断れない話
エリーゼの問いかけに伯爵は慌てながらも関与を否定した。
それはそうだろう、もし話すつもりがあるなら事前にこっそりでも話しているだろうから
「そうですか・・・それなら仕方ないですね。セイジ様、やはりこの国は危険なようなので即刻国を出ましょう。彼女のことはレヴィアン女王陛下に頼み確認してもらえばいいことですので。このように御身を危険に晒して行うことではないかと」
「それもそうか。この国の王様にはロッテン伯爵の家で襲われて満足に守ってもらえなかったので帰国しますと手紙も添えてもらおう」
自分に火の粉が飛んでこないなら知らぬ存ぜぬを通す気であったロッテン伯爵であったのだが、そうでなくなれば話は別だ。
「おお待ちください、これには深い事情が。私も断るに断れぬ貴族の事情というものがあったのです」
自分の奥さん治してもらっておきながらその恩人に危害を加える輩の企みを黙ってるような者の話などどこまで信用できるかは怪しいものだったが、とりあえず話を聞くセイジら。
遅れて入ってきたガルバンらも同席しつつ周りを警戒し話を聞くことに
とはいえその話というのも大した話ではなく、自分より上の貴族に命令され賊の侵入ルートを確保しておけというものでしかなかった。
その貴族というのも公爵家としか言わない始末。全部喋れば自分の身がーなどこちらに言われたところで、特に恩も感じてない相手にどうしろというのだろうか。
とりあえずもしこの国の王なりに会ったらそのことについてはしっかり喋るとして
「さっさとこの屋敷から出て行きたいので報酬いただけますか?そうしたらご迷惑にならないよう二度と貴方には関わらないので」
奥さんや貴方に何があろうともとはあえて言わなかったが伝わっているのだろうか
伯爵から銀貨40枚ほど詰まった袋を手渡され、セイジ一行は屋敷を退散する
「さてみんな、今回の一件どう思う?」
そして再びギルドへと箱詰めにされたセイジが不機嫌そうに開口一番みんなに問う
「そうですね、やはり狙われているのはお二人としてとりあえず指示を出しているのは公爵家らしいというのはわかりました。ただその公爵家がどこの誰でなぜなのかは全くわからないところ。ユリア様何か心当たりなどは?」
「公爵家、今は3つあるのですが1つは私の実家でもう二つとも比較的関係は良好だったはずなのですが。貴族の腹の内というのはわかりづらいのでなんとも」
ということで結局誰が犯人かの目星などはつかない。このまま貴族相手に治療を続けるのか、それともバリテール王国に帰国し本当にレヴィアン女王から手紙をこの国の国王へ届けるべきなのでは、とエリーゼとユリアが考える中、セイジは一つの指針を示した。
「まぁこの国で治療を続ける以外道はないんだ、護衛のみんなには手間をかけるけどよろしくお願いします」
それ以外の道がないことに他全員が驚愕する。
とはいえセイジはその顔を見て当然だろう?と説明を始めた、その説明は確かにそれしかないと納得できる話
「まず話にも上がったレヴィアン女王からの手紙、これは期待できない。というのもそもレヴィアン女王はユリア様を本物と認めたわけじゃないからだよ。謁見したときユリア様本人と認めるような事を女王は言わなかった。それは万一認めてしまえばこのケリュンテ帝国と事を構えることに繋がりかねないから。女王陛下も最近床に臥せていたせいで情報収集が疎かになってたと思うよ、特に他国のことについてなんて特に」
もしユリア様本人がバリテール王国にいるとケリュンテ帝国国王が知れば迎えにきたかもしれない、だが向こうがユリア様を消したかった場合。刺客なり偽物だーと言い張るなり何かしらのトラブルになりかねない。
恩を売れるならまだしもトラブルになられては困る。バリテール王国の内政も今立て直しの時期、そんな時にトラブルは困るだろう
となるとユリア様を本物として擁立することはできない
つまり女王陛下としてもセイジらに黙っていてもらうか出国してもらいたいのだ。
そしてもし、それでもセイジが頼むのであれば相応の代償を払うことになる、セイジが
その代償は国に根付くことや、あるいは政治的な利用をされることになったりと、セイジとしてもお断りな話になるだろう。
故にセイジに取れる選択はこのケリュンテ帝国にいて治療を続け名を上げるしかないのだ
初作品となりますがいかがでしょうか?
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