王と王女と聖人と
セイジ含め各人がパタクタと忙しくしていく中、その手紙は届いた。
送り主はというと・・・シャルロッテ王女
一応は今セイジとエリーゼは西国バリテール王国に住んではいるのだが、南に東にと大移動を繰り返す日々は変わらず続いてるため、使者が手紙を持ってきてからさらに10日ほど経過してから受け取るという
「いやぁーお待たせして申し訳ありません。多忙につき中々帰ることもできず」
「早く読んで欲しいそうですので、帰宅して早々ですがお読みいただけますか?」
そう言い苛立ちを隠さない使者から手紙を受け取りエリーゼさんと読んでみることに・・・
その内容は・・・まあなんとなく予想できる内容で
「国外追放された私に国へ来いとはこれまた一体どういった話で?入国してすぐ取っ捕まるんじゃ?」
「そうですねーシャルロッテ王女は取り消すと言っていましたが、書類などの手配は済んだのでしょうか」
帰ってきて早々また旅になど出たくはない二人からすればそれを口実に断りたいのだ。
だが・・・
「こちら国王陛下より直々の署名である」
と、出された書類には宣言した王太子であったカインの身分剥奪及び子爵へしたことと、国外追放は取り消しとの一筆が
「なるほど、わかりました。やれやれ、これがシャルロッテ王女の手紙でなければ断るところなのですが、シャルロッテ王女とレティカ姫には恩がある、ですのでこれから急ぎ向かいましょう。エリーゼさんもそれでいい?」
「そうですね、お二人には確かに色々とありましたので断る訳にもいかないでしょう。さっさと行ってさっさと帰ってきましょう」
恩とはいえほぼ金だけのことなのでエリーゼとしては渋々といった感じが拭いきれない話だったが
それなりの額でもあり助けられたのは事実なのでセイジと共に行くことに
「おぉ、それはよかった。断られる可能性もあると言われてきたので」
まぁそれなりのことをしたとシャルロッテ王女はわかっていたのだろう。謝罪の一つもしないこの王様とは違って
「それじゃあちょっと足りない荷造りするから明日の朝出発します。辛い旅になると思うので使者の方も今夜はゆっくり宿にお泊りください」
この時、使者は知らなかった。これからの旅がどれだけ辛いものになるか。
もちろん護衛に数人連れてきていたのだが、その護衛含めとても辛い帰国の旅が一週間ほど続くことに
「・・・あのセイジ様、次はきっと私以外の使者が来ることになると思うのですがその者にはどういう旅になるか説明をしてあげると宜しいかと」
「それもそうだね、その時は君を指名するようにしよう。そうすれば説明の手間が省けるからね」
青ざめた使者の顔が土気色に染まるのを確認しつつ、セイジとエリーゼは登城する
会いたいのはシャルロッテ王女とレティカ姫なのだが・・・通された場所にいたのはおじさんであった
もちろんそのおじさんは王様である
「よくぞ参られた、随分と時間がかかったようだが旅路に問題があったか」
「忙しい身の上ゆえ手紙を受け取るのに時間がかかりまして。お話は以上でしたら帰宅させていただいても?」
いいからさっさと本題に入れと言うセイジの姿勢に王がたじろぎ、両脇にいた二人の王女が王の背中を叩く。
わざわざ来てもらったのだぞ!と
「あーごほん。実は最近三国で医療関連の話し合いが行われたと聞いてな。聖女と聖人を擁する我が国としても放ってはおけない話だ。わかるだろう」
さらっとセイジは我が国の所有物だと言う王の心象はセイジの中でさらに悪くなった
「さあ私は国のことはわかりませんので、話は以上のようですのでこれにて私は失礼をさせていただきます。本日はお招きいただきありがとうございました」
さっさと踵を返して帰ろうとするセイジに思わず二人の王女は笑いながら、そして王の頭を後ろからパン!と強く叩いた
「申し訳ない、王は体調不良の用なのでこれからは私とレティカで対応させていただく。おい誰か王が倒れた寝室かあるいは貴族牢にでもぶち込んでやってくれ」
「空いてないようでしたら一般牢でも構いませんから」
二人の王女に言われるがまま、護衛の騎士数人が王を引っ張って退室していく・・・おそらくは寝室へと運ばれるのだろう
「さて、改めて。久しぶりだなセイジ。息災であったか」
「お久しぶりですセイジ様。おかげ様でレティカは一人で歩けるようになりました」
頭を下げた二人に対して、ようやくセイジも普通に対応できると頭を深く下げた
「ご無沙汰しております、おかげ様で毎日忙しく三国を走り回っているところです」
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