部隊長の憂鬱
美味しいご飯を奢られ、その日の部隊長はご機嫌で家までるんるん気分で歩いて帰っていたのだが・・・
「部隊長だな、女王王陛下がお呼びだ。すぐに王城まで来てもらう」
近衛の騎士が前に立ちはだかり有無を言わさず腕を取られ、そのるんるん気分から一転。気分は処刑を待つ囚人のように落ち込んだ
緊張して吐きそう・・・こんなことなら腹八分目にしておくんだった・・・
真っ青な顔をした部隊長はそのまま女王陛下の寝室まで連れて行かれ、そこで吐くわけにもいかず気合で乗り越えることに
とはいえ呼ばれた理由は断罪などではなく、セイジの人柄を聞くためのもの。それと連れてきてくれと頼むためのものでしかなかった。
それがわかって、ようやく部隊長の青い顔は少しだけ青い程度まで改善することに。
「彼の人柄ですか、私も付き合いが長いわけではないのであまり語ることはないのですが。一言でいうなら優しい人でしょうか。護送する我々のことを気づかってくれたり、研究所では今にも死にそうな奴隷を見返りを求めずで癒したり。ただ無礼な者に下げる頭はないと思っているのも事実でしょう、さっさとその場を退散して国に依存もしていないので身軽に国も出ていく、そんな印象を受けました。あれを縛り付けるのは無理でしょう」
ただ宰相や侍女の態度を見れば誰でも身分が許すならそうするだろうといった酷い対応だったのは事実なのだけれども。とは言わなかった
聞けば宰相は左遷され侍女の姿もここにない時点で私が何か言う必要もないだろうから
「そうか、そんな無礼を二人はしたわけか。では改めて部隊長、そちに聖人様への詫びと妾の治療を頼んで欲しいのだができるか?これはまず聖人様をお連れした報酬だ、これは部隊長に。他は部隊の者たちと分けよ。それと部隊長にはあとで爵位を授ける故覚悟しておくように」
部隊長のうっすら青かった顔が再び真っ青に変わる。まさか爵位までとは思っていなかったのだろう
そして手に渡された金貨の詰まった小袋もずっしり重い・・・金貨一枚の治療代と切り傷など安い代償だった。
「身に余る光栄、女王陛下の治療確かにセイジ様へとお伝えします。それとセイジ様が治療の報酬にあって欲しい者がいるとのことでしたがいかがでしょうか?その者は研究所の治験中の奴隷でして、癒してみると自分はケリュンテ帝国第一王妃ユリアと申すのです。そして女王陛下とは会ったことがある、と」
その部隊長の言葉に女王陛下の眉がぴくりと反応した。
「王妃ユリア・・・確か行方不明で他国へも情報提供が呼びかけられていたな・・・本当にその者が王妃ユリアならこの国はタダでは済まぬぞ。部隊長から見てどうであったその女は」
「所員は奴隷の戯言だろうと言っておりました、私もそうではないかと。ただ一緒に食事をしてみるとマナーはしっかりしていますし言葉遣いも少なからず育ちをうかがい知れます。なぜか食事のチョイスが臓物系なのが気になりましたが」
「結局は会ってみるしかない、ということか。良いだろう、治療の報酬に関係なく会おう。聖人様へもそう伝えよ」
女王陛下のお言葉を受け寝室を後にする。震える手足に活を入れながら、そうでもしないと床に倒れ込みそうで
結局朝になったら早く伝えたい!という思いで部隊長も同じ宿を取ることに。家から朝早くに宿に向かってもよかったのだが、護衛も兼ねてということ。それと懐がかなり温かったのでそれもあり宿に泊まることに決めたのだろう。
初作品となりますがいかがでしょうか?
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