そちらの事情とこちらの事情
収容所、執事さんに外まで連れてきてもらった場所は元々は小麦やら農作物の保管場所に使っていた場所らしく、そこを急遽収容所にしたらしい。
さらにそこの地下に適当に犯罪者を鎖で繋ぎ収容しているといった本当に急遽作ったのが伺える作りだ
収容人数にして上に一般人100人ほど、下は10人ほどで犯罪者が少ないのか犯罪者の感染者が少ないのか。
この施設に入る前にエリーゼさんは外で待っていてと言おうとしたのだが、こちらの視線にエリーゼさんは首を振ってきた。まだ何も言っていないのに言いたいことが分かってしまったらしい。
危ないからできれば外に居て欲しかったんだけど、犯罪者相手ということで着いてきてくれたのだろう
「ではこの中からお好きな患者を、症状はそう大差なく明日をも知れぬ命のものばかりです」
ちなみに執事さんは施設に入ることなく外で待機している、隔離施設に入りたいと思う人も多くないか。
こうして下まで案内してくれた人はこの施設の管理人だそうだ、管理だけで治療に携わっているわけではないらしく、おそらく亡くなった人を処理するためにいるのだろう。
特に選ぶつもりもないセイジは一番近い患者の元へと向かい、躊躇うことなくその手を取った。
ぶつぶつが浮かび肌の色が変色しだしたその手を
体温は高く、苦しそうに浅い呼吸を繰り返す男性、目は虚ろでこちらのことを見ているのかいないのか
体内を見ると細菌が暴れているらしく異物を見てとれる。それを癒しの奇跡で一気に消し飛ばす!
整復に比べればこれくら楽なものだ、数秒で終わるのだから。
セイジの指先から光が溢れたと思った次の瞬間に治療は終えていた。
先ほどまで苦しそうだった呼吸が嘘のように穏やかになり、肌の色も元通り
その変化に案内人と、そして何より当事者が一番驚いた
「えっ・・・!?」
いきなりベッドから起き上がり身体中をぺたぺたと触り出す。
熱はない、どこも痛くもない、ダルくもない!?どういうことだ、と
「病気の治療は初めてですがどうです、どこかまだ違和感なりありますか?」
「な、なんともない・・・さっきまであんな死にそうだったのに。ど、どういうことで?」
「癒しの奇跡ですよ、ありがたいもんですよね。治ったようで何より」
こればっかりは前いた世界の知識だけでは治せなかった、神様に感謝だよ本当。
「さて、とそれじゃあ約束通り治せたから一度報告に戻ろうか。管理人さんも一緒に来てもらえますか?私一人が治ったと言っても信用されるか怪しいので」
「へ、へえそれはもちろん・・・」
ということで管理人さんと三人上へと上がり、外へ出ようとしたのだがドアが開かなかった・・・
「あの、この施設は隔離施設ということで中からは開かないようになってまして」
「あー勝手に出られては困りますもんね、それじゃあちょっと外へ呼びかけてみましょうか」
おーい執事さーん患者一人ちゃんと治したよーとセイジが叫ぶもドアが開く気配がない。
代わりに返事が返ってきたのだが
「治ったかどうか外の私には判断が尽きません、それに一度隔離施設へと入れたものを出して感染が広がっても困るのです。食事は出ますのでそちらにお泊りください」
うん、なるほどその通りだ。しかしそれでは困るのだ、さてどうしたものか
ちらりと隣のエリーゼさんを見るとその顔は怒りのせいか青筋が浮かんでいる。こんな対応されて怒らないほうがおかしいか
ちなみに私はというと事情は理解できるがそれはこちらには関係のない話。そも事前に伝えもしてない時点でにこやかな対応などしてやれない。
「やれやれ、となるとBプランだ。面倒だけど個人から報酬はいただくとしよう。大した金にはならないけれども、まぁいいか!」
幸いにしてレティカ姫のおかげでお金には窮してない。となれば大した稼ぎでなくとも仕事になるのならば問題ない!
結果、セイジが行うのは一人一人に声掛けして後払いでいいから払いたい金額払え、という従来のスタイルを行うのみ。この100人ほどいる人間全員に対して
初作品となりますがいかがでしょうか?
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