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医療設備と研究所

まずセイジが見て驚いたのは医療設備についてだった。縫合用の針と糸が専用でしっかりあるのだ。

とはいえ現代医療を多少知っているセイジからすればまだ改善の余地があったりするのだがドランテール王国よりもその技術は遥かに進んでいる。

ただ縫合用のセットはあってもなぜか消毒液、消毒という概念がなかった。


そして研究所、これはそれこそ薬の開発や人体解剖による人体の理解を深める場所なのだが・・・

使われている対象は主に奴隷や犯罪者であった。治験するのにこれほど打ってつけの人材もいないのだろうが、それをセイジは受け入れられなかった。

目を逸らしたり、施設に入らないなどではなく、心情的に頭で理解しても心は拒むのだ。これを良しとするのは不味い、と


セイジとエリーゼ、それと部隊長が所員に色々と説明を受ける中、セイジは治験を受けているであろう女性に目に留まる

ベッドで仰向けになり、ぼーっと天井を見つめる。顔に生気がなく、目は虚ろで明らかに正常ではない。


「所員さん、あの女性随分と具合が悪そうですけど」

足を止め、所員に事情を聞くと手元にある書類をパラパラと捲り女性の投薬履歴を見てくれた。

それによるとどうやら結構な劇薬を投与したらしく、副作用もありあまり長くないらしい。

元々奴隷ということもあり使い捨てなのだろうけど・・・せめて目の前の助けられる者ならば助けたい。


奴隷でありおそらく金の見返りなど見込めない、それでも今助けたいと思った以上これは自己満足でも満足するならば助ける意味はあるだろう。

そう自分に言い聞かせてセイジはその彼女の元へと向かった。ただ、奴隷の彼女がまだ生きたいと思っているのか、それとももう楽にしてほしいと思っているのか、どちらなのだろうか


「所員さん、彼女を癒しの奇跡治療して元に戻したらどうなりますか?」

「どうって、それはまた投薬実験を続けることになりますが」


それでは意味がない、助けたことにならない。となれば取る手段は一つ、交渉して彼女を解放させるしかない。


「このまま放置すれば数日と持たず彼女は亡くなるでしょう。ではこの状態の彼女を譲っていただけませんか?」


「えっ、それはいいのですが・・・購入時金貨1枚でしたので同じく金貨1枚いただきますよ?それが奴隷売買のルールですので。このまま亡くなればその後解剖に回して最後まで使いますし」


幸いにして金貨1枚なら問題なく支払えたので即金でその所員へとセイジは財布から支払う。

エリーゼは止めはしなかったが、奴隷を買ってその後どうするのだろうかと、考えているのだろうかと。

もちろんセイジは考えていないだろうなとは思っていた。


目の前で虚空を見つめる女性をセイジはすぐに癒した。劇薬の解毒に他内蔵のダメージもしっかりと

そして何より、全身診るとその女性は舌を切り取られているのが分かり、そこもしっかりと再生させる。


身体の痛みが、そしてダルさが消えていき徐々に女性の目に光が宿っていった

治療は無事成功したが、所員は少し残念そうにしていた。失敗したら遺体をそのまま解剖に回そうと思っていたからだろう。既にこの研究所の所有ではないにも関わらず


「あ・・・喋れる。舌がある!?」


彼女が驚いたのはまずそこだった。確かに舌がなければコミュニケーションが取れず苦労したろう

だが何より驚いたのは続いて彼女が喋った内容だった。


「あの私はケリュンテ帝国第一王妃のユリアと申します、急ぎケリュンテ帝国皇帝へ連絡をしてほしいのですが!」


どうやら彼女はどこかの国の王妃様らしい・・・


ぽかんとするセイジとその隣で額に手を当てまたトラブルかと肩を落とすエリーゼだった。




初作品となりますがいかがでしょうか?

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