第25話 夕食会へ
夕方になり、勉強が一段落ついた頃、ふと大輔が提案をした。
「ねぇ、みんな、そろそろ夕飯の時間だけど…どうする?もし良かったら、このままみんなで夕飯作って食べてく?」
その提案に、結衣と梨香は驚きつつも、顔を見合わせて笑みを浮かべた。
「大輔君。それ、いいね!みんなで夕飯を一緒に作って食べるの、楽しそう!」
「先輩。本当にいいんですか?」
「うん。葵いいよね?」
「パパは、出張でゴールデンウィークは不在だから、うちは問題ないよ。あっ、でも浅見先輩と梨香ちゃんは突然のことだから家族の許可取らなきゃ。」
それぞれ家に電話して確認をとったら、夕食を食べてきても良いと許可をもらったようだった。
「じゃあ、みんなで何か簡単な料理を作ろうよ。カレーなんかどうかな?」
「カレーいいね!じゃあ、みんなで作ろう!」葵が張り切って言い、早速キッチンへ向かった。
大輔、葵、結衣、梨香の4人はそれぞれ役割を分担し、夕飯の準備に取り掛かった。結衣は野菜を切り、梨香はお米を炊き、大輔は肉を炒め、葵はルーの準備をした。
キッチンでは、楽しげな笑い声が響いていた。
「ねぇ、大輔君、お肉ってもう炒め終わった?」結衣が振り返って尋ねる。
「うん、あとちょっとで完成だよ。」
「よかった〜。じゃあ、そろそろルーを入れるね!」葵が楽しそうに鍋にルーを入れた。
カレーの香りが部屋中に広がり、みんなの顔に自然と笑顔がこぼれた。夕飯の準備が整い、4人はリビングのテーブルに料理を並べて座った。
「やっぱり、みんなで作った料理って美味しいね。」梨香が笑顔で言い、他のみんなも頷いた。
「うん、ほんとだね。勉強もしたし、夕飯も一緒に食べて…今日は本当に充実した日だな。」大輔がしみじみと呟いた。
結衣も笑顔で、「こうやってみんなで過ごせるの、楽しいね。また次回も勉強会しようね。」と提案した。
「うん、そうだね。また集まって勉強しよう!」大輔は頷き、みんなで勉強をしながら楽しい時間を過ごせることを心から嬉しく感じていた。
その時、葵が何気なくニヤリと笑いながら言った。
「おにい。何か手伝って欲しいことない?」
「ん?特にないけど…どうした?」
「いや、ただちょっと見てるだけでも楽しかったからさ〜。少女漫画みたいなシーン、もっと見れないかなって!」
「えっ?何のこと?」
葵の言葉に大輔は戸惑いながらも、彼女の冗談めいた発言を笑って流した。他の3人も笑いながら、楽しい食事の時間を共有した。
夕食を終え、リビングで少し話し込んだ後、時間が遅くなってしまったことに気づいた。
「もうこんな時間か…」大輔が時計を見て呟くと、結衣が少し心配そうな顔で言った。「帰り道、暗いね…大丈夫かな?」
「うーん、夜道は危ないし、僕が送っていくよ。葵、家のことは頼んだ!」
「えっ、いいの?大輔君に送ってもらうなんて…」結衣は驚いた様子だったが、大輔は笑って頷いた。
「もちろん。結衣さんも梨香さんも、夜道は一人だと心配だしさ。」
梨香が嬉しそうに言った。「やった〜!大輔先輩が送ってくれるなんて、安心!」
「おにい、しっかり送ってあげてよ〜!」葵が茶化すように声をかけ、大輔は苦笑しながら2人と共に外へ出た。
夜風が心地よく、3人で歩く中、結衣がふと思い出すように言った。「今日の勉強会、楽しかったね。みんなで一緒に勉強するなんて、新鮮だったなぁ。」
「うん、私もすごく楽しかった!特に、先輩に物理を教えてもらった時、すごくわかりやすかったです!」梨香が大輔に感謝の言葉をかけた。
「そう?良かった。僕も久しぶりにこんなふうに勉強会できて楽しかったよ。」大輔が笑いながら答える。
「またやろうね、次のテスト前も!」結衣が少し照れながらも、期待するように声を上げた。
「うん、もちろん。次も頑張ろう!」大輔は頷き、3人の距離が少し縮まった気がする帰り道を歩き続けた。
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