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思わぬ収入

指先からたらたらと血を流す男性とその男性を前に料金の話をしだすセイジ

そしてその二人を唖然とした表情で見ている西国の騎士たち


下手をすれば首を切られても文句を言えないそんな状況でセイジはタンタンと金を話をしていた。


「治療代ですが私は相手の言い値で支払いをしてもらっています。それが銅貨一枚だろうと金貨一枚だろうとお任せです。相手の財政状況もありますし、治療したはいいけど明日食べるものも買えなくなるでは治療した意味がないので。それでお兄さんその指の治療費おいくらで?ちなみに支払いは後払いで結構ですよ」


言い値で結構、実はこれが曲者。特にこうやって後ろに部下が控えているような状況で銅貨一枚など支払ってはケチだと思われかねない、体裁が悪いというもの。となればここで選ぶのは一つ


指を切った部隊長の男性は懐から財布を取り出し金貨を一枚引っ張り出す。指先の怪我一つに金貨は明らかに出し過ぎではあるのだが、それで癒しの奇跡を見せてもらえるのであればという意味も込め男性は惜しくはないと思っている。

それに聖人を連れ帰国すれば金貨一枚以上の恩賞は期待できる。となれば部下への体裁をも考え出すのは金貨一枚以外なかった。


「え、そんな指先一つの切り傷に金貨一枚は多いのですが・・・じゃあついでに身体の悪いとこも診ておきますね」

警戒させないようゆっくりと立ちあがるセイジだったが、それでも周りにいた騎士たちの気配が一斉に変わる。武器に手を掛け、万一のときには一斉に切りかかる程度の体勢になっていた。


「では失礼します」

部隊長の隣にどっしりと座り、その手を取りまずは指先を治しつつ全身を診察する


特に内蔵疾患なども無い様子、他に怪我している部分は歳のわりに膝関節の減りが激しい。ちょっと痛み出てるんじゃないか?ここら辺はサービスで治療しておく

他には特になんということもない健康体、よく鍛えられているし暴飲暴食もしてない様子。

他に切り傷の跡が何か所があるが、これ勝手に消すと怒られそうだから放っておいたほうがいいか。武人の勲章みたいなものだろうし


「膝関節もついでに治しておきましたがいかがでしょうか?なんの問題もなく動くようになったと思いますよ」


そんなセイジの言葉より彼らが目を奪われていたのはセイジの手から出ていた癒しの奇跡の光だった。

本当にこの男が聖人だったのか、と。

この国の者以外ではまずお目にかかることがない癒しの奇跡発動時の光。それに目を奪われていたのだ


部隊長は先に我に返り、自分の指先と、そして立ち上がり自分の両膝を回し、軽く足踏みしだし確認する始末。


本当に治っている・・・

その身におきた現実を実感するのに時間はかからなかった。最近時折痛みを感じたものの気にしないようにしていた痛みがない。指先の切り傷も跡形もない

これが癒しの奇跡・・・これが聖人。


部隊長はゆっくりと、そして丁寧に地面に片膝を着いて頭を下げた。

その姿に周りの部下も武器から手を離し部隊長に続く

この人は頭を下げるべき、敬うべき方なのだと


「聖人様、どうかバリテール皇国へとご同行をお願い致します。我らがレヴィアン女王が病にて伏して聖人様の癒しの奇跡を待っているのです」


「それは大変だ、患者がいるというのなら喜んで行きましょう」


正直王侯貴族とは関わり合いになりたくない、けれども患者がいるというのなら行こうと思う。困っているのだから


セイジがそう決めると後ろで寝ていたエリーゼがむくりと起き上がり溜息をつくのだった。


「様子を伺っていたのですが、こうなりましたか。まぁまた拉致されるよりかはマシなのでしょうけれども」

「なんだ起きてたの?護衛対象が囲まれてピンチだったのに!」

「さすがにこの手練れたちに囲まれてる状況では私一人ではどうにもなりませんよ、とりあえず大人しくしておいて隙を見て逃げようと考えていたところです。てっきりセイジ様は私を聖女ということにして逃げるのかと思っていたのですが」


それはいくらなんでも薄情というもの、選択肢としては無いわけではないがそのようなことするほどエリーゼを邪魔にしているわけではない。


「そんなことするわけ無いでしょう。いつもエリーゼさんには感謝してますよ、おかげで一人の野宿より快適な旅ですし」

「・・・まさか火の番がイヤで隣国行き決めてませんよね?」

正直少しだけあった。この火の番、という名の交代で夜寝る行為なのだが睡眠時間半分になって辛い


「そんなわけないでしょう、私はただ困っている患者がいるのであれば助けたいと思ってですね」

「私の目を見て言ってもらっても?」


セイジの目はエリーゼとは反対の、部隊長がいる方を向いていた。


「さ、行くとなれば明日の夜明けを待ってから行きましょう。皆さんも明日に備えて休んでください。ただ私は野宿とか長時間の移動は嫌いなので、馬に乗って西国に向かって驀進しますがよろしいですか?」


「え、ええそれはもちろん。女王陛下もお待ちですし急ぎます、馬も後ろで控えておりますのでご安心ください」


「では私とエリーゼさんを後ろに乗っけてどなたか騎乗してください。その馬と騎乗してる人に癒しの奇跡を時折掛けながら走りますので食事と水分補給以外では全速力で走ってください」


こうして再び王都に向かって辺境から走ったときのようにセイジとエリーゼの高速移動が決まった。

野宿の火の当番が無くなろうとも固い地面で寝るのがイヤなセイジにとってはこれが最善


部隊長ら西国の者は女王のために急いでくれているのか!とちょっとだけ感激していた。

・・・エリーゼはセイジの頭の中を知っているからかちょっと笑っていた。

初作品となりますがいかがでしょうか?

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