表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/53

第32話 女子会

お読みいただきありがとうございます。よろしければ、ブックマークや★の評価をお願いいたします


 第32話 女子会


 放課後、夕暮れのオレンジ色が街を染める頃、カフェに集まったのは、結衣、咲希、明里、そしてみゆきの四人だった。


 学校の疲れを癒すように、ふんわりとしたソファに体を預け、まったりとした雰囲気の中、彼女たちの話題は一つ 「結衣と大輔」だ。



「よし、それじゃあ第1回『結衣と大輔君の今を語ろうの会』を開催します!」


「え、ちょっと待って、咲希。 なんで私の話なの?」


「だってさ〜、最近の結衣ちゃん、明らかに大輔君となんかあるでしょ?みんな気づいてるんだから隠しても無駄だってば。ね、明里?」


「そうそう、私も気づいてたよ。結衣って、男の子と話すの苦手なのに、大輔君とは普通に話してるじゃん?あれ、ちょっと意外だったもん。」


「うう、やめてよ!別にそんなのないし!男の子なんて、よくわかんないし、怖いし……。」


 結衣はストローを噛みながら、小さな声で反論する。だが、その声にはどこか迷いが混じっていた。そんな結衣を見て、みゆきが意地悪そうな笑顔を浮かべた。


「じゃあさ、もし結衣がわからないなら、私が恋人に立候補しちゃおっかな〜」


「だ、だめだよ!」


 結衣が即座に反応して、みんなの笑い声がカフェの中に響き渡った。



「ふふふ、それって嫉妬じゃない?」


 明里が笑いをこらえながら指摘すると、結衣は困った顔をして、ますます口を尖らせる。



「だって、ほんとにわかんないんだもん…しょうがないじゃん。」

 結衣は、ますます口を尖らせ、頬をぷっくりと膨らませる。



「まぁまぁ、文化祭で一緒に回れるようにこっちで協力するから、自分の気持ち確かめてみなよ。」


 咲希が肩をポンと叩きながら助言する。


「正直ね、私から見たら、結衣が大輔君と一緒にいるとき、女の顔になってるよ。」


「な、何よ。その女の顔って?」


 結衣は驚いたように目を見開く。


「うんうん、確かに〜。」


 全員が頷きながら同意する。その一斉の反応に、結衣はますます居心地が悪そうにソファに沈み込んでいく。


「じゃあさ、結衣さん。大輔君といるとどんな感じなんでしょうか?」


 みゆきがスプーンをマイクのように持ち、インタビュアーのように結衣に向けた。


「えっ!?そ、そんなこと急に言われても…」


「ほらほら、ちゃんと答えてよ。私たちみんな興味津々なんだから。」


 咲希が楽しそうに追い打ちをかける。


「うう〜、だから…その、なんか…落ち着くっていうか…」


 結衣は、モゴモゴと言葉を探しながら、スプーンを持つ手が微妙に震えていた。


「落ち着くってことは、やっぱり特別な存在ってことだね〜。」


「も〜、ほんとに何もないんだから!」


「でもさ、結衣がそう言っても、私たちはちゃんと見てるからね。」


 みゆきがにっこり笑いながら続ける。


「結衣が大輔君と一緒にいるとき、いつもよりリラックスしてる感じがするんだよね。」


「そうそう、なんか自然体って感じだよね。」


 明里も頷きながら言葉を重ねる。


「まぁ、結衣がどう思ってるかは本人次第だけど、少なくとも私たちから見たら、いい感じだと思うよ。」


 咲希が優しくフォローするように言った。


 結衣はその言葉を聞いて、しばらく黙っていたが、やがて小さく呟いた。


「…よくわかんないけど、なんか不思議な気持ちになるのは確かかも。」


「おっ、それってまさに恋の始まりじゃない?」


 みゆきが得意げに笑うと、全員が「うんうん」と頷き、結衣はますます顔を真っ赤にした。


「文化祭のときに、もうちょっと自分の気持ち、探ってみるしかないかもね。」


 咲希が締めくくり、女子会はさらに盛り上がっていった。


筆者の励みになりますので、よろしければブックマークや★の評価をお願いいたします。温かい応援、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ