旅は道連れ世は情け
馬車に揺られること1時間、着いた町で古着ながら暖かそうなものやらキャンプに使う食器などいくつか買い込むセイジとエリーゼ
冬着ともあり少々嵩張り、二人して大きめのリュックを担ぐ
「うーんお金はあるから馬車を買うのも一つの手では?」
「それも考えはしたのですが維持費が結構かかるので、それと身軽なほうがおそらくいいので却下です」
では馬だけ買おうという話になったのだが、これも維持費を考えると現実的ではなく
必要ならレンタルでその都度使おう、ということに落ち着いた。
そして再び揺られること半日、北東に向かって町や村を経由しながら二人はゆった~りと旅を楽しんでいる。
一緒に乗った人を癒したり、着いた先の病人けが人を治療しながらお金も稼ぎつつ、といった具合で特に何事もなくの旅路だったのだが。
ある時乗っていた馬車がすれ違った馬車に声を掛けられ止められたときに自体は急変しだした。
「おい、こっから北へは行かないほうがいい。流行り病で何人も死んでるんだ、俺も荷物だけ置いて急いで帰ってきた。悪いことは言わないから引き返せ」
「流行り病?うそだろおい・・・」
二人は顔見知りだったらしく、相手の情報を御者の人も疑っていない様子だった。
そんな話を聞いてしまった以上御者の人も進むわけにはいかない、乗客に向かって頭を下げつつ近くの町まで戻ると言い出すではないか
「おじさん、ここから目的地の町まで歩いてどれくらいで着く?」
「おいあんた・・・まさか行く気なのか?どんな事情があるかわからないが止めといたほうがいい。命は大事にするもんだ」
せっかく治す手段があるのに行かないという選択肢は今のところない。
セイジは隣に座るエリーゼへ目配せをして一人馬車を降りた。
「いや、あのエリーゼさんは一緒に来なくていいんだよ。流行り病が落ち着いたら連絡するからそれまで近くの町に避難してて?」
「貴方一人じゃ色々とトラブルを起こしそうなので。これでもシスターですよ、その身分はそれなりに顔も利きます」
止めても無駄だろう、とセイジは仕方なくエリーゼを伴い町へと向かう
御者曰く、歩いて半日しないうちに着くらしい。とはいえ既に時間は昼過ぎ、日も大分傾いている以上野宿は避けられないだろう
適当に良さそうな場所を見つけつつ二人は早めに仕度を済ませ寝ることに。
「一人で野宿してたときはひもじいやら寂しいやらだったけどこうして二人だと違うね」
と、話しかけているのにエリーゼさんはさっさと眠ってしまっている、おかしい、これじゃあ一人の時と大して違わない!
まぁ交代で番をするってことだから先に寝てもらって良かったのだけれども・・・
ぱちぱちと燃える焚火を見つめながらセイジはここまでの旅路を思い返す。
何ともこの世界に来てから激動の日々だなぁ・・・
というか平穏無事な日のほうが少ないんじゃないかとすら思える程度には毎日色々あり過ぎる。
実際トラブルがない日のほうが多いのだけれども、トラブルが濃すぎるのだ。
貴族に目をつけられ王族に目をつけられ・・・平民とのトラブルの方が少ないし可愛いもんだ。
しかしこれから行く町は流行り病か、冗談抜きでエリーゼさんは置いていきたいんだけど、目的地バレてるし撒くのは無理だし、連れていくしかない。
できることは病気対策、あるいはなってもすぐ診てあげることくらいか
自分についてきてくれてるエリーゼを少しでも大事にしたい、セイジはその寝顔を見ながらそう思っていた。
初作品となりますがいかがでしょうか?
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