最悪の事態よりも良いけれど
この世には嘘から出た誠、という言葉がある。
カインらが流した流行り病の噂、それは嘘であったのだが・・・それが今真実となって彼らがいた街や村を襲っていた
間の悪いことにディアナが王都へと帰ってからそれは発覚し、セイジ達が東の国マルボロン王国へと着いてからその話はセイジとエリーゼ、そして王女二人の耳に入ることに
「・・・なるほど。最悪の事態を想定して既に蔓延してるものと思い動いたのですがそれは回避できたようで何より。それでは申し訳ないのですが少しの間ドランテール王国との国境を封鎖して密入国されないよう警備を敷いてもらってもよろしいでしょうか」
「それは構わないが・・・それだけで良いのか?他にもっと・・・何かしなくても」
この世界の流行り病は相応に恐れられている。流行れば千や万人単位の犠牲者も覚悟しなければならないからだ。それは聖女を擁するドランテール王国でも同じ、まして聖女から見捨てられた国となれば青ざめる報告だったろう。
「まだこのマルボロン王国へは流行していないのでしたらすることがありませんので。強いて言うなら手洗いうがいしっかりしてね、としか。それと流行り病の病状から私が知ってるものと同じなら感染した人はどうにか隔離してほしいのですが全ての村や町にそれを管理できる人がいるのかどうか・・・」
場所があっても権力強制力がなければできないこと、しかもそれが全ての村や町ともなればできるかは怪しい。
「もし国境で感染してる疑いがある者が居れば隔離を、それと衣類は煮沸消毒させてください」
それだけ言い残りセイジとエリーゼは来た足でドランテール王国の国境へと走る。辺境伯領地で世話になったもの、子爵領地で世話になったものたちのために
「あのセイジ様、そんな流行り病が流行してる場所に突っ込んでいって大丈夫なのでしょうか」
護衛の騎士は不安で仕方ないのか顔色は優れない。それとは対照的にセイジとエリーゼの顔はけろっとしたものだった
「何を言うかと思い気や、病気で体調崩す前に治してあげるから気にせず馬車馬のごとく働いてくれ」
これ以上!?と安心なんだか不安なんだか分からない感情を抱きつつ騎士は二人の後を着いていく・・・
道中病人けが人はいないか、立ち寄る村や町で聞くも幸いにしてそのような者はおらず
元々戦争経験もありあまり交流の多くなかったことが幸いしたのか人の行き来も大してないからだろう、国境付近は普段と変わらぬ日々を送っていた
ただし、国境はそうではないらしい
セイジらが着くとそこには長蛇の列ができていた。ドランテール王国からマルボロン王国への平民がずらりと
流行り病から逃れるべく並んでいるのだろうが、国同士の事情からそう簡単には通行できない
さらにセイジらが持たされた指示書によってその入国は完全に今止められている
「この数をまずどうするか・・・診察すればたぶん数日はかかる上にどんどん増えそうなんだよね」
「放置していくしかないでしょう。おそらくですが元気な集団でしょうし、酷なことですが辺境伯に領地の入口を封鎖してもらいましょう。」
セイジ以上に冷静な判断をするエリーゼもまた、流行り病の恐ろしさを知っている人物。この場に押し寄せる百人以上よりも、後ろの国にいる大勢の方が数が多いのだ。どちらを助けるべきか、それは明らかだと
初作品となりますがいかがでしょうか?
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