感染拡大
懐かしきアインツ村へとたどり着いたセイジ。
幸いにしてこの村もボクスク村同様いつもと変わらぬ姿であった。
住民が畑を耕し牛を放牧させ、のどかとしか言いようがない、そんな風景が広がっていた。
ただ一つ違うのは村の端っこに馬車が珍しく一台止まっていたことだろうか
その馬車、セイジには少々見おぼえが
「おーいみんなー久しぶりにー」
セイジの声にみんなが反応し、セイジだと分かるやいなや走り寄ってくる。
『おぉーセイジ様じゃ!帰ってきなすった!朝も早くにさっさと出立された薄情もののセイジ様じゃ!』
怒ってるんだが嬉しそうなんだが複雑な声が入り混じるなかセイジはとりあえず歓迎され村人たちに囲まれていた。
その様子を少し離れエリーゼは見守る。
「もう人探しの貼り紙が届いたときは本当に心配したんだから!みんなして捜しに行こうかって話も出たんだからね」
「ああーあの時は西国に誘拐というか招致というか行ってたからね。一応この国を追放されたから留まることもできなかったし」
「追放って何したの!?」
「いやぁ悪いことしなくても人っていうのは裁かれるもんなんだな」
セイジの話を聞けば聞くほど村娘のレイラが心配と驚きに踊らされていく。
波乱万丈過ぎて聞いていて飽きないことだったろうが、セイジとしてはまずはこの村にきた目的を達成しなければならないので話を一旦切り上げることに
「実はこの辺境で流行り病が発生したらしいんだ。幸い辺境伯のとこはもう大丈夫なんだけどこっちはどうだい?」
セイジの言葉に村人は隣同士でお前は知ってるか?と声を掛け合うが、誰も流行り病のことなど知らなかった。やはり情報自体がストップしているのだろう
「特にみんな病気も怪我もなく過ごしてるよ。あ、村長が腰が痛いって言ってたからあとで診てあげて。でもそれくらいなんじゃ?」
レイラが周りの人と相談する中で出した結論は特に異常なし、であった。
だが、一人違う意見を出すものが
「いや、待ってくれ。ワシのとこに泊めてる商人なんだがどうにも顔色が悪いんだ。それが流行り病っていうことは?」
それは具合の悪い商人を自分の家に泊めていたご老人であった。
馬車はその商人のものだったらしい
「もしかしてその商人って・・・ルンボさん?」
「お、セイジ様ご存じでしたか。時折この村にも来てくれる商人さんです。どうにも先日着いてから具合が悪そうで、護衛の方含め狭いですが我が家にお泊り頂いています」
あの元気一杯なルンボさんが具合が悪い、と。それが流行り病であろうがなかろうと診て上げる必要があるだろう。
おじいさんに案内されるままセイジはエリーゼと共にその家に向かう。
だが・・・おそらくルンボさんは感染している。その証拠と言ってもいいようにこのご老人も感染しているのだから。
軽く肩に触れる次いでに診てみるとばっちり感染していたのでさらっと治療はしたものの
他の村人にも感染している可能性は低くない。
エリーゼさんにこそっと感染について囁くとがっくりとうな垂れるのは、おそらくまた服の煮沸消毒がいるからだろう。だから安い服で活動すればいいのに・・・とは言わない
きっとそれがエリーゼさんの気合の入れ方なのだろうから。
初作品となりますがいかがでしょうか?
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