追放やっほい!
王都だけではなく国外追放
その言葉を聞いて歓喜していたものが一人、それはもちろん・・・セイジ本人である!
心の中ではもう踊り出しそうな勢いで歓喜していた、できることならこの場でランバダを踊り出しそうな勢いで。
追放!?追放!?いいの!?もうこの場から走り去っていい!?ダメ!?ねえダメ!?
先ほどまでの大人しい姿勢はどこへやら、伏した状態でちらちらと周りを伺うもその場の空気はとてもそんなこと許されないような厳格な雰囲気を醸し出している。
ここで下手を打ってはまずい、とセイジはどうするか必死に思案を始める
何やら聖女様は俺をタダ働きさせようとしている、これに乗られてはとても困るので俺としてはどうにか王太子様の意向を誰かに後押ししてほしいところ・・・それができるのはレティカ姫しかない
というかこの場に知り合いがレティカ姫しかいない!
決めるやな無礼を承知でセイジは小さな声でレティカ姫へとささやき掛けた
「レティカ姫様、何卒私を国外追放の処分を後押しくださいませ。王太子殿下に睨まれたまま国にいては最悪命が危ないのです、それならば他国で生きたいとそう思っています。ですので何卒」
額から流れでる血もあってだろう、その嘆願は生きようと、せめて生きようと必死にレティカには見えている
恩人のことすら満足に救えない、そんな自分の無力さを恥じ入るようにレティカは拳を強く握りしめセイジを見降ろす
そして心に決めていた、あの愚かな王太子を引きずりおろして消す、と。そうでなくてはこの恩人に報いることができないと
「わかりました、セイジ様。今は他国で耐えてくださいませ、必ずやお迎えに参りますので」
未だ万全ではない足に力を入れ、レティカは立ち上がって再び王太子へと向き合う。
「ドランテール王国第三王女として国外追放を支持いたします」
その一声でセイジは無事国外追放の権利を得たのだった。
騎士に両側を抱えられ、セイジは謁見の間を退出することに
聖女の声は大きいが、やはりそれよりも大きいのが王族の声。それが二人も支持しているのだからそれを聖女に覆すのは無理だったろう。
この場で満足したのは男二人だけだったろう
セイジと、そして自分の手で他人を裁いた王太子カインの二人だけ
このような愚かな処断をしたカインだが、そのツケを後に支払うこととなる。
無実なセイジから金を巻き上げて、さらに国外へと追放したのだから。
聖女は国の要、王都からもそうそう出せない存在だというのにそれを国の外に追いやったのだ。普通に考えればあり得ない。
セイジが男で平民だった、それがあってもなお癒しの奇跡というのは重いモノなのだが、自分の隣に聖女を置くカインには理解できない感覚なのだろう。
聖女を伴侶にしようとしているカインには
「次見かけたらその首落としてやるからな?速やかに国を出ることだ」
そんな言葉とともに王城から外へと投げ出される、言われずとも国を出るが、速やかとはどの程度の速度なのだろう。てっきり国境まで連れていかれるかと思ったがそんなことはないらしい。
処分としてそれはいいのか。それとも首を落とすためにそうしているのか
「あの押収された私の荷物は?速やかに出るにも金がいるのですが」
「そんなものとっくに処分済みだ、貴族相手から金を巻き上げて命があるだけありがたいと思えよ平民」
そういって笑われてしまった。ということは徒歩でゆっくり国外に出ていいらしい。
というかそれ以外の道がないではないか!
金かなりけっこう持ってたというのに、野宿用の荷物とかもあったんだけどなぁーあぁーもったいない。
まずはさっさと王都だけは出ようと歩き出すと、やはりというかだろうねというかエリーゼさんが物陰から姿を現してくれた。
ちょっとどうしたらいいか相談したかったのでとてもありがたい
「力が足りず申し訳ありません」
開口一番なぜかエリーゼさんが謝罪を・・・なんの力かはわからないけれども、私としてはこの結果に特に不満がないので謝られても困るのだけれど。
まあ不満といえば金もモノもないのが不満というか不便というか
初作品となりますがいかがでしょうか?
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