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第7話 この世界には、攻略法がある! むしろ攻略法しか無い

(おいら、おいら盗賊の、山賊の子供なのに、なんでこんな所に居るんだよう……)


 暗闇の中、ぼーっとテレビ画面が浮かび上がる、

 懐かしのブラウン管だ、そこで初めてゲームを遊ぶ少年、

 懐かしい……あれは僕だ、夜中にラジオを聞きながら夢中で遊んでいた僕……


(あっ、ハゲだ! 孤児院のハゲ僧侶じじいだー!!)


 と、そこで俺は目が覚めた。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 なぜか汗だく、

 ランプの火が近かったみたいだ、

 こんな世界に暖房とか無いからね、まだ。


(最新作だと奴隷魔法使いに魔法で冷暖房させたり、

 魔石で室温を一定にする装置とか出てきたけど、この今の世界の何年後だろう)


 窓を見ると丁度、朝日が昇り始めた頃、

 四匹のペガサスらしき影が横切っていく。


(四姉妹……次女に早く会いたい!)


 そう、声はすでに声優を引退してしまったあの女性、

 元祖ハーレムアニメの正妻の声あの人だ、ちなみにエロゲ―でも良く声を、

 ってそんなこと思い出している場合じゃない、さっさと仕事しなくちゃ!!


「おいら、起きて、薪を割る!!」


 お城の連中、意外と朝風呂とか多いらしく、

 薪は正直、いっくら割ってもきりがないくらいだ。


(でも、俺の自由に使える時間、そう、特訓してレベルを上げる時間を作るために!!)


 この世界でそれが通用するかわからないが、

 丸三日分、できれば丸七日分くらいの薪をキープして、

 上司に、あの老紳士に『しばらく遊んで良いぞ』と言われて早く目的地へ行きたい。


(同時進行でペガサス四姉妹の誰かも手懐けなくちゃ)


 かといってあんまりこっちからグイグイ行くと、

 親愛度が意外と早くSになって悪女と結ばれなくなる恐れがある、

 いや一番可能性が高いのは悪女相手に『親愛度など無い』だけれども。


(それでも、それでも味方につければ、仲間になってくれれば……!!)


「おいら、お外、寒い!」


 でもこの『子供の身体』嫌いじゃない、

 アラフィフの時は色んな意味でガタが来ていた、

 ここ最近は性欲すらも……でも今のこの身体は違う!


(何もかもが、みなぎっていやがる!!)


 うん、まずは隙あらばドミニクお姉様に甘えてみよう、

 中の人、CVの人は同僚男性と飲みに行ったとき、


『俺、○○さんじゃ起たないっすよー』って言われたら

『私だって貴方相手じゃ濡れないわよ』と言い返したステキなお姉様らしいが、

 ゲームのドミニクお姉様はどんな性格だったっけ。


(そうだ、主人公と結ばれるルート、シナリオを思い出そう)


 幸いな事にペガサス四姉妹、全員主人公とのENDルートがある、

 確か長女ドミニクは自国の王の孫娘を人質に取られた時、

 命に代えてでもと救出してくれた主人公に感動したのがきっかけだったはず。


(俺だって、意外と男らしい所を……ってまだそんな格は先の先か)


 そもそもこの俺、テイクのキャラに格が無い。


「準備できた、薪を割る!!」


 まあ最初は真面目にこつこつと、

 そして純粋な目で『ペガサスに乗ってみたい』とか言って、

 うまく懐柔していけば……最悪、あの修行場に捨ててきて貰っても構わない!


(何せこの世界の攻略法はばっちりだ、むしろ、攻略法を使うしかない!!)


 という事で、四姉妹をそれぞれどうトークで引きつけるか考えようっと。


「おいら、面白い話をする! ペガサスが面白いのなぜか知ってる? なぜなら……」


 駄目だ寒い、色んな意味で寒い、

 あーうん、せめてカイロが欲しい、

 火属性の魔石とか懐に入れたら暖かくなるかな?


「おいら、火竜を倒す!」


 いつになるやら。


(はやくハーレムを作って、悪女お姉様の懐で温まりたいよぉ)


 怒られそうだがランプを持ってきて割った薪に火をつける、

 さすがゲームの世界、いとも簡単に燃える燃える、うわぁ暖かぁい。


(……駄目だ、この世界で燃える炎を見ると、沢山の、お城が焼かれるシーンが目に浮かぶ)


 しかも様々なシリーズの。

 あの超難易度で『外伝ではなく外道』とまで呼ばれた作品は、

 マップの淵から火の手が上がって、それが狭まって味方を容赦なく焼いたっけな。


「うう、おいら、おいら……グスン」


 泣きながら薪を割る、

 この年齢の少年なら仕方ないか、

 などと客観的に思いつつ斧を振りおろし続けていると……!!


「あら、こんな朝から頑張っているのね」


 真上から聞こえるこ、この声は!!


「おいらテイク、使用人さ!」

「私はマティスリアのペガサス騎兵隊、四姉妹の次女、レイラよ」


(この声、やはり、声優引退したあの人の役をほとんど引き継いだ、あの声優さんだー!)


 うん、幼稚園で先生をやらせたいね、この声!!


「ドミニク姉さんや妹のミラール、ファルから聞いているわ」

「うん、お、おいら、おいら……」

「あら、どうしたの?」


 ここは、いちかばちかだ!!


「うわああああああああああん!!!」


 真っ直ぐ走って抱きついて泣く!

 うん、ふっさふさだね、このペガサス!!


(ってそっちかよっ!!)


 お姉さんの胸で泣きたかったなぁというドス黒い欲望は隠しておいて。


「んもう、何かあったの?」

「お、おいら、おいら、寂しい!!」


 よし、情に訴える作戦で、上手く行けば……!!


(この城での待遇も、良くなるか?!)


「んー、テイクくん」

「おいら、おいら……」


 ペガサスからしゅたっ、と降りる七……いや四姉妹次女のレイラさん。

 なぜ数字を間違えたかは追求しないで! って、僕をやさしく抱きしめてくれた?!


「ねえ、私と一緒に、マティスリア国へ、来る?」


 ……まさかの展開である。

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