表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

117/183

王の帰還(断罪編)

事の詳細が明かされ関係者、特に王太子周りの人間は皆顔を青くして沙汰を待つ

とはいえどうあがいても良いように転ぶとは思えないこの事態に戦々恐々といった様子


「まずはクイレル公爵家三男デュース、お前は死罪だ。処刑の日は追って知らせる」

「お待ちください!」

いきなりの死罪にクイレル家当主である父親が待ったを掛けた。それはそうだ、大して有能ではないが大事な子供の命が掛かっているのだから。


「前任者の神官長は地方への左遷で済み、なぜ我が子デュースは死罪なのでしょうか。おかしいではありませんか、同じく横領ならば罪も同じではありませんか。まして前神官長と違い我が子は三男でも公爵家のもの。血筋を考慮すればその罪は」


「そうだな、血筋を考慮すれば死罪でも足りぬな。貴族には権力と同時に義務がある、死罪だけでは足りぬよ。故に公爵の地位を伯爵へと降爵とする」


自分の子供の話から自分自身へと降りかかる災難にクイレル公爵の口が大きく開き言葉が出なかった。

まず一度下がった爵位は早々上がるものではない。よほどの貢献をしなくてはまず無理だ。

それなのに下がったとなれば家族と親族関連からの避難は相当なものとなるだろう。

さらに同じ貴族連中からの嘲笑は避けられないだろう、それは代替わりしてもしばらく続く程度には


「お前の息子がやったことはな、前神官長以上のことだ。なんせ窃盗の罪を聖人に着せたのだからな。聖人の地位は王族の次、お前ら公爵より上だ。それを陥れたのだから死罪以外どう償うというのだ。子供をろくに教育できず、自ら調べて処罰もできないどころか庇うような者に公爵は務まらぬ」


がくりと膝を落とした公爵と、その息子デュースの腕を騎士が両側から抱え二人は退場することに。

だがまだ王の断罪は終わらない、実際に裁いたものを処罰しなくてはならないからだ。


「そして王太子カインの身分を剥奪とする、あまりに酷い所業、王太子という身分にはしておけぬ。それと同時に臣籍降下とし一代限りの伯爵とする。領地は王家直轄を分割、その領民にはお前を今まで支えてきたもの達を連れて行くように」


お待ちください!と臣下の一部が一斉に声をあげる、もちろんそれは今までカインを支えてきたもの達だ。それには貴族と側近ももちろん含まれる


「今までカインの傍にいてこの所業を止めることも諫めることもできず、後処理もできないようなもの達を王都に置いておく意味がないだろう。最後までカインを支えてやってくれ」


「お待ちください陛下、俺が王位を継がずに誰が継ぐというのですか。まさか今から妃を娶り男子が生まれるのを待つと?」


「なぜそのようなことを、今でもうちの娘を妃にと煩い連中を焚きつけるようなことを言うな愚か者が。王位ならば二人も継ぐ資格がある者がいる、どちらかが継げばいい」


その二人とはもちろんシャルロッテとレティカの二人である。なぜそもそも二人が王太子になれなかったかというとやはり王位は男子が継ぐもの、という考えが貴族の根底としたるからだ。


男がいなければ婿をもらうなりして女性が家を継ぐケースもあるのだが、貴族社会において舐められる傾向にあるのは避けられず。できるだけ男が継ぐのが習わし

それは王家も同じく、男がいるなら男と自然となってしまっている。

それに今のところ法律で男子が王位を継ぎ国王となることになっている以上、いくらアホでもカインが王太子となってしまっていたのだ。


王としてはどちらでも良かったのが本音で止めはしなかった。周りが優秀で支えて傀儡であろうとも国家を運営できるならそれで良し、と

そしてダメだった時にはこうして堂々と皆が分かるよう断罪し、その上で議会に女王を承認させようと思っていた。

結果ダメだったのでこうしてその原因含め処罰を下し、次は議会への承認をと


ただ予想外、想定外だったのはセイジが追放されたことだった。


「とりあえず荷物含め後で送ってやるからさっさと馬車で領地に向かうといい。元気でなカインよ」

ばたばたと暴れるカインを三人掛かりで騎士が抑え込み謁見の間より連れ出す。本当は断種もしたかった王だが同じ男として最後の慈悲としてそこは残すことに・・・


「そんな、陛下。父上お考えなおしください、ちちうぇーーーー」

ずりずりと引きずられながらカインが退場していく、そしてその後ろを名残惜しそうに、恨めしそうに騎士に囲まれ付いていかされる数名の貴族たち・・・


「さてこれで面倒は一つ消したが、次の問題がこれは大きいぞ。外交問題だからな、既に隣国とは契約を交わしセイジを遣わすと約束してしまっている。一度希望を見せておいて追放していませんでは通らん。どうしたものか、誰か意見はあるか」


さてどうするかと困った風に見せているが、その顔には若干の笑みが

二人ならどうするのだ、とシャルロッテとレティカに問いかけているのだ。


初作品となりますがいかがでしょうか?

ブックマーク、いいね!と星頂けると喜んでもっと早く投稿できますのでぜひお願いします


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ