愚か者
第三王子の部屋へと連れて来られたセイジとエリーゼは促されるままに治療を開始する。
症状は毒物、ではなく普通の病だったためスムーズに治療を終え、さあ帰るかとやることをやったセイジは帰ろうとしたのだが
伏せっている第三王子とはいえそこら辺はしっかり監視が着いていたのだろう。終えて早々に部屋を出ると騎士数人が周りを囲んでいた。
「おやおやこれはずいぶんな歓迎で、さすが第二王子人気ですね」
はははと後ろにいる第二王子を見るも首を横に振られる。どうやら人気なのは第二王子ではないらしい
「聖人様、王がお呼びですので謁見の間へお越しください」
どうやら人気だったのは私だったらしい・・・
さてどんな厄介な話を持ち掛けられるのか、と思いきや。
顎髭を蓄えたおじさん王の言うことにゃ、ここに永住して民を癒せとのお言葉を頂く。
まあそんなことだろうとは思ったものの、もちろんこちらの返答は
「ありがたいお話ですがお断りします、私がこの国で永住してやることはありませんので」
王の言葉であろうと堂々とセイジは断りを入れた。
そもこの王は自分が何を言っているのかわかっていないのだろう。
「ほぅ拒否できると思っているのか?」
王が軽くてを上げると周りにいた騎士がセイジらを囲み腰の剣に手を置く。いつでもその準備があるのだぞ、という威嚇なのだろうが
「拒否できないとお思いで?私がここに来たことを二国の王家関係者が知っています。私がこの国から出てこなければ当然疑問に思うでしょう。その追求を逃れられるとお思いで?殺せば外交ないし戦争になりかねないでしょう。自国の聖人を殺したのですからドランテール王国は黙っていません。次は辺境だけの争いだけじゃ済みませんよ。この国にもスパイは忍び込ませていることでしょうから隠し通すのは無理でしょうね」
さすがに場慣れしてきたのといい加減命を狙われ続けてイヤになってきたストレスもありセイジの姿勢はかなり強気なものだった。
そして相手の王はセイジという聖人という存在をまるで理解していないのだろう。セイジという聖人を無理やり止めておくことなどできないというのに
「ならば永住したくなるようにするまで。そこのシスターを人質にでもしてな」
どんどん悪手を取っていく王にセイジは内心溜息が止まらなかった。
「愚かな。そんな手を使って私が結局癒しの奇跡を使わなかったらどうなると思っているのか。結局は開戦しか待っていないのですよ。それなら必要な時金を出して呼べばいいものを。この国の王はケチで愚かなのか?」
周りの騎士に目を向けると怒るどころか肩を落としてがっかりしている。どうやらこの国の王はバカらしい。
「父上お止めください!そこの聖人は私が第三王子を癒すために連れてきたのです永住させるためではありません!」
「だからお前は愚かなのだ。聖人が永住すればどれだけの命が救われるかわからぬのか!」
それを拒否してるって言ってるのを聞こえないのかこの王はともはや笑えてきた。この二人が騒いでるうちに逃げようか?とエリーゼさんに目配せするも軽く首を横に振られる始末。
さてそれではどうするか、と思っていると後ろのドアから一人の人物が
「何やら楽しそうなことをしているではないか、俺も混ぜよ」
この国の王太子、第一王子であった
初作品となりますがいかがでしょうか?
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