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Dream2 「先生と生徒の関係」

Dream2

「先生と生徒の関係」



■登場人物

・俺

・先生(あだ名:K子ちゃん)

・中学時代の友達

・先生の兄

・先生の妹

・先生の旦那

俺の中学時代の話だ。

美術と音楽を受け持つ女性の先生がいた。

記憶が定かではないが当時30代で旦那も子供も居る綺麗な先生だった。

明るくて優しい先生だった。


中学生なんて思春期真っ盛りである。

やんちゃないたずら小僧だった俺には

そんな先生をターゲットにしない理由がなかった。


そしてそう思うのは俺だけじゃなかった。

俺の周りの仲のいい友達グループも同じ考えだ。


まずはみんなで先生を下の名前で呼ぶことにした。

登校時、早速先生を見つけた。


俺  「おはよ!K子ちゃん!」


先生 「おはようだけど、下の名前で呼ぶな!先生でしょ!」


俺  「別にいいじゃん!そんくらい!」


そして、俺は逃げるようにそのまま教室まで走る。

そのあとに続く友達たちも同じことをする。


友達 「おう!K子ちゃん!」


先生 「ちょっ!あんたたちね~先生だっての!」


最初はこんなもんだった。

しかし、これで終わるわけがない。


授業のため美術室に向かっていると、

先生を廊下で見つけるたので後ろから長い丈のスカートをめくる。


先生 「キャッ!!」


俺  「ほーう!白ですか!!」


先生 「あんたね!これはセクハラって言うんだよ!しかも白じゃないし!」


俺  「白じゃない情報あざーす!!!」


そしてまた走って教室に逃げ込む。

友達たちも同じようなことをして逃げる。


先生 「あんたたち訴えられたら大変なことになるんだからね!」


今思えばその通りだ。

先生次第で俺たちの人生は変わってしまっていたであろう。

でもそんなことはせず注意をしながらも、

生徒とのコミュニケーションとしてやり取りを楽しんでくれているような、

そんな優しい先生だった。


1日の時間割の中で美術と音楽が2つもある日なんて最高の日だった。

美術の時間、友達が自身の描いた絵を先生にハグをしながら提出していた。


先生 「だから、やめろっての!セクハラだって言ってるでしょ!」


また笑いながら付き合ってくれる先生。

当然俺だってマネをする。


俺  「できたよ!K子ちゃん!」


後ろからハグをする。

なんかめっちゃいい匂いがした。


先生 「おまえもか!離せっての!!!」


俺  「絵の感想を言ってくれれば離すけど?」


先生 「はいはい、よくできました!離しなさい?」


俺  「適当な感想いうなよ!

    あ~あ、先生のせいで俺の美術に関する未来はなくなったね!」


先生 「美術だけじゃなく色んな未来がなくなる前に離しなさい?」


俺  「嬉しいくせに~!」


満足した顔で席に戻る俺。

そして、次は先生に何をするか考えて過ごす。

とても楽しい時間である。


俺  「お、いいこと思いついた!」


音楽の時間がやってきた。


生徒 「起立、着席、礼、着席」


今思えば、なんでこんな軍隊みたいな挨拶しなきゃならなかったのかわからない。

この一連の動作で学んだことなど一つもない。


先生 「はーい、始めまーす」


先生はいつも通り大きなピアノの前に立ち授業を開始する。

友達たちがクスクス笑っている。


先生 「・・・?またあんた達何か企んでるな?」


友達 「別に~?」


先生 「あれ?”俺”いなくない?」


友達 「あいつお腹痛いって保健室いきましたw」


先生 「あ、そうなんだ。大丈夫かね~」


そう言って先生は授業は進めていく。


先生 「じゃあまずはみんなで歌ってみようと思います」


ある程度授業が進み、先生はピアノの椅子に座った。


先生 「うわっ!!!!びっくりした!!!!!」


先生は大きな声を上げる。


先生 「あんたなにしてんの!?」


先生はピアノの下をのぞき込む。

俺は授業の開始前からずっとピアノの下に隠れていた。

そして仰向けのままスカートの中を覗いていた。

そう。犯罪者なのである。


俺  「気づくの遅くない!?」


先生 「もー!怖いからやめてよ!早く席ついて!」


俺  「うぃ~す」


そしておれは先生に耳打ちした。


俺  「今日は本当に白なんすねw」


先生 「!?・・・はぁ。はやくもどれ」


先生は呆れた顔をしていた。

でも俺は満足していつも通りハグをする。


俺  「K子ちゃん愛してるよん!

    旦那に飽きたらいつでも連絡して?相手すっからw」


先生 「バカか!」


そんな毎日が続いていた時だった。

授業終わりに友達たちが順番に先生にハグをして教室を出ていく。


「やめろ!」「セクハラだっての!」


そんないつものツッコミを丁寧に1人ずつして、友達たちの腕を払いのけていく。

そして最後、当然俺もハグをする。


俺 「K子ちゃん!今日も愛してる!」


すると他のやつらと同じように、

俺の手に自分の手を重ねていつも通り払いのけられる。


と、思っていたのだが手は重ねられたままだった。


俺  「?」


周りの生徒は全員教室からいなくなり、2人きりの空間だった。


先生 「こんなおばさんのなにがいいの?若くもないのに」


そして、手を握りしめられる。


俺  「・・え?」


先生 「・・・」


答えるまで離さないつもりか?

なんで俺だけ?


俺  「いや、普通にK子ちゃん可愛いじゃん。

    いい匂いするし!」


先生 「物好きだね?ありがとう。」


そう言って俺の手をポンポンとたたき手を放す。

俺もハグするのをやめ、教室を出る。


俺  「(え、なにこれ!?俺だけほかのやつと対応違くない!?

    拒否、拒否、拒否ときて、最後に『受容』て!!!流れが違うんすけど!?!?)」


中学生の俺は単純である。

こんなんされたらもう好きなんです。


次の日から俺は決めた。

他のやつらを出し抜き先に大人の階段を上ると。


今まで通りのいたずらはもちろん続けた。

しかし、それとは別にK子ちゃんの授業は真剣に取り組むことにした。

どうすることが他のやつらとの違いを生むかぐらいはわかる。


変なところだけ頭が働き、ずる賢いのだ。


当時選べる選択授業もK子ちゃんの授業にした。

おかげでドラムを叩けるようになった。


「俺の計画は順調だ」


そう思っていた。

でもK子ちゃんは大人でちゃんと先生だった。


あの日以降特別なことなど起きることもなく、年月は経ちそのまま卒業式を迎えた。

今日が最後のハグだ。


俺  「K子ちゃん愛してるよ!いつでも呼んでくれたら会いに来てあげるから!」


先生 「最後までそれか!わかったわかった!高校でも野球頑張りなよ?」


俺  「おう」


先生 「私の旦那、”俺”の高校と違うけど野球部の監督なんだよ!

    だから情報は入ってくるからね?」


俺  「え、そうなの?」


先生 「最近別の高校に異動したけど、異動前は”俺”の高校の野球の監督だったから

    これから旦那とは接点あると思うよ?」


俺  「へーすごっ!ようやく旦那の顔を拝めるってわけね?

    俺とどっちがかっこいいかな?」


先生 「生意気だな!でも顔は”俺”の方がいいわw」


俺  「じゃあまだチャンスはありますね~!」


先生 「世の中外見だけじゃないの!」


俺  「じゃ、連絡待ってるわ!」


先生 「はいはい。卒業おめでとう!」


そうして高校に進学し部活で忙しく、中学校にも行けるわけもなく、

先生との関りはなくなった。

言ってた通り、練習試合や合宿で先生の旦那さんにも会った。


「中学生の時には奥さんに大変お世話になりました!」


そんな挨拶を交わした。

別に先生を忘れられないなんてこともなく、彼女だって出来た。


そして高校2年の大会前日の事だった。

うちの高校では大会前日から部員全員が、大会会場近くに泊まるという決まりがあった。

K子ちゃんの旦那さんの時代からそうだったようで、旦那さんの高校も泊まっている。


その夜、ホテルで夕食を食べているとK子ちゃんの旦那さんから声がかかった。


K子ちゃんの旦那 「これ、今妻から贈り物もらってきたから渡すぞ」


俺  「え!?あ、はいっ!ありがとうございます!」


野球部らしく席を立ち深々と頭を下げた。


部員 「なにそれ?どういう関係?」


俺  「奥さんが中学の時の先生なのよ」


部員 「へー!そうなんだ。でもお前の中学のやつって他にもここにいるよな?」


俺  「うん。なんなら後輩のあいつとかその先生が担任だったしな。

    みんなになんじゃね?」


俺の野球部には同級生に1人。後輩に1人同じ中学校出身者がいる。

しかも後輩に関しては担任がK子ちゃんだった。

旦那さんの高校にも当時K子ちゃんをからかっていた友達が1人いた。


俺  「(このメンツであえて俺に渡すか?)」


俺はなんとなくその場では開けず、部屋に持ち帰ってから贈り物を確認した。


中身は1枚のCDと手紙だった。


手紙にはしっかりと俺宛で名前が書かれていた。

どうやらほかのみんなではなく俺だけに送られたもののようだった。

食堂で開けなくてよかったと思った。


手紙を読んでみる。


「野球頑張ってるみたいだね?旦那の高校もあるから複雑だけど応援してる。

 昔から今もやってる甲子園の番組があってね。

 その番組に使われていた曲が好きだったんだよね。是非聴いてください。

 夢に向かって頑張れ!”俺”!目指せ!甲子園!」


俺  「ははっ。アーティスト古くね?曲名もわからんし。

    しかもホテルでCD聞けないしw

    てか自分が担任した生徒に送れよ・・・

    いや、俺だけじゃなくて全員に送れよ!気まずいわ!!」


手紙とCDをしまうと、ホテルの部屋が自分の部屋に変わっている。

目の前にはコンポがある。


俺  「うわ懐かしい!これならCD聞けるじゃん!」


いつの間にか高校生の姿から現在の30歳の姿に戻っている。

CDをコンポにいれると音楽が流れる。


俺  「やっぱ知らんよこの曲!」


でもなぜか心が穏やかになっていく。


俺  「うーん。K子ちゃんてやっぱ俺のこと好きだったろw」


そんなことを考えていると別の部屋から騒がしくも懐かしい声がする。

急いで部屋に向かうと子供の頃に流行ったゲームで遊ぶ大人たちがいた。

姿は大人になっているが中学時代の友人であるとすぐに分かった。


俺  「なにしてんだよおまえら!人の家に勝手に入ってくんなよ!」


そう言いつつもゲームに参加する。


友達 「なんかお前に会いたい人がいるらしくて連れてきたのよ!

    そのついでに遊んでんの!」


俺  「だれ?」


友達 「後ろのあの子」


振り向くと、女性が立っている。


俺  「あれ?K子ちゃんの妹じゃない?どうしたの?」


正直なところK子ちゃんの妹の存在自体忘れている。

というか妹なんていただろうか・・・子供はいたような気がするけど。


確実に会ったこともないのに、彼女が妹である事だけはすぐに分かった。


K子ちゃんの妹 「私と付き合ってほしいです」


俺  「・・・はい!?急だな!!どしたのよ!」


その瞬間、K子ちゃんの妹との記憶が流れ込んでくる。

一緒に遊んだ記憶や妹ちゃんの性格まで。


・・・あれ?めっちゃいい子じゃん。


俺  「じゃあ、付き合おっか・・・?」


K子ちゃんの妹  「はい!お願いします!」


友達たち 「ヒュー!!!いいじゃん、いいじゃん!!!」


妹ちゃんから抱きつかれるも、

心にモヤがかかっている感覚だ。


これでいいんだろうか。

妹で良かったんだろうか。


ふと顔を上げると、そこにはK子ちゃんが居た。


中学の時から何も変わっていない容姿で俺だけが大人になっている。


俺  「あれ?K子ちゃん?」


何も言わずに俺の方へと向かってくる。


そしてそのままキスをされた。


俺  「!?」


K子ちゃんの妹 「・・・そうですよね。無理だって分かってたんですけど・・・

        この結末で私も幸せです・・・!」


妹ちゃんは泣きながらもK子ちゃんとの未来を受け入れてくれた。


顔を離してK子ちゃんを見てみる。

やっぱりあの頃と変わらない。


俺  「久しぶりっすねw」


照れた様子で話しかけた。


K子ちゃん 「・・・・」


K子ちゃんは何も話してくれない。

ただ優しく笑顔を向けてくるだけだ。


男  「ただいま~!」


スーツ姿の若い男が家に帰ってくる。


男  「あれ?”俺”じゃん!久しぶりだな!」


俺  「あ、お兄さん!お久しぶりです!!」


この人はK子ちゃんの兄だ。

すごくよくしてもらっていた気がする。


K子ちゃんの兄 「あれ?なに?ようやく、くっついたの?」


お兄さんは俺とK子ちゃんの雰囲気をみて察する。


俺  「これからよろしくお願いします!!」


K子ちゃんの兄 「おせーよ!この野郎!!!」


お兄さんからお尻にカンチョーをされる。

なぜカンチョーを!?そんな絡み方する年齢じゃないだろ!!


そして、そこで時が止まった。


時間は止まったのにカンチョーされたお尻だけがくすぐったい。

凄く、凄く、くすぐったい。


カンチョーから逃れたいのに動けない。

だが、カンチョーをした指だけが振動している。


笑いたいのに、笑うことすら許されない。



無理だ!!!くすぐったいの限界だ!!!!!!

だれか助けてくれ!!!!

~~おはよう自分。

  まだ5時か・・・寝るか迷うけど起きよう。

  2日連続で恋愛の夢みるってなんか溜まってんのかな・・・

  いや、きっと1人で過ごして誰とも関わらない、

  この何もない時間が寂しいんだろう。

  癒しを求めている気がする。


  久しぶりにK子ちゃんに連絡とってみよっかなぁ。

  元気だろうか。



起床

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