朝ちゅん
翌朝・・・目を覚まし起き上がった拍子にベッドに手を着くとなにやらふにゅっとした感触が
それはまるで柔らかい肉の感触で・・・
よく見るとなぜか隣に眠るエリーゼさんの姿が。あぁどうやらこれは夢の続きらしい
珍しく早起きしたセイジは夢ということにしてもう一度眠ることに。
左手に感じた肉の感触を思い出しながら
再び目を覚ましたセイジだが今回は自分からではなくいつものようにエリーゼによって起こされることに。
いつものような朝にセイジはさっきのは夢だったのだと、改めて認識をし直し目を覚ます
「おはようこざいますエリーゼさん」
こうしてセイジの朝は始まるのだ
そして今日は追加で騎士二人とも挨拶を交わし、そして朝食を頂きながら今後の予定を話し合う
とはいえ話し合うことも特になかったりする、なんせこの後5日の行程をここに来た時のように馬を驀進させ王都まで2日でいきましょうというだけなのだから。
ただ一晩宿にしっかり泊まり美味しい食事をしたこともあり騎士の気力は回復、たった2日だけなら!と手綱を握る手にも力が入っていた。
できることならゆっくり観光の一つでもしたいところなのだが、女王様がお待ちとなればそうもいかない
固い騎士の身体をぎゅっと抱きしめながらセイジは素早く流れゆく景色をほげーっと見ていた。
そして野宿を二回挟み無事一行は王都へと辿りついたのだが・・・ここですんなり事が運ばないのがセイジの生まれ持った運命なのだろうか。
二人の騎士に案内されるまま謁見の間へと向かったものの、すれ違うメイドや騎士たちからは奇異の目で見られ、何だったらこっそり嘲笑う始末。なんだここ、とセイジとしてはいい気分などではなかった。
そしてそれは謁見の間でも同じ事で
いきなり来たということもあってか謁見の間にいたのは女王ではなく宰相と数人の騎士のみ
その宰相へとここまで護送してくれた騎士二人が膝ま付き報告をするのだが・・・
「それが聖人だと?そんな見すぼらしい格好をした男がか?連れの女はシスターのようだが何とも色褪せた服だ、本当にシスターか?」
開口一番失礼としか言いようがない言葉を浴びせかける、この時点でセイジは帰りたくて仕方なくなっているのをエリーゼが背中の服を掴み止めていた。
「癒しの奇跡は確かにこの身で確認しております、間違いなくこのお方が約束の聖人様かと」
そう騎士が証言したところでこの宰相という人物、まるで信用していない様子。結局のところ自分で確認しないと信用できないというのは仕方ないのかもしれない。なんせ治療する相手は女王様ともあれば慎重になっても当然だろう。
帰りたい気持ちをぐっと堪え、セイジは自分を納得させる
「にしてもその格好、仮にも国から遣わされた者としてみすぼらし過ぎるのではないか?我が国に対して失礼であろう」
古着に色あせたシスター服、確かにそう言われても仕方のない服装で登城し謁見の間にいる、これは確かに異様な状況なのだが。セイジには一つ訂正する部分があった
「お言葉ですが私はドランテール王国を追放された身。国から遣われたという事実はありませんし国王陛下よりお話を頂き受諾した事実もありません。ここに来たのは女王陛下が病で苦しんでいると騎士様に聞いたから過ぎません」
「ほう国を追放されたか、一体何をやらかしたのかこれは慎重に調べねばなるまいよ。それに騎士に聞いて来た、と。女王陛下の治療の対価の金にでも目がくらんだだけではないのか?国を追われるような輩だ、日々の金にも困ってるだろう」
この宰相の言葉は騎士並びにエリーゼも我慢の限界だったらしい。セイジを掴む手を離し、好きにしろと合図するくらいには
「では報酬は結構、と同時に仕事も無くなりましたのでこれにて退散させていただきます。金なら怪我や病に苦しむ一般市民から僅かでもいただけばいいので。こうして無駄な時間を取らせる王侯貴族を相手にするよりよっぽど楽だ」
くるりと踵を返しセイジはさっさと歩きだす。そしてエリーゼもそれを止めることなく一緒に。もちろん護衛の騎士はそれを止めることはない
数歩歩いたところで宰相はセイジの姿勢を認めたのだろう
「金目当てではないことは認めよう、ではまず私の前で癒しの奇跡を披露しろ。話はそれからだ」
と、声を宰相が掛けるもセイジたちの歩みは止まらない。もうこちらの話は終わったのだと帰る気なのだから。それを止めるにはまず謝罪からだろうとセイジは思っているのだから話はかみ合わない。
「おい、待て!私の前で癒しの奇跡を見せろ!それが本物なら女王陛下の治療を、おい!止まれ!騎士たちも止めないか!」
どの騎士に言っているのか、宰相の近くにいる騎士は護送してきたお前らの仕事だろう、と目配せし、受けた騎士二人は知らん顔をして去る二人を止めなかった。
初作品となりますがいかがでしょうか?
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