狙われたのは
その後、夜明けと共に一行は宿を出て馬を走らせる
本来はゆっくりとしたいところであったのだが、襲われたことでそうも言っていられなくなったからだ。
「しかし狙いはユリア様ではなく、セイジ様含め両方だったとは。セイジ様、私が知らないとこで何かやらかしましたか?」
「あのね、これでも一応仮にも聖人なんて呼ばれてるんだよ?恨まれることはあっても悪いことなんかしたことないわ。というかほぼ常に護衛なり見張りがいてそんなことする暇もないわ」
「そうですね・・・確かに色々あってセイジ様に追放なりされた貴族王族から恨みは買っているかもしれませんし、となると誰が差し向けた刺客か分かったものではありませんか」
セイジに、というよりセイジに意地悪をしたもの達は軒並み処罰され地方やら王族追放やらで恨みを抱いていてもおかしくない。それは国を代わっても同じで・・・そうなると片手では足りない程度に恨みを買っていても不思議ではない
「という訳で寄る街や村は最小限にしつつ走りましょう。残念ながら」
そう、馬を操る者にとってはかなり残念な結果となってしまった。なんせ驀進度合いが増えたのだから。
結果、予定では2週間程度の見込みであった王都までの道のりが、やはり一週間ほどの短期へと変更
さらに宿や野宿の際にはかなりの警戒をしなくてはならず、王都に着く頃には護衛の面々の精神的疲労度は限界に達していたのだった。
「さあここで皆さんとはお別れ、というわけにもいかないのはわかってもらえると思いますが。ただこのまま引き続きでは皆さんも私も倒れますのでさてどうしたことか」
王都に着くとほっとした表情の闇夜の月のメンバー。これで依頼達成!と思っていたのだが
なんせ王都に着くまでに3回ほど襲われているので結局はまだ護衛は必要なのだ、セイジとユリアには
だがこの知らない国のギルドで信頼できるメンバーがいるとも限らない。それならば知った顔を引き続き雇いたいのも当然だろう。
しかし、エリーゼ含め精神面が限界なのだ。こればかりはセイジでもどうしようもない
「それならこのギルド長は俺の知り合いだ、昔パーティーも組んだことがある。そこで二日ばかり護衛を頼んではどうだ?このまま俺らが護衛を続けるのは質を保証できん」
「信頼できるお方なのですね?それでしたらまぁ。ただ私も限界なのですがさて・・・」
むしろエリーゼさんのほうが限界だろう、ほぼ休みなく護衛し続けているのだから。となると彼女にも絶対休みは必要だ
「幸い時間もお金もあるし、どこか信頼できる宿なりに丸二日籠ってるから。それならエリーゼさんもゆっくり休めるんじゃない?」
そのセイジの提案にエリーゼは目を細めセイジを見た
「大丈夫ですか、またお屋敷の時のようにこっそり抜け出して街に繰り出したりしませんか」
・・・どうやら私に信頼というものはないらしい。おかしいな抜けだしたのあの時だけなのに
しかもかなりしっかり理由あってのことなのに
「また拉致されに行くんじゃないかと気が気じゃないのですが?ですので宿で同室に泊まりますがよろしいですね?」
はい、それでは私が気が気じゃないので却下します
「それではユリア様の護衛が不安なのでエリーゼさんはそちらの部屋に、私は一人別室で。大丈夫、部屋で一人聖人らしく神へと祈りを捧げていますので」
この言葉が効いたのか、三人が泊まったのはギルド直営かつ最上級の宿。一泊銀貨20枚と結構破格な宿であった
しかも部屋は護衛しやすいよう作られているベッドルームが護衛用と対象用二部屋が用意さえれている部屋だ。
そこにセイジは護衛の方々と一緒に放り込まれた・・・
むさくるしいお兄様おじさま数人の部屋に
「あの、俺も一応護衛対象でして」
「ああもちろんシスターから聞いている。抜け出す可能性があるから目を離すなと」
こうして二日間、本当に部屋でごろごろしているしかなく、この世界に来てから初めて暇だと思える日々を過ごすセイジだった。
初作品となりますがいかがでしょうか?
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