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3 特Aダンジョン【黒竜の嘆き】2

扉の開かれた先、そこにいたのはゴブリンの上位種であるホブゴブリン。


それが150ほどだろうか、隊列を組んでその広い空間の中央に陣取っていた。


それらはゴブリンと違って目には理性の光があり、武器も粗末なものではなく、アストラルと同格であるCランク冒険者が持つ程度の品質の剣、槍、杖、鎧などを装備していた。


魔物としてのランクはCランク相当だとされるホブゴブリンがしっかりとした装備を持っている。これだけでも街なんかに現れれば脅威以外の何物でもない。


しかし、このホブゴブリン隊と呼べる部隊の厄介なところは……っと!?


「【ファイヤーボール】」「【アイスランス】」


この後衛を任された魔術隊だ。


使われるのは低位の魔術が基本で、あっても中位であるアイスランスのみ。


だからこそ、避けられないことはないので、脅威とはない得ないのだが、こいつらは使える魔術の幅が広い。


「【ストレングス】」「【ウィークネス】」


……こんな風に強化、さらには弱体化…いわゆるデバフを駆使して、こちらをじわじわじわじわと追い詰めてくるという下手をすればAランクチームでもボロボロにされてしまうほどに彼らは強い。


しかし、アストラルからすればもうそれらは解決している。


アストラルは剣が使えない以上、速度が奪われるのが最も危険である。そのためデバフを避け、前衛を数体早いうちに倒し、それから後衛を優先して始末するというのが何度も繰り返した結果に生まれた体力温存できる必勝法だ。


でも、今回は少し手法を変えてみようと思う。


まずホブゴブリンの中衛たち、盗賊やレンジャーたちを始末してみようと思うのだ。


これからも剣がしばらく使えない以上、訓練が必須だったからだ。


もちろんホブゴブリンたちを舐めているわけではないのだが、このダンジョンで即死級の一撃や瀕死の重症を負わず、訓練にもなりそうなのはここしかない。



アストラルは全身に魔力を循環させ駆け出す。



「ギャッ!!」


まず前衛であるホブゴブリンの振り下ろされる剣、槍を避ける。


飛んでくる魔術、弓を避け、盗賊の一体に肉薄すると、相手もそう簡単に殺られまいと毒の塗られたナイフで応戦してきた。


リーチが短く、素早い攻撃。


強化されているからか、危うくその毒ナイフがかすりそうになるが、まず一体の心臓に向けて掌底を放つ。


ドンッ!


ホブゴブリンの背を突き抜けるような衝撃が走り、力なくそれは倒れた。


まず一体。


これはアストラルが知り合いの武闘家に教えてもらった内部破壊系統の技で、アストラルは今、拳と掌底の2パターンでこれを使うことができる。


教えてくれたエルフ武闘家のリーリンは蹴りや肘打ちさらには、頭突きですらこれを使えるので比べるのもおこがましいのだが、剣士にしては頑張っているほうだと思う。


それからも速さ、瞬間判断能力を磨くべく中衛のみに焦点を当て、前衛の剣や槍、後衛の魔術と弓矢、そして向き合った相手のナイフなんかをくぐり抜け、ようやく最後の中衛を倒した。


その時点でアストラルの体力もかなり削られていたので、残りを倒したら、今日はここまでと思っていたアストラル。


すると、とある声がその場に響き渡った。


【隠し条件クリア。これより最下層へと転移します。】


「えっ?ちょっ!?えっ?」


アストラルはこんな声を上げる前にこの部屋からさっさと引き換えすべきだったのかもしれない。


そうすれば、もしかしたら、万が一、億が一逃げ切ることができたかもしれなかった。


でももう遅い。


機械的に設定された魔術は起動し、こうして最下層へのショートカットルートは開かれた。


背中からタラリと冷たい汗が零れ落ち、嫌な予感に身を震わせるアストラル。彼の身を眩い光が包み込み、目を開けると……。



そこは先ほどの場所よりさらに広く、そして厳かな雰囲気がして……。


どこか生温い風を背中の方に感じたアストラルがそちらを振り向くと……。


「Ggyaaaaaaaーーーーーーッ!!!」



果たしてアストラル何人分いや、何百、何千人分かと思うほど大きな黒竜が大きな口を開けて、咆哮を上げていた。



「……あっ……これ僕死んだかも……。」



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