寝ずの番
セイジらがケリュンテ帝国を出て4日
毎日ウマを走らせ東へ東へと移動しているのだが・・・騎士は一人疲れていた。
それもそのはず、初日こそ村で宿を取ったものの、二人が逃げやしないかと警戒して一人勝手にろくに寝ずに見張っていた騎士
さらにその後は三日連続野宿、当然見張りは必須で騎士が一人でやっていたのだ。
セイジやエリーゼはというと・・・
「え、私に見張りをやらせていいのですか?もしかしたらこっそり逃げ出すかもしれないのに?」
エリーゼにそう言われては騎士も任せるわけにもいかず
結局三日連続寝ずの見張り。もちろんセイジが身体を回復してくれるので寝不足の疲労感などは全くないのだが、精神だけはどうにもいかず。その顔色というより表情は戦で疲弊した兵そのものであった
「な、なあ今日一泊今日一泊だけでいいから村なり街で宿を取ろう」
もう一杯一杯な騎士がそう提案するのも無理はなかった。彼は誰がどう見ても限界なのだから
「おや、急ぐと急かしたのは騎士様ではありませんか。私たちは慣れておりますので国に着くまでこの調子で問題ありませんよ?それとも案外時間はあったのでしょうか?」
軽く首を傾げ困った表情を見せるエリーゼだが、全く困ってなどいないのは二人の目から見ても明らかである。
その証拠に声色は楽しそうに踊っているのだから
「一泊宿に泊まる程度の時間なら大丈夫だ!それくらい急いできているのだから余裕も生まれているはずだっ」
さっきまで死んだような目をした騎士の目に光が宿る。よっぽど休みたいんだろうなぁ・・・
とはいえこちらとしてもゆっくり宿で休めるのはありがたい。そもそもこちらとしては急ぐ旅ではないのだ、理由も聞かされず急いでいるというから急いでいるのであって
「だ、そうだから今日は宿でゆっくり休もうかエリーゼさん」
「騎士様が良いというのであればこちらとしても異論はありません。少々早いですが次の町で宿を取りましょう」
二人の許可がでたことで騎士は最後の力を振り絞って町まで走った。そして夜を待たず早々に宿で寝る
護衛とか監視する人がこんなすぐ寝ていいもんなんだろうかと二人が思ったのは言うまでもない
「さてと、久しぶりの自由時間だ。今日はぱーっと外で色々食べたり見たりしてこよう!」
と、セイジも久しぶりの解放に胸を躍らせ夜の町に出ようとするのだが
「ダメに決まっているでしょう。この町は娼婦が多いと宿の主人に聞きました、そんな町の夜にセイジ様が出ていったら一発で食い物ですよ。諦めて貴方もぐっすり寝てください」
ウキウキした気分もつかの間、エリーゼに強制的に部屋に入れられセイジもまたさっさと寝かしつけられることに・・・
こっそり抜け出そうにも隣にはエリーゼが寝ているのでセイジの動きは即バレるためどうにもいかず
結局全員がさっさと就寝し、朝早くに出立するという実に健康的な一日を送るのだった
「では一泊しましたので後は国に着くまで野宿で大丈夫ですね。三日も野宿すれば着くでしょう」
さらっと地獄の宣告を騎士にするエリーゼ
全ては事情をろくに話さないお前が悪いのだ、と暗に言っているのだが
騎士も詳しくは話せないのか辛そうに黙りこくって馬に乗る
初作品となりますがいかがでしょうか?
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