第32話 女子会
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第32話 女子会
放課後、夕暮れのオレンジ色が街を染める頃、カフェに集まったのは、結衣、咲希、明里、そしてみゆきの四人だった。
学校の疲れを癒すように、ふんわりとしたソファに体を預け、まったりとした雰囲気の中、彼女たちの話題は一つ 「結衣と大輔」だ。
「よし、それじゃあ第1回『結衣と大輔君の今を語ろうの会』を開催します!」
「え、ちょっと待って、咲希。 なんで私の話なの?」
「だってさ〜、最近の結衣ちゃん、明らかに大輔君となんかあるでしょ?みんな気づいてるんだから隠しても無駄だってば。ね、明里?」
「そうそう、私も気づいてたよ。結衣って、男の子と話すの苦手なのに、大輔君とは普通に話してるじゃん?あれ、ちょっと意外だったもん。」
「うう、やめてよ!別にそんなのないし!男の子なんて、よくわかんないし、怖いし……。」
結衣はストローを噛みながら、小さな声で反論する。だが、その声にはどこか迷いが混じっていた。そんな結衣を見て、みゆきが意地悪そうな笑顔を浮かべた。
「じゃあさ、もし結衣がわからないなら、私が恋人に立候補しちゃおっかな〜」
「だ、だめだよ!」
結衣が即座に反応して、みんなの笑い声がカフェの中に響き渡った。
「ふふふ、それって嫉妬じゃない?」
明里が笑いをこらえながら指摘すると、結衣は困った顔をして、ますます口を尖らせる。
「だって、ほんとにわかんないんだもん…しょうがないじゃん。」
結衣は、ますます口を尖らせ、頬をぷっくりと膨らませる。
「まぁまぁ、文化祭で一緒に回れるようにこっちで協力するから、自分の気持ち確かめてみなよ。」
咲希が肩をポンと叩きながら助言する。
「正直ね、私から見たら、結衣が大輔君と一緒にいるとき、女の顔になってるよ。」
「な、何よ。その女の顔って?」
結衣は驚いたように目を見開く。
「うんうん、確かに〜。」
全員が頷きながら同意する。その一斉の反応に、結衣はますます居心地が悪そうにソファに沈み込んでいく。
「じゃあさ、結衣さん。大輔君といるとどんな感じなんでしょうか?」
みゆきがスプーンをマイクのように持ち、インタビュアーのように結衣に向けた。
「えっ!?そ、そんなこと急に言われても…」
「ほらほら、ちゃんと答えてよ。私たちみんな興味津々なんだから。」
咲希が楽しそうに追い打ちをかける。
「うう〜、だから…その、なんか…落ち着くっていうか…」
結衣は、モゴモゴと言葉を探しながら、スプーンを持つ手が微妙に震えていた。
「落ち着くってことは、やっぱり特別な存在ってことだね〜。」
「も〜、ほんとに何もないんだから!」
「でもさ、結衣がそう言っても、私たちはちゃんと見てるからね。」
みゆきがにっこり笑いながら続ける。
「結衣が大輔君と一緒にいるとき、いつもよりリラックスしてる感じがするんだよね。」
「そうそう、なんか自然体って感じだよね。」
明里も頷きながら言葉を重ねる。
「まぁ、結衣がどう思ってるかは本人次第だけど、少なくとも私たちから見たら、いい感じだと思うよ。」
咲希が優しくフォローするように言った。
結衣はその言葉を聞いて、しばらく黙っていたが、やがて小さく呟いた。
「…よくわかんないけど、なんか不思議な気持ちになるのは確かかも。」
「おっ、それってまさに恋の始まりじゃない?」
みゆきが得意げに笑うと、全員が「うんうん」と頷き、結衣はますます顔を真っ赤にした。
「文化祭のときに、もうちょっと自分の気持ち、探ってみるしかないかもね。」
咲希が締めくくり、女子会はさらに盛り上がっていった。
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