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それぞれの思惑

侍女からの報告を受けた女王がしたのは、溜息だった。

なぜ自分の周りにはろくな人材がいないのか、と。

自分の身体を治せるかもしれない人物がようやく王都に来てくれたというのに、なぜ必死になって連れて来ないのか。

一度は謁見の間まで、次は王都の街の中で会っているというのに。


「もうよい、下がれ。お前の顔はしばらく見たくもない、王都から出ていけすぐに!」

「お、お待ちください女王陛下、私は誠心誠意聖人様へとお願いしたのです」

「ああ、騎士よこの侍女を早く連れていけ。それと聖人と共にきた部隊長をここへ」


ぴーぴーと騒がしい侍女を騎士が両脇を抱え引きずって行くのと同時に騎士が一人部隊長を呼びに走る。


「いいかお前たち、今後何があろうとも聖人への対応は妾相手にするのと同じくせよ。他国の国王やそれ以上の対応をだ。もし失礼な対応をしようものなら厳罰に処す。国家反逆罪をも考えるから覚悟せよと皆に伝えよ!」


そう伝えたものの、実は既に遅かったりする。なんせ失礼な目で嘲笑ってしまった後なのだから。既にセイジの心象は最悪なものとなっている。


一方そのころセイジはというと

侍女と別れてから四人でちょっと早めの夕食を取っていた。


「今日は奢るからみんな好きなの食べていいですよー。ユリア様もあまりこういった所での食事は慣れないと思いますが、食べられそうなものを食べてくださいな」


セイジが選んだのは普通の食事処、特に高級な店などでもない普通のお店だった。

理由はもちろんお財布事情である。なんせこの国にきてからの収支マイナス銀貨30枚なのだから。


「ありがとうございます、とはいえ実はこっそり何度か故郷ではこういったお店で食事したこともあるので大丈夫ですよ。それではそうですね、このレバーの煮込みとホルモン炒めと」


ユリアが選んだのが見事に臓物系であり、エリーゼと部隊長はますます本当に王妃様なのかと疑いを深める。

セイジはそんなの気にせず食べたいものを適当に決めていき・・・なぜセイジは奴隷女性のいう事を信用しているのか、どこに信用できる要素があったのかと問いただしたくなっていた。


ただ、ユリアの食事作法を見て二人は少しだけその認識を改めた、なんせその所作が綺麗なのだ。

スープは音を立てずにスプーンで飲み、フォークの使い方も上手にモノを掬い上げるのだ。

少なくとも教育などされず生まれから奴隷だった者ではない、と分からせるのに十分なほど


食後、宿の前で部隊長と別れ、ユリアにも一室取り別れた三人。

自分にもいいのかと困惑したユリアだったが、王妃様と一緒に寝るわけにはいかないでしょう。と当たり前のようにセイジは答える。むしろ護衛も付けられず申し訳ないと謝る始末


ユリアが部屋に入るのを確認してからエリーゼはセイジの部屋にさも当然のように入った。

理由はもちろんユリアのことについてだ


「で、どうして彼女のいう事を最初から信用していたのですか?食事のマナーはしっかりしていますが、それ以外に王妃と信用するポイントがあったのでしょうか?」


「いや人の部屋にノックもなしに入って開口一番それって・・・」


「何を今更。で、本当にケリュンテ帝国に行くつもりで?」


珍しくエリーゼさんがぐいぐい話題を引っ張る。そこまで疑問だったのだろうかあの女性の話を信用したのが。個人的には信用する以外になかった気がしたのだけれど


「お人よしだからーとかそういうのではなくてね。あの話を聞いた時点で私ができるのは信用する以外に無かった気がするんだよ」


なぜ疑わない?嘘と思わない?とエリーゼはますます首を傾げる。彼女も奴隷がどのようなものか知っているのだ、頭から信用すべきではないと。


「考えてもみてよ、もし本当に王妃様で、彼女が無事国に帰ったとき私が適当に扱ってたのバラされたら私の首飛ぶよ?それに対して信用して国に連れて帰ってあげたら諸経費くらいは出してもらえるだろうし、何かあったとき融通してくれる程度には感謝されると思うんだよ。特に急ぎでどうこういうこともないし、まぁ移動は暇で野宿は嫌だけどさ。それでもし嘘だったら掛かった経費分は働いて返してもらえばいいし、それだけでしょ」


それは合理的な理由だった。もし本当に王妃様だった時のリスクを考えて対応する

確かにそれ以外にない、知らなかったでは許されない地位なのだ王妃というのは。


珍しく打算がしっかりあるセイジの考えにエリーゼは感服して思わず祈ってしまっているほどに


「ということで明日も色々あるから早く寝るよ。エリーゼさんもほら部屋に帰った帰った」

「あの私一応護衛なので。部屋は取りましたがここで寝るつもりですよ?」


何をバカなことを、とセイジは部屋の外へとエリーゼを押し出す。


「ふう、これでゆっくり眠れる」


などということはなく、寝静まってからこっそり鍵を開けてエリーゼはセイジの部屋へと侵入するのだった・・・あくまでも護衛のために

初作品となりますがいかがでしょうか?

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