表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/13

Dream7 「実家帰省」

Dream7

「実家帰省」



■登場人物

・俺

・母

・老人

・外国人

・おばさん

・N子ちゃん

俺は病気のこともあり実家へ帰ることになった。


実家は北海道の端の方で、山に囲まれた村だった。

すれ違う人なんて大体顔見知りである。


自然豊かでもあるし精神的にも落ち着くであろう。

実家なのでご飯も出る。


ただ、病気だからと言って勝手にお金が生まれるような社会ではない訳で。

当然仕事を探さないといけないと思っていた。


そう思っていたが、帰省したその夜に母から仕事の話をされた。


母  「あんたはうちの家業を継ぎなさい」


俺  「家業?そんなんあったけ?」


父は数年前に亡くなっている。

その父も自営業ではなく働いていた。


母も普通の仕事についていたはずだった。


母  「実は私たちの家系は裏でスパイをしているの」


俺  「スパイ!?w」


おちょくっているのか、元気でも出させようとしてくれているのか分からない。


俺  「それは是非ともやってみたいですねw」


母  「いや本当だから」


俺  「はいはい。じゃあ何をするんですか?」


母  「実は明日、公民会館で大きなイベントがあるんだけど

    今から下見に行ってほしいのよ」


俺  「え、今夜!?もう0時近いんですけど!?」


母  「夜の方が都合がいいでしょ?

    今日は私もついていくから」


随分と本格的なおふざけが始まったようだ。

公民会館は昔から知っている場所だ。


子供のころ、緊急避難はしごを使って屋根に上り遊んでいたことを思い出す。

それに、そんな大きな建物でも無かったはずだ。


母  「とりあえず着替えて?」


渡されたのは、全身真っ黒の衣装。

母親はいつの間にか着替えており、

黒いぴちぴちの、つやつやで、いかにもスパイといった格好だ。


流石に母親のぴちぴちな姿は精神的に厳しいものがある。

療養での実家帰省でもあったはずなのだが・・・


俺の衣装は幸いぴちぴちではなかったので仕方なく着替えた。


母  「よし、いくよ」


なんかこう、スパイに対して本気でやる気満々な母を見るのも

複雑な気分だ。


俺  「・・・はい」


そうして公民館についた。


俺  「いやでっか!?こんな建物だった!?」


記憶の中の公民館はそこにはなく

小さめのショッピングセンター位になっている。


母  「あんたがいない間に改築されたからね」


俺  「あ、そうなんだ。村のくせに公民館に金かけんなよ。

    ショッピングセンターにしてくれた方が助かるわ」


母  「定期的に色んな方を招いてパーティーイベントを行っているんだけど、

    どんどん規模も大きくなってきてね。明日は海外からも沢山人が来るのよ」


俺  「あ、そうなん?凄いことやってんのね」


母  「一応海外からの来客も多くなるからテロ対策としての依頼ってわけよ」


俺  「誰がこんなちっさい村にテロしかけんだよ!

    メリットねーだろw」


母  「念のためだから!」


そう言って二人で建物に入った。


俺  「すげー。めちゃくちゃ綺麗じゃん」


母  「油断しない!」


俺  「なんかあんの?」


母  「敵がいるかもしれないんだから!」


俺  「はいw」


そういって二手に分かれた。

俺は止まったエスカレーターを上っていく。


俺  「こういう普段動いてるものが、止まった状態ってのもワクワクするよなぁ」


そんな独り言を呟きながら、建物全体をぐるっと1周した。

もちろん爆弾も、敵も見つからなかった。


下で母と合流し、母の方も同じ結果だったらしい。


母  「何もなくてよかったね!」


俺  「なんかあったら困るしな、別に闘えるわけでもないし武器もないし

    今度からは、まずそういう準備からしてもらっていい?」


母  「明日から少しずつね。

    でもまぁ実践経験が一番でしょ?」


俺  「ある程度基礎があるやつはな?

    0から実践て、なかなか聞かないからw」


そのあとは家に帰り、明日のパーティーに備えて就寝した。


パーティー当日。

パーティーは夕方からの開催だった。


特にスーツ等の正装があるわけでもなく、

老人やら外国人が集まってワイワイ交流して、

飲んだり食べたりするだけのものらしい。


個人的には楽しみな気分で会場に向かった。


始まったばかりの時間だというのに、

会場は沢山の人(主に老人やおっさんども)で溢れ、

すでに酔っている人ばかりだ。


俺  「ただの飲み会じゃん・・・」


地元の祭りを思い出した。

なぜか必ず朝から晩まで酒飲んでるおっさん居るんだよな。


そんな感じだ。


俺  「うお!!」


会場にはビュッフェ形式で美味しそうな料理がたくさん並んでいた。


俺  「肉食い放題じゃん!!!」


地元のやつに会うと思ってたけどそんなこともなく

老人と外国人ばかりで話すような人もいなかった。


なのでひたすら肉を食い漁った。


俺  「うまぁ。久しぶりのちゃんとした飯だぁ・・・」


ついでにお酒も飲んだ。

普通に楽しくなってきた。


酒も入り楽しくなると交流も増えるもので

おっさんや外国人と話すことも増えた。


外国人 「オマエ、アレウタエ!!」


ここにはカラオケゾーンもある。


勝手に入れられた曲は有名なアニソンだった。


俺  「これ知ってんの!?凄いね!

    てか日本のアニメってすげーのな。」


俺は一応歌った。

とても盛り上がっている。


そこからの記憶はほとんどない。

何回かトイレに行ったような気もするが・・・


帰りには酔いも醒め始めてきた。

建物から出ようと、出口に向かうと張り紙を見つけた。


『中学校運動会』


どうやら明日のようだ。


俺  「え!まじで!?ヤバいじゃん!なんの用意もしてない!」


なぜ焦ったのか分からないが、

確か大人たちの徒競走みたいなのがあった気がする。


出なきゃならんだろう。

スパイなんだし、足早いとこ若い子に見せたいし。


俺  「ちょうど運動靴も履いてきてるしな!」


そう思って自身の靴を見た。

なぜかびしょ濡れになっている。

まるで水洗いをしたようなレベルだった。


俺  「え、なんで!?何があったのこれ!?

    明日までに乾くかな・・・」


そう思いながら家に帰った。

家に着くと、家を取り囲むようにお花が植えられていた。


俺  「うお!なにこれ!?」


母  「なんか昨日の安全確認のお礼なんだってさ!

    綺麗だね~」


俺  「そうなんだ!すげぇ~!」


母  「あんたの方はどうだったの?」


俺  「何事もなく楽しませてもらったよ」


母  「お腹は?空いてる?」


俺  「1ミリも空きはないねw」


母  「あら残念!今お花のお礼に、夕飯を御馳走することになってね。

    作りすぎちゃったから食べてほしかったんだけど・・・」


家の中に入ってご飯を見ると

机いっぱいの大量のから揚げがあった。


俺  「作りすぎだろ!」


母  「気合が入ってしまったわw」


俺  「でもまぁ唐揚げならいける。」


母  「あ、そう?よかった~!」


不思議と唐揚げを見るとお腹が減ってきた。

基本的にお肉が大好きなので別腹になってしまう。


久しぶりに見る母のから揚げに懐かしさを感じていると

インターホンが鳴った。


母  「あ!来た来た!」


お花を植えてくれた家族が来たようだ。


おばさん 「すいませ~ん、お邪魔します~」


母  「なんもなんも~。あがって~!」


女の子 「お邪魔します~!」


おばさん 「あら!息子さん!?大きくなったね~!」


母  「図体だけ大きくなっっちゃってさ~!」


俺  「お花、ありがとうございました!めっちゃ綺麗です!」


おばさん 「全然よ~!ほらあんたも挨拶しなさい?」


女の子 「N子です!すいません!お邪魔します!」


俺  「どうぞどうぞ!(中学生くらいかな?)」


N子  「うわー!美味しそう!」


母  「どんどん食べてね!」


俺・N子 「いただきまーす!!」


早速食べる!

うめー!!!これこれ!母さんの味だわ!


N子 「すごい美味しいです!!」


俺  「懐かしいわ!うまい!」


母  「それはよかったです!」


食い進めていく2人。

親たちは雑談をしている。


そして別腹と言っていた俺にもとうとう限界が来た。

それでも10個くらいは食ったんじゃないだろうか。


だが、全く減る様子のない唐揚げたち。

やっぱ作りすぎだって・・・


俺  「ふ~食った食った!」


N子 「え?もう食べないんですか?」


俺  「俺今日パーティーで腹いっぱい食べちゃってんのさ」


N子 「あー!そうだったんですね!」


俺  「N子ちゃんは中学生くらい?」


N子 「はい!中2です!」


俺  「そっか!明日運動会なんでしょ?」


N子 「そうなんですよ!」


俺  「頑張ってね!見に行くし参加もする予定だから!」


N子 「ありがとうございます!」


そう言ってN子ちゃんはまた唐揚げを食べる。


N子 「ご飯のお替りもらってもいいですか!?」


俺  「まじで!?めっちゃ食うじゃんw」


俺はご飯をよそって渡した。


N子 「ありがとうございます!」


そしてみるみる減っていく唐揚げとお米たち


俺  「すっげ~・・・(たくさん食べる女の子ってなんかいいよな)」


そんなことを思っていると、ふと誰かを思い出しそうになる。


同じく女の子でよく食べる子だった気がする。

シルエットしか出てこない。


俺  「(誰だっけな・・・)」


おばさん 「ちょっとあんた!食いすぎよ!?」


N子 「美味しくてついw」


母  「作った甲斐があるってもんだわ!」


N子 「御馳走様でした!ほんとに美味しかったです!」


母  「お粗末様です!」


おばさん 「あーもう。私たちの分がほとんどないじゃん!」


母  「まぁ私たちはそんなに食べれる年齢でもないしいいでしょw」


おばさん 「まぁそうだけどさ~」


母  「あんた方は順番決めてお風呂はいってきな?

    今日はお泊りしてもらうことになったから!」


俺  「あ、そうなんだ。了解。」


N子 「あ、流石に先に入ってください!!」


俺  「そう?ありがとう!じゃ、早めにあがるね!」


N子 「いえいえ!ごゆっくり!」


そうして俺たちは交互にお風呂に入り、

N子ちゃんが上がってきた。


N子 「お風呂ありがとうございました!」


母  「いえいえ~」


N子ちゃんの頭は癖っ毛なのか。

クルクルになっていた。


俺  「すごい癖っ毛だね!!」


N子 「そうなんですよ~・・・ドライヤー借りてもいいですか・・?」


俺  「もちろんもちろん!」


俺はドライヤーを持ってきた。


俺  「てかこれ後ろとか自分でどうにかできる癖っ毛じゃなくない?

    乾かしてあげよっか?」


N子 「え!?わるいですよ!!」


俺  「いや全然よ?あ、もし髪触られるの抵抗あるとかならあれだけど!」


N子 「いえ!そんなことはないです!」


俺  「ならやったげるよ!あっち向いて?」


俺はなんとなく美容師が言ってた上から乾かすことで、

キューティクルがどうとかって話をもとに上から当てて乾かしていく。


N子ちゃんの髪を乾かしていると、

また誰かを思い出しそうになる。


俺  「(なんかおれ、誰かの髪こんな感じで乾かしてあげてた気がするなぁ)」


またシルエットしか思い浮かばないが

さっきと同じシルエットだった。


なぜか心に突っかかる。

きっと地元の子ではない。


でももう会えないようなそんな予感だけがする。


N子 「もう大丈夫です!ありがとうございます!」


俺  「ん?あ、あぁ!どういたしまして!」


いつの間にかすっかり髪は乾いていた。


そうしてそのまま俺たちは寝ることになった。

もちろん別の部屋で。


運動会当日。


N子ちゃんも頑張っていた。

昨日知りあったとはいえ、知っている子がいる組を応援したくなるものだ。


俺  「頑張れー!!!」


N子ちゃんは飛び跳ねながら

こっちに手を振っている。


そしてとうとうその時がやってきた。


アナウンス 「次の競技は、保護者によるマラソンです!

       参加者の方は準備をお願いします!」


俺  「・・・・マラソン!?距離も時間も長くない!?

    マラソンだけでメインイベントだろ!運動会の中でやることじゃねーよ!!」


俺は短距離は得意だが、長距離は大嫌いだった。

疲れる時間、つらい時間が長いからだ。


でもここで俺は気づいた。


俺  「いや待てよ・・・そもそも俺の親族は運動会に参加してないんだから

    出る必要なくね?てか、出られなくね?・・・・あっぶね~」


するとN子ちゃんが遠くから聞こえる。


N子 「俺くん~!!!!がんばってくださーい!!!!」


そしてN子ちゃんのおばさんがやってくる。


おばさん 「俺くん、まだ若いよね?登録しといたからw」


俺  「噓でしょ!?なにしてんすか!?」


母 「ほら!いってこい!」


俺は嫌々スタート位置につく。


俺  「最悪だ・・・」


そして足元を見る。


靴がべっちょべちょだった。



俺  「最悪だ・・・」



~~おはよう自分。

  復職してから久しぶりに業務再開になった。

  しかし、昨日の夜にとある連絡が入った。


  俺は今後、実家に帰らざるを得ない状況になるかもしれない。

  新たに再スタートを切る場所がどこになるのか、

  俺は実家で再スタートを切れるのか。

   

  そんな思いが、実家、マラソンという形で現れたのだろう。


  そして今住んでいる場所への思い出やら色々なものが

  実家帰省に対する足どりの重さが、濡れた靴となって現れたのではないだろうか。

  今回の夢は特段面白くもない夢であったが分析してみると繋がるものだな。


起床

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ