてもその人を治したいからに他ならないだろう。そしてそんな身分の人が王都の聖女の治療を受けない、あるいは受けられない・・・それか受けて治らないから俺に話が回ってきたのだろう。

となれば無駄に殺すわけにはいかないだろう、藁にもすがりたい思いなのだろうから


なら黙って依頼してくるなり礼儀を尽くせばいいものを、この世界の貴族様は平民には頭を下げずとも正面から依頼もできないのか。なんとも不自由な身分だこと


「わ、わかった。お前のその無礼は目を瞑ろう。それに金についても払おう、ただしここで見聞きしたものを外部に漏らすことを禁ずる」

「わかりました、騎士様たちに連行されてからのことは全て忘れましょう。それではこのまま子爵領を出てもよろしいですか?」

「だからなぜだ!?金も払うと言っているだろう!」


貴族はあまり好きなれそうにないが、この子爵は面白いと思ってしまった。そのあたふたする姿はちょっとだけ面白い。


「もちろん患者については守秘義務があると思っているので言われずとも喋りませんが、そんなに外部に漏らしたくないのであれば私は知らないほうがいいでしょう」

「それはそうだがそれでも治る可能性があるのであれば治っていただきたいお方がいるのだ!頼むこの通りだ!」


深く頭を下げるお貴族様・・・最初からこの姿勢ができていれば双方気持ちよく仕事ができるだろうに

そう思えばため息の一つも出てしまう。


「それで、患者はどこですか」

セイジのその言葉にモーロック子爵は複雑な表情を浮かべ顔を上げる。さてあの顔の下には何を思っていたのか。


「こっちだ、着いてこい」

さっきの姿勢はどこへいったのか、再び威圧的な態度で案内をされつつ屋敷の奥の部屋へ通される。もちろん周りには逃走防止か騎士が囲んで


ゴホンと咳払い一つ、お貴族様は部屋をノックし声を掛ける

「クレア王女様、噂の男を連れて参りました」


どうやら俺が診る相手は王族らしい・・・今からでも遅くないから帰っていいだろうか、と悲痛な表情で隣の騎士様を見ると横に首を振られる。

どうやら帰ってもいいらしい





初作品となりますがいかがでしょうか?

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