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Dream10 「デスゲーム」

Dream10

「デスゲーム」



■登場人物

・俺

・友人

・隊長

・女の子たち

俺は友人と新しい商売を始めようと思い、

空きテナントがあるという大きなショッピングモールに来た。


なるべくゆっくり見たかったので、

人の少なそうな閉店時間ギリギリに友人と探索をする。


空きテナント周辺は壁が一面レンガ調になっており、

レトロな雰囲気があるゾーンに俺は惹かれた。


俺  「ここら辺か!なんかいい雰囲気だな!」


友人 「そうだな!」


そして今後空く予定のお店へと足を踏み入れる。


そこには沢山のバイオリンや絵が置かれている。

ジャンル的には主に何を取り扱っているのかは分からない。


しかし、レトロという雰囲気が何を置いてもいいのだとすべて許している。

お店の壁に手を置いて寄りかかってみると、

パーテーションのようなものが開き隣のお店と繋がった。


完全な壁で仕切られている訳ではないようだ。


俺  「うお!びっくりした!壁かと思ったら違うんだな」


そして、隣のお店では人間くらいの大きさのカエルが居た。

カエルはゆっくりとこっちを振り返る。


俺  「・・・・」


俺もゆっくりと壁をもとに戻した。


俺  「・・・なんかクソでかいカエル居たんだけど!?!?」


友人 「なにそれ?」


俺  「いやなんか魔法使いとかが飼ってそうな感じのやつ!!!」


友人 「置き物だろw」


俺  「こっち見てきてたよ!?」


友人 「はいはい。

    てか、この絵見てみ?」


友人に言われて絵を見てみると、

見る方向によって絵が変わるものだった。


俺  「あー!こういう下敷きとか昔流行ったよなw」


友人 「てかここら辺の絵だけ下手くそ過ぎない?」


確かにここの絵だけ子供が書いたようなレベルだった。

ここ以外にも、たくさん絵が飾られているのだがとても芸術的な感じはする。


おばさん 「そこの絵はね、主人が亡くなる前に描いたものなのよ」


俺  「・・・・(きまず)」


友人 「あ、へー!!な、なんかいい味出てますねっ!!!」


もう何を言ってもフォローにならんだろう。


おばさん 「大丈夫よ?私も下手くそだなって思いながら置いているんだもの」


おばさんは優しく笑いながら言っているが、

その優しい笑顔によって気まずさが増す。


俺  「このお店手放してもいいんですか?」


おばさん 「わたし一人じゃどうにも回らなくてね。

      特にお客様も来ないし、若い子に使ってもらった方がいいのよ」


俺  「そうですか。

    お店ができたら是非立ち寄ってください!」


おばさん 「そうさせてもらうわね」


俺たちは店を出た。


俺  「おまえ余計なこと言うなよ!凄い空気だったわ!!」


友人 「ごめん・・・いると思わなくて・・・」


俺達はそのまま帰ろうとエスカレーターに向かう。


―ガラガラ


俺  「え?」


エスカレーターは止まり、下の階のシャッターが閉まっていく。


俺  「もう閉店か!」


友人 「アナウンスとかあっても良くない?」


急いで降りても間に合わないだろう。


友人 「これどうしたらいいんだろうな」


俺は下りていくシャッターの奥で、

まるで特殊部隊の隊員のような人物が辺りを警戒し、

誰かに遠隔で指示を出しているような姿を見た。


俺  「(あの人なんだろう・・・なんか隊長みたいな雰囲気でてたな)」


数秒間その人と目が合う。

そしてそのままお互い何も言わずにシャッターは下りた。


友人 「とりあえず警備員とか探そうか?」


俺  「あ、あぁそうだな」


改めて周りを見渡すと先ほどまで働いていたはずの店員や、

先ほどのおばさんすらいない。


凄く静かだ。


友人 「なんか気味悪いな。夜の学校みたいで」


俺  「確かに・・・」


ウーーーーーーーーー


急にサイレンが鳴る。


するとフロアの奥から人が走ってくる音がする。


先ほどまでの静けさが嘘のように

奥からどんどんと走って逃げてくる人々。


男  「お前ら!!!!逃げろ!!!!!」


俺  「え?」


友人 「なにこれ!?なんか事件!?」


俺  「知らんけどなんかあったっぽいな!?」


奥の方で走って逃げている人たちをよく見てみる。


女  「キャー!!!!!」


女性の首に男性が嚙みついている。


俺  「はぁ!?!?」


女性はそのまま倒れこむ。

まるでゾンビ映画だ。


よく見ると、襲っているゾンビは複数人いる。


しかも走るタイプの。


友人 「なにこれ!?なんかの撮影!?」


友人はスマートフォンで撮影を始めた。


俺  「多分違うだろ!!逃げるぞ!!!」


あの襲われ方や叫び方はリアルだった。

カメラマンだって見当たらない。


それにさっき見たあの隊員。

なんとなく嫌な予感がする。


俺は走り出す。


しかし友人は撮影を続けたままだった。


俺  「おい!!!」


友人 「すげー!!!」


そして友人に男が襲い掛かる。


友人  「うわぁあああああ!!!いてええええ!」


友人は首を嚙みちぎられた。


俺  「くそ!!!」


友人 「助けてえ!!!」


俺  「・・・っごめん!!すぐ戻る!!!」


俺は友人を置いて逃げる。

助けるにしろ、襲ってくるゾンビが沢山いる現時点では何もできない。


自分もやられるだけだ。

まずは散ってもらう必要がある。


俺は何度も振り返りながら逃げる。

色々な場所で曲がりながら。

そのおかげで館内もほとんど把握できてきた。


逃げ始めてどのくらい時間がたったのか分からないが、

一つ分かったことがある。


どうやら噛まれたやつらは、

すぐにゾンビになるわけではないらしい。


あの後、隙を見て友人のもとへ戻ったがすでに息はなかった。

そして逃げる間にも何度か、友人の死体の横を通ったが動く素振りもない。


追いかけてきているゾンビの顔も把握できてきた。

恐らく数も増えていない。


俺はホラー映画が大好きでよく見ていた。

そのせいか、意外と冷静に観察はできている。


俺  「(感染はしないのか?それとも感染まで時間がかかるのか?

    噛まれるとアウトなのか、引っ掻かれてもアウトなのか?)」


そんな事を考えていると、目の前に女のゾンビがいた。


ゾンビ 「あああああ!!!!」


俺  「まずい!!」


俺はゾンビに捕まれた。

必死に抵抗する。


俺  「くっそ!!!」


俺は女を蹴り飛ばしてなんとか逃れる。


すると女は、俺以外の逃げている人へ向かっていった。


俺  「(逃げた?敵わないと判断して標的を変えた?)」


どうやら少しは知性もあるらしい。


その時だった。


ウーーーーーーーーー


またサイレンが鳴った。


その瞬間に襲ってきていたゾンビたちは消えた。


俺  「消えた!?」


事態は把握できなかったが、とにかく友人のもとへ向かう。

しかし、そこに友人の姿はなかった。

血痕すらもない。


俺  「・・・どういうことだ?」


周りの生き残った人たちも状況を把握できていない様子だ。

みんな息切れ状態で床に座り込んでいる。


とりあえず、今は何ともないようだ。

俺も床に寝転がり目を閉じる。


なんでこんなことが起きているんだ?

全然わからない。

現実離れしすぎている。


そして何より友人を失った。

あの時無理やりにでも一緒に逃げていれば・・・


俺  「くそっ!!!」


俺は起き上がって目を開けた。


俺  「え・・・?」


フロアが変わっている。

周りの人も困惑しているが、知らない顔の人も増えた。


俺  「なにこれ・・・」



ウーーーーーーーーー


またサイレンだ。

もうなんとなくわかる。


俺  「(あいつらが来るんだろ!?)」


すぐに逃げる準備をして、周りを警戒する。


俺  「・・・来た!!」


奥から走ってくるゾンビ。

まだ距離はあるがすぐに違和感に気づく。


俺  「ナイフ?」


追いかけてくるゾンビがナイフを持っている。


男  「こいつら武器持ってるぞ!?」


俺はとりあえず逃げることにする。

後ろを振り返ると、同じくナイフを持ったゾンビの軍勢がいた。


その先頭に立つ女がこちらにナイフを投げてくる。


俺  「うおっ!!!」


何とか避ける俺。

すぐ後ろにいた男にナイフが刺さった。


男  「いてぇ!!!」


女  「・・・カコメ」


俺  「喋った!?」


俺は標的がナイフの刺さった男になったため

とりあえずその場から逃げる。


俺  「(言葉を話せるのか!?しかも集団行動まで出来るようになっている。

    厄介すぎるだろ!!!)」


?  「こっちだ!!!」


俺は声のする方へ逃げる。


そこにはシャッターが閉まるときに見た隊員がいた。


俺  「あ、さっきの!?」


男 「ん?とりあえずこっちに!」


俺はその隊員に言われるがまま逃げていく。


そして安全そうな場所で一息ついた。

何か知ってそうなこの人に質問をする。


俺  「あの、これって何かの事件ですか?」


男  「事件性はあるだろうが、何もわからんのが現状だ」


俺  「え?でもこの騒動の前に誰かと通信してませんでしたか?」


男  「あぁ、おれはとある特殊部隊の隊長をしているんだが、

    少し前からおかしな噂がありここに隊員達を送り込んでいたんだ」


俺  「なるほど・・・?」


隊長 「しかしながら送り込んだ隊員たちとは一切連絡が取れず、戻って来たやつもいない。

    だから俺が直接ここに来たってわけだ」


俺  「で、通信はできたんですか?」


隊長 「いや、誰とも繋がらなかった。

    そして、そうこうしているうちに変な奴らに追いかけられたんだよ」


俺  「で、気づいたら別のフロアに移動していた」


隊長 「おまえもか?

    何か知ってることはあるか?」


俺  「いえ特には・・・

    ただ、多分各フロアで同じことが発生していたんじゃないですかね。

    で、生き残ったやつが同じフロアに集められたんでしょう」


隊長 「ほう、なぜそう思う?」


俺  「実は、これが始まる前に下のフロアに隊長さんがいるの見てたんで。

    それに、最初に逃げている間、上の階や下の階には行く手段がありませんでした。」


隊長 「確かにフロア自体の移動はできなかったな」


俺  「あと、ここからは推察でしかないですけど、

    ゲームみたいにレベルが上がってる気がするんです。」


隊長 「どういうことだ?」


俺  「最初の時は追いかけてきて噛みついてくるだけだったし

    唸り声しか出せないゾンビみたいなやつらでした。

    きっと隊長さんもそうですよね?」


隊長 「そうだ。」


俺  「でもさっきの奴らはナイフを持っていて、言葉も話していました。

    他のやつらに指示まで出して集団で動けるようになっています。」


隊長 「そうだったのか。

    お前に会うまであいつらに遭遇してなかったから分からなかったよ。」


俺  「そうなると、この先逃げ続けていくと、

    どんどん難易度は上がると思うんですよね。」


隊長 「確かにな。

    だが、知能がついたのであればこちらにも有利な部分は出てくる。」


俺  「どういうことですか?」


隊長 「あっちの行動を読むことができるようになるってことだ。

    考えなしに動かれた方がこっちは混乱するからな。」


俺  「なるほど!さすが隊長って感じですね!」


隊長 「いや、お前の方こそよく分析している。

    うちの隊員よりよっぽどマシだ。

    この件が終わったらスカウトでもしたいくらいだ。」


俺  「そんなレベルの人間じゃないですよ!

    ただ、ホラー映画とかゲームが好きなだけなんでw」


隊長 「こっちは本気だがな?

    さて、見つかるまではここに居てもいいだろうが・・・この先どうするか」


俺  「僕もそう思います。

    あんまり無駄な体力は使わない方が・・・」


隊長 「・・・来たな」


また、あの女だ。


俺  「あいつナイフ投げてきますよ!気をつけてください!」


隊長 「わかった!」


2人で投げられたナイフを躱していく。


隊長 「これくらいなら、なんとかなる!」


俺  「僕もなんとか行けそうです!」


しかし、いつの間にかゾンビに囲まれている。


俺  「いつの間に!?」


女  「・・・イケ」


その号令と共にナイフを持った男たちが走ってくる。


隊長 「ナイフを拾え!!」


俺  「はい!!」


俺はナイフをもって応戦する。

正直、刀身が短すぎていつ相手に切られてもおかしくない。


ただゾンビの動きは普通の人間よりはまだ劣っている。

行動自体は予測できるし大振りだ。


俺  「(ギリいけるか!!)」


しかし、それに加えて女の投げナイフだ。


少しでも気を抜くとヤバそうだな。


隊長 「一旦、ここを切り抜けるぞ!ついてこい!」


俺  「はい!」


俺は隊長の後についていく。


隊長 「背後はどうにかしろよ?」


俺  「はい!わかりま・・・」


俺は動きが止まる。


俺  「・・・嘘だろ・・・?」


隊長 「おいどうした!気を抜くとやられるぞ!」


俺に向かって走ってくる男がいる。


・・・友人だ。


友人 「・・・ゴ、メン・・・」


俺は友人のナイフを受け止める。


友人 「・・・ニゲ、ロ・・・」


俺  「くそ!なんだよこれ!!!」


隊長 「どうした!?しっかりしろ!!!」


隊長は友人に蹴りをいれて引き剝がしてくれた。

そしてそのまま無理やり引っ張られる。


隊長 「行くぞ!!!」


俺は混乱しつつもなんとかついていく。


隊長 「どうにか巻いたか!」


俺  「・・・」


隊長 「・・・なにがあった?」


俺  「友人がいました・・・あいつらの中に」


隊長 「なに!?」


俺  「1回目の時にあいつはやられたんです・・・

    でもサイレンと同時にあいつは消えました。」


隊長 「なるほど。殺されたやつはあっち側に行くってことか」


俺  「苦しそうでした・・・勝手に体が動いてるような、

    誰かに操られてでもいるような、そんな感じがしました・・・」


隊長 「そうか。

    となると俺も覚悟をしなければならないな。

    隊員たちがやられている場合、どこかで襲ってくる可能性があるってことだ」


俺  「はい、そうですね・・・」


隊長 「しっかりしろ!

    これが終われば解放されるかもしれんぞ?」


俺  「でも!あいつは確実に死んでました!

    解放されても生き返るかわかりませんよ!?」


隊長 「それでもだ!

    ずっとここで操られている方が友人は幸せか?

    今生きている俺たちが先に進むしかないだろう!」


・・・その通りだ。

しっかりしろ俺。


今生きているんだから、

なんとしても生き延びないとならない。


俺  「そうですね。

    今出来ることは生き残ること・・・っ!?」


隊長 「どうした?」


俺  「そうですよ!!生き残らないといけないんですよ!!」


隊長 「だからそう言ってるだろ!」


俺  「違います!!僕たちだけ生き延びるんじゃ意味がないんです!」


隊長 「・・・どういう意味だ?」


俺  「最初のターンの時、あいつは生き返らず死んだままでした。

    襲ってくる人数も変わらず、把握できる人数でした。」


隊長 「こっちもそうだったな」


俺  「友人はターン終了とともに消えて

    次のターンで敵として襲ってきた。」


隊長 「・・・そういうことか」


俺  「はい!僕たち生存者側はなるべく死なないように協力しないと、

    次のターンで死んだ人たちが敵として増える可能性があります!!」


隊長 「・・・他の生存者を探しに行くぞ!」


俺  「はい!!」


ウーーーーーーーーー


俺  「くそっ!!遅かった!!」


隊長 「今回のでかなり死者は出ているだろうな・・・」



ここで急にシーンが変わった。

俺はどこかの少女を俯瞰して見ている。


少女A 「君も死んじゃったの?」


少女B 「うん・・・ママも死んじゃった

     しかも急にどっかにいっちゃった・・・」


少女A 「私たちは子供だから基本的には出番ないからさ!」


少女B 「出番?」


少女A 「そ!人を殺す出番!」


少女B 「ママは人を殺しにいったの?」


少女A 「そうだよ?」


少女B 「そんなのいやだよ」


少女A 「シー!!!そんなこと言ってたら消されちゃうよ!?」


少女B 「それもやだ!!!」


少女A 「じゃあ内緒だよ?同じように動いてね?」


少女B 「同じ?」


少女A 「じゃないと会えない人がいるの!

     しかもバレないように会いに行くのもコツがいるんだから!」


少女B 「・・・分かった」


少女Aは後ろ向きに5歩。

今度は横に3歩。

次は前を向いて2歩。


そんなランダムな動きを繰り返す。

少女Bも真似をする。


最後に後ろを振り返る。


少女A 「はい、着いた!」


少女B 「きゃー!」


目の前に現れたのは某ホラー映画で有名な、

井戸やテレビから出てくるあいつだ。


しかもかなり大きい。


少女A 「そんな怖がったら可哀想でしょ!」


少女B 「だって大きくて怖いよ?」


少女A 「大丈夫!このゲームを終わらせるために協力してくれてるんだから!」


少女B 「え、そうなの?」


そして、自分のシーンへと戻ってきた。


次のターンが始まったところだ。


俺  「ちょっとこれはきつくないですか・・・?」


隊長 「まずいな・・・」


目の前には銃を持った集団がいる。

急にレベルが上がった。


ナイフ VS 銃だ


結果は見えている。


俺  「ちなみにですけど・・・隊員さん居ますよね?」


中には隊長と同じ格好の防弾ベストをきた敵がいた。


隊長 「そうみたいだな」


俺  「これどのくらいあっちの身体の自由が利くかによりますけど

    相当厳しいですよ?」


その中の隊員が口をひらいた。


隊員 「隊長!すみません!逃げてください!」


その言葉と同時に銃が撃たれる。


俺  「これは無理!!!!!」


隊長と俺はひとまず逃げて壁に身を潜めた。


俺  「どうするんですかこれ!?

    隊長勝てます!?」


隊長 「正直厳しいな・・・

    せめて銃があれば・・・」


俺  「そうですよね・・・」


そして近づいてくる隊員。


俺  「あーもう!!奇跡起きれ!!」


俺はナイフを投げた。

隊員の手元に目掛けて。


俺  「銃落として!!!」


隊員はそのナイフをしゃがんで首で受け止めた。

そしてそのまま倒れこむ。


隊長 「おい!大丈夫か!?ちくしょう!!!」


俺は違和感を感じる。


隊長 「くそ!あそこの銃だけ取ってくる!」


俺 「待ってください!!!」


隊長 「なんだ!?」


俺  「隊員さんの動きおかしかったですよ・・・

    何かあるはずです!!!」


隊長 「あいつら側になったやつらの動きなんてみんなおかしいだろ!」


俺  「でもわざわざ首で受け止めますか!?」


隊長 「でも操られてるんだろ?」


俺  「最後に何か伝えるために動いてくれたのかもしれません・・・ 」


隊長 「・・・分かった、俺には見当もつかんがお前なら答えを出せるだろ!

    時間稼ぎはする!せっかくあいつが銃を落としたんだからな!

    命がけで拾ってやる!」


そう言ってナイフを両手に隊長は走り出す。

武装集団に向かって。


俺  「隊長!!!

    ・・・・くそ!なんだ!?何を伝えたかった!?」


待てよ?

そもそもあいつら側に死ぬという事実があったこと自体が初情報だ。

だとしたら首が弱点なのか?


俺  「隊長!!首を狙ってみてください!!」


隊長 「やってみよう!」


隊長は近くに孤立している一人の女の首を切る


女  「いきなり首切らないでよ!」


女は銃を向け発砲する。

隊長はギリギリで相手の銃を奪って女を盾にしながら進む。


隊長 「なにかわかったか!?」


俺  「首が弱点ではないことだけ分かりました!」


隊長 「それなら俺にだってわかった!でも、偶然銃と盾は手に入れたからな!

    もう少し時間は稼げるぞ!」


縦にされた女性が撃たれまくる。


女  「ちょっとあんた!離しなさいよ!!傷が増えるじゃない!!!」


隊長 「すまんな。もう少しだけ耐えてくれ。」


女  「・・・うっ!!」


女もどうやら死んだらしい。

それでも隊長は女を盾にしながら応戦している。


俺  「きっかけは何だ?蓄積ダメージか?」


いや・・・それなら隊員が一発で死ぬわけがない。


~(傷が増えるじゃない!!!)


俺  「・・・傷・・・そうか!!!分かった!!!!」


俺  「隊長!傷です!!!

    その人たちが死ぬきっかけになった傷がどこかにあるはずです!

    そこを攻撃してください!」


隊長 「分かった!!」


隊長は近くにいるお腹を食われた男を撃つ。

見事に一発でお腹を撃ちぬいた。


男は倒れた。


俺  「やっぱり!!

    隊長!元々ある死んだきっかけの傷に、もう一度攻撃すれば倒せます」


隊長 「でかした!!」


そこからは俺もナイフで加勢し、隊長とともに敵を掃討した。


俺  「危なかったー!!!」


隊長 「ったく!お前はほんとに凄いやつだよ!」


隊長は俺の頭をぐしゃぐしゃにする。


俺  「隊長が時間稼ぎしてくれたおかげですよ!」


しかし、休んでいる暇などない。

次の敵が押し寄せてくる。


気づけば行き止まりの細い道に居た。


隊長 「これは・・・切り抜けないと終わりだな」


俺  「そうですね・・・」


2人で覚悟を決めたその時だった。


背後の壁から大きな女性の上半身だけが現れる。


貞〇だ。


俺  「うわ!!でかい!!!」


隊長 「背後もとられたか・・・」


すると、あたりが暗くなり床に稲妻のような光が走って点滅している。


これは分かりやすい攻撃だ。


俺  「隊長!床の光ってないところに移動してください!!」


隊長 「一か八かだな!」


俺たちは光っていないところに立つ。


すると数秒後に光っていたところに立っていた敵が死んでいく。


俺  「よし!!」


隊長 「成功だな!!」


そしてまた床が光りだす。


俺  「隊長!また同じように!」


隊長 「おう!」


俺  「・・・ん?」


光っている床をよく見ると壁の方につながっている矢印のような光がある。


俺 「(なんだこれ?)」


俺はその光が差す壁を触ってみる。


その部分だけ壁が剝がせそうだ。

俺は力いっぱいに剥がしてみる。


流石にすべての壁が剥がれるわけではなかったが

人が一人分通れるか通れないかの抜け道があった。


その先には近未来のような機械やモニターが沢山ある部屋が見えた。

きっとこの悪趣味なゲームの首謀者がそっち側にいるのだろう。


俺 「(いかにもって感じだな)」


俺はすぐに隊長に知らせた。


俺  「隊長!こっちに抜け道があります!!」


隊長 「本当か!?」


隊長はすぐにこっちに来て

剥がした壁を押さえてくれる。


隊長 「先に行け!!」


俺  「はい!!」


しかし、なかなかうまく進めない。

狭すぎるのだ。


俺  「くそ!進めない!!!」


隊長 「焦るな!」


そう言って俺の体も押してくれるが、

なかなか抜けることができない。


俺は振り返り隊長に伝える。


俺  「もう少し壁を剥がさないと入れな・・・」


隊長はすでに沢山の敵に囲まれている。


隊長 「・・・後は頼んだぞ」


~~おはよう自分。

  目眩は2日で治まり、俺は仕事に復帰した。


  しかし、なかなかフルで働けない日々が続いている。

  午後には早退する日々だ。


  今まで一人で出来ていた内容の仕事を振られるが、

  復帰研修という期間で、上司に確認作業をしてもらいながらやっている。


  繁忙期が近づいてきていて上司の確認作業もなかなか進まない。

  自分の体力(頭の疲労)も午後まで持たない。


  限界だ。

  これ以上誰かに迷惑をかけるのも、助けてもらうのも。

  運転中だって目が開いてるのか閉じてるのかギリギリだ。


  もう何もかもどうでもいい。

  もらった薬もまとめて一気に日本酒で飲んだ。

  結局こんなことしても死ねないのだって分かっている。


  自分に対して自分を責めるパフォーマンスでしかない。

  お前だけ悩んでるふりをするな。

  もっと頑張って辛い思いをしろ。

  そういうパフォーマンス。


  直接死ぬ勇気もない。

  それが他人に迷惑をかける事も分かっている。

  つくづく惨めだ。


  そんな時にこの夢だ。

  レトロな雰囲気の場所での事業開始は

  落ち着きたいけど新しくやることが増えている事を表しているのか?


  下手くそな絵がコロコロ表情を変えるのも今の心情なんだろう。


  そしてデスゲームか・・・

  自分の力でどうにかしようとしても

  最後には結局人の力を借りて、犠牲にしてしぶとく生きるんだな。



起床

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