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第50話 女子会 その2

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 第50話 女子会 その2


「さて、ここからが本番です!」


 みゆきがニヤリと笑いながら切り出すと、テーブルに集まった全員が結衣に視線を集中させた。


「結衣、覚悟してね!」


 咲希がいたずらっぽく目を細めると、結衣は口を尖らせ、うつむきながら頷いた。


「うぅ〜…… 覚悟はできてるよ。」


「じゃあ、聞くわね。今回の事で大輔君との距離がかな〜り近くなったと思うんですけど、そこんとこ、どうなの?」


 みゆきがにやにやしながら問いかけると、結衣は一瞬ためらった後、真っ赤になりながら答えた。


「そ、その…あの……」


 結衣は顔を真っ赤にして、しばらく言葉を探していたが、ついに観念したようにぽつりと答えた。


「…多分、す・好きなんだと思う。」


 その一言に、みゆき、咲希、明里の3人は一斉に歓声を上げた。



「「「きゃ〜!やっぱりそうだったのね!」」」



 咲希が手を叩いて喜び、明里も目を輝かせながら、「もう、絶対そうだと思ってたよ!」と楽しそうに笑った。


「実はね、今日、みゆきと明里と一緒に結衣のこと観察してたんだよ。友達としての距離感が、ちょ〜っとおかしかったの、気づいてた?」


 咲希が楽しそうに指摘すると、結衣は驚いた顔で問い返した。


「えっ? 私、そんなに…?」


「そうよ!面白かったのは、結衣が大輔君にちょっと近づきすぎた時ね。腕が触れそうなほど近くに寄ったら、大輔君が顔を真っ赤にして少し距離を取ったんだけど… その瞬間、またすぐに結衣が距離を詰めたんだよ!」


 みゆきが笑いながらそのシーンを再現するように話した。


「そうそう、その時の結衣、本当に可愛かった!結衣があんなにくっつきたがりだなんて、初めて見たわ!」


 明里も手を叩いて同意し、嬉しそうに付け加えた。


「結衣、完全に大輔君に夢中だったよね。声までは聞こえなかったけど、大輔君、遠目からでも動揺してるのがわかるくらいだった!」


 咲希が笑顔で言うと、結衣は顔を両手で覆ってしまった。


「そう!あの時の結衣は、大輔君にぴったり寄り添ってて、まるで本物のカップルみたいだったんだから! ちょっとここだけ真夏かよって感じだった。」


 みゆきがさらに追い打ちをかけると、みんなで大笑いした。


 3人のからかいに、結衣は顔を真っ赤にして手で顔を覆った。


「え〜〜〜っ!私、全然気づかなかった…」


「まあ、それだけ夢中だったんだよね。実はクラスメイトたちも『あれって付き合ってるの?』ってヒソヒソ話してたんだよ。」



 明里がくすくす笑いながら、さらに追及する。



「そ、そうなんだ…。だって、近くにいるとドキドキするし、離れると胸が苦しくなるし、こんな気持ち、生まれて初めてなんだもん。カップルって、みんなこんな感じなのかな…?」


 結衣は困惑した表情で呟き、恥ずかしそうに俯いた。



「きゃ〜!それって完全に恋だよ!」


 咲希が大興奮で声を上げると、明里も「私も恋してみたい!」と羨ましそうに笑顔で答えた。


「はいは〜い、じゃあなんか用事があるときは、私たちも大輔君に話しかけていいの?」


 みゆきがからかうように言うと、結衣はすかさず反応した。


「ダメで〜す!絶対に私を通してからにしてください!」


「えぇ〜!それって、ちょっと束縛強すぎん…?」


 みゆきが冗談っぽく言うと、結衣は慌てて顔を真っ赤にした。


「ち、違うよ!だって…私、初めてだから、自分でもどうしていいかわからなくて…変なこと言ったら、ちゃんと諫めて欲しいの…暴走しちゃうかもしれないから…」


 その言葉に、みんなは一瞬驚いたが、次の瞬間、優しい笑顔を浮かべた。


「大丈夫だよ、結衣。私たち、ちゃんとサポートするから!」


 みゆきが真剣に言うと、結衣はほっとしたように微笑んだ。


「ところで、結衣、告白はどうするの?」


 咲希が興味津々に尋ねた。


「そ、それは…まだ…できないかも…。 あんなことがあったし、大輔君のことを信じてあげられなかった自分がいるから…。 もう少し時間が欲しい。き、嫌いって言われたら、立ち直れない…」


「そっか… まぁ、クラスでの様子を見る限り、そんなことにはならないと思うけどね。でも、結衣がそのつもりなら、それでいいと思う。」


 みゆきは結衣の不安を理解し、優しく頷いた。


「ただ、ちょっと急がないとね。ほら、結衣の幼馴染である梨香は、大輔君のことが好きっぽいし、あの子が先に動くかもしれないよ?」


 咲希が軽くからかうように冗談を言うと、結衣は焦った表情で身を乗り出した。


「うぅ〜、それは困る…。実は、葵ちゃんも『どちらも応援する』って言ってたし…。でも、焦っても意味がないよね。私たち全員で協力して、大輔君を支えていくことが大切だよね。」


「そうね!」


 みゆきが元気よく声を上げる。


「葵ちゃんも言ってたけど、大輔君は人を騙したり、裏切ったりするような人じゃないし、私たち以外と仲良くしてるところも見たことない。もし、何か『あれ?』って思うことがあったら、4人で話し合ってから決めるようにしよう。」


「うん、それに、1人で勝手に判断しないって約束もね。」


 明里が真剣な顔で言葉を続ける。


「私たち全員で、大輔君のことを理解してあげるためにも、みんなで協力していくのが大事だよ。」


 結衣は、その言葉に心を打たれたように頷き、「そうだね。私も1人で決めつけることはしない。何かあったら、必ずみんなに相談するよ。」と、少し照れたように微笑んだ。


「そうだ!それから、結衣の報告会はこれから頻繁に行うことにしよう。別名『結衣さんをいじろうの会』ってことで!」咲希が冗談っぽく提案すると、全員が笑い出した。


「えぇ〜!?ちょっと、それって私がからかわれるだけじゃない!」


 結衣は、慌てた表情で抗議したが、その頬は少し赤く染まっていた。


 夕陽がカフェの窓から優しく差し込み、4人の姿を温かく包んでいた。これからもお互いを信じ合い、大切な絆を守っていくという強い決意を共有しながら、彼女たちはこれからも一緒に歩んでいくのだろう。


 その瞬間、彼女たちの友情と新たな恋が、さらに深まっていく予感を感じさせる、そんな穏やかで温かな時間が流れていた。


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