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第6話 移動確保のための大作戦

「オイ! オイ! オイ! オイ! オイ!」


 リズム良い掛け声で薪を割る俺、

 今度は本域でプロレスの『顔面ウォッシュ』みたいな掛け声を上げる、

 わからないひとは動画検索して、って実況なら言っていただろう。


「オーーーーーーー……オーイッ!!」


 溜めてスコーンと大きい薪を割ると気持ち良い、

 しかしいくら斧を使った所で経験値は増えやしない。


(ってプロレスネタはもういいや)


 朝には本当に牢から出して貰えて、

 とりあえずは薪割りと掃除と荷物運びと、

 それから……うん、ようは雑用全般をさせて貰っている。


「テイク! 馬やドラゴンの餌やりを手伝ってくれ!」

「うん! おいら、やる!」


 若い小間使いに小間使いされる俺、

 これもみんな、俺ことテイクが城のみんなに認められて、

 目標を達するための仲間に近づくための努力だ!


(そう、俺が昔、コミュニティFMで6年半、DJをしていたのも無駄じゃなかった)


 あの経験があったからこその動画配信主どんコロがあった、

 下地というのは大切だ、だからここの雑用も……さすがに6年半はキツいな、

 その間にもうストーリーが始まって城が業火に包まれる、それが3年後だ。


「わっ! テイクくん、おはよう」

「ファルちゃん! おはよっ、おはよっ!」


 とりあえず移動手段候補大本命にご挨拶だ、

 わざわざペガサスに乗っている所へあえてお邪魔した、

 なにせ『目的地へ行く』『目的地で回復してもらう』の両方を実行できる少女なのだから。


(上手く口説きたいけど十一歳だからなぁ)


 いやリアルでそんな年齢の少女を口説いたりはしてないよ!

 断言するが俺は人妻が幼女を遊ばせてるのを見たら、

 その幼女より人妻の方に間違いなく目が行くタイプだ。


「その、ありがとう」

「おいら、これ、仕事!」


 ペガサスがむしゃむしゃ草を食べる、

 っておいらこと俺の髪の毛もむしゃりはじめたな、痛い。


「あわわ、ごめんなさい、こらストル!」


 あ、このペガサスの名前、ストルっていうんだ、覚えておこう。


「ストル、おいら、だいすき!」


 だからあの、美味しい美味しい狩場へ連れて行ってくれよう!¥


「なんだなんだどうした? ファルが少年と仲良さそうにしてるな」

「ミラールお姉様!!」


 あ、ペガサス四姉妹の三女だ、声はタイガー系次男だ、いや三女だけれど。

 それと俺の年代だと某戦艦の『電子の妖精』さんなんだよなぁ。


(はい声優ネタについて行けない人は気にしないで下さいね~)


「弓! 弓使いのお姉さん!」

「ファル、この子は?」

「テイクくん、今日からお城のお手伝い、なのかなぁ」


 うん、そこは俺も疑問形だ、

 だってもし俺が城の誰かの命を狙っていたとしたら、

 とてもじゃないが城に入れて良いもんじゃない、でもまあそこはゲームか。


(特にシリーズ初代だからな、設定ガバは後の移植版で修正されたとはいえ)


「おいら、なんでもやるよ!」


 とりあえず城の主要メンバー、

 特に王子だの姫だのはまず会わせて貰えないとしたら、

 この四姉妹のうち誰かにうまく取り入って、移動手段を確保したい。


(最悪、この城から四姉妹の城へ移動してもいいや)


 こうして俺ことテイクは、

 お城で働きながらペガサス四姉妹の三女四女と、

 持前のトーク力で仲良くなって行くのであった。


(それはそうと次女はどこへ行った)


 ~その夜、空き馬小屋にて~


「ここかぁ、おいらの、新しいお家!」


 うん、横穴式住居から木のハウスへ、

 着実に人権が回復されているな、ならば次はレンガを目指そう。


(早く紙と鉛筆が欲しい、攻略法を忘れちゃう)


 いやこの世界だと羽根ペンか、

 インクも必要だが紙は高価なのかな?

 一個だけ置いてくれてあるランプの炎を見ながら考える。


「おいら……おいら……グスン」


 早く四大悪女に会いたい……

 そのためにも、まずは誰でも良いからプレイヤーキャラを落とさなければ!

 ってそもそもこの世界でハーレムが可能かというと……


(ステータス、オープン!)


 念じて目を閉じると瞼の裏に映る画面、

 うん、声に出さなくても見えるみたいだ、

 親愛度の欄にミラールが追加されている。


(ゲームだとひとりSになると、後はもうAまでしか行かないんだよな)


 ただしそれはエンディングまでの話で、

 三回めのリメイク版以降は『エンディングのお楽しみ』として、

 ゲームをやり直すと複数のキャラを親愛度Sになる、

 ただストーリー的には最初にSにしたキャラとのENDとなるのだが……


(ここはゲームだけどゲームじゃない、でもゲーム通りであれば……)


 ハーレムを作るために必要な事、

 なによりお目当ての悪女を手に入れるために避けて通れない事、

 それはすなわち……俺は立ち上がって決意する!


「おいら、強くなったら、真っ先に、ラスボスを倒す!!」


 そうだ、ストーリーが始まる前に、

 ラスボスをとっとと倒してしまえば良いのだー!!


(それはそうと、配信したい……)


 俺が死んでたとしたら、配信予約だけはされてるから、

 今頃は暗黒放送かな……何も無い真っ暗な画面でコメントだけが延々と流れるやつ、

 それでいいから見てみたいなぁ……この世界で配信とか、できるのだろうか……??


(最新作はゲーム内にラジオとかあったけど、そこが限界かぁ)


 ……この世界でDJ、か。

 とにかく全ては平和にしてからだ、

 その第一歩……ターゲットは、ペガサス四姉妹!!

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