滞在0泊
せっかく出されたからと暖かいお茶をすすっていると、息を荒くした村長が帰宅した。あの宿屋の店主と一緒に
「はぁ、はぁセイジ様、宿屋の店主とはこのもののことで間違いないでしょうか?」
彼以外に店主がいるのだろうかと、まじまじと見るもやはりあの男で間違いない
「彼でしょうけれども何か?」
村長も帰宅したし、残ったお茶をグイッと飲み干し立ち上がる。さて次の村は三叉路を左でいいんだったか
「いえいえお待ちください、このものは宿賃一泊銅貨四枚と言ったと言っているのです」
「当たり前です、私はどっかの悪人と違い善人ですから」
そういう顔はにやにや笑い善人には見えないから笑えてくる
「そうですか、これからも繁盛するといいですね。では私はこれで村を出ますので。さようなら村長さん宿屋の店主さん」
二人とすれ違い出て行こうとすると宿屋の店主が腕を掴んだ。普通に不快なのだけれども
「おい、泊まっていくんだろ。今なら朝飯も付けてやるぞ」
何事もなかったように腕を振り払い俺は家を出た
「村長が信じたい方の言い分を信じればいい。ただ俺が出ていくことに変わりはない」
バタン、と扉を閉じられ、家の中に残された三人、村長はもう一度店主へ問いただすも答えは同じだった。
「門番から金を巻き上げたそうじゃないですか、どうせろくでもないヤツなんですよ。村から出ていってくれるならいいじゃないですか、何するかわかったもんじゃない」
村長と宿屋の店主のほうが付き合いは遥かに長く、信用もあるのだろう。それに出ていきもう会わないかもしれないことを考え、村長は店主へ追求することを止めた。
この判断の結果、この村にセイジが二度とくることは無くなったというのに。
店主を見限り、セイジを信用し謝罪すればまだ未来もあったのだろう、ただ村長はいなくなる者を大事にしなかった。それはある意味正しいのだろう。
翌朝、セイジが夜に村を出たことが村人たちに知らされ驚いたのは治療を受けた五人だけ。他のものはふーんと大して関心もなかった。
だが関心を持った五人はこの村への不信感、違和感を抱いていた、なぜあの人が夜に出て行かなければならなかったのか。
その理由を知り、村長と村の人々のセイジへの話を聞いた結果、のちに彼らは村を出ることになる
この村は聖人から見捨てられたのだ、と判断し
ちなみにセイジはというと
「さーて次の村まで少々遠いのよな~携帯食だけじゃ足らんだろうしどっかで買い物でもしたいところだがないがどうするか」
大して気にもしておらず、朝になるなりさっさと次の村に向かって歩き出していた。特に村という社会に期待もしておらず、この手の反応は想定済みだったのだろう
ただただ見捨てただけ、それだけ
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