第42話 ついにやってきた砂漠の国、お目当ての悪女竜騎士みーっけた!
「ようこそいらっしゃいました、来賓御一行に、礼!」
国境の門を通ってくぐった砂漠の国タラマスカス、
いやね砂漠のオアシスだけあって本当はどっからでも入れるんですよ、
でも正式な門と道すなわちルートで来ない人間は全員『野蛮人』として、下に見て良いルールらしい。
(なんだその独自の謎ルールは)
でも生かして連れてきた(特に悪い事はしていない)モッコス将軍の手筈で、
いや直接的にはブ●ボン詰め合わせセットを贈った国境の国の口添え書簡付きによって、
オアシスに到着後、道の両脇に砂漠ドラゴンが並んでのお迎えである、しかも竜は頭を下げ、上の騎士は礼をして。
(この中にひょっとして、お目当ての、八つの砦のうち王城に近い所を守る、あの女竜騎士が……!!)
両サイドに並んでるから、
ちゃんと見つけないとな、
首を左右に振ってキョロキョロして……脱臼しそう。
「テイクちゃん」「なあに甘々スティラお姉ちゃん」
「後でいくらでもとろけさせてあげるから、それより言ってたの彼女?」
「……でかしたスティラママ、あれですあれ、あの巨女」「怖い顔してるわね」
おまいう、って今はもうすっかりやさしい顔だ。
(ちなみに『お前が言うな』略して、おまゆうね)
あの敵である主人公一団を、
女吸血鬼のような目で睨んでは、
牙で食い千切りそうな悪女顔は、今やすっかりやわらかママさんだ。
「テイクくん、あれなの……」
「マリーヌちゃん怯えないで、ほら今は真面目な表情してるじゃん」
「でも、槍で躊躇なく男を刺せるタイプだよね」「うんまあ、今はね」
あれをハーレムの一員に加えるのですよ!
国王に忠誠心を持つ巨女、確か設定は二十代後半だっけ、
彼女もまた悪女時代のように、情熱的に盲目的に国王である将軍を愛していた。
(バリバリの体育会系なんだよなあ)
俺の前世とは真逆のタイプだ、
コミュニティFMに呼んだ女性声優さんでも、
たまにばりばり体育会系の人とか来て緊張したなあ。
(ただ、多いのは文系とか体育会系とかより、水商売系いやなんでもない)
これ以上はいけない、池田さんに怒られる、
いや『どんぐり幸一』の名付け親ね、ディレクター。
とか思い出しているうちに過ぎちゃった、もうちょっと見たかったなあ。
(あっそうだ!)
ここはわざと下がって……
「テイクちゃん、どこ行くの」「テイクくん!」
あえて逆走し、
我らが一団の最後方へ……!!
「このハゲー!」「いきなりですな」
「リーフ師匠!!」どうしましたテイク殿」
「汗いっぱーい、大丈夫?」「砂漠ですからな」「そこの美人お姉さん!」「私か?」「タオル貸してー!」「汗拭きか」
おお、タオルと呼べるほど上等なものじゃないけど貰えた!!
「お借りします、おいらテイク、お名前は?」
「シヴァールだ」「あとで洗ってお返ししまーす」「いや、いらぬ」
そうそう、ゲーム実況でいっつも、
登場しては奇声のように『縛って! 縛ってーー!!』って俺が叫んだのを思い出す、
そのたびにリスナーからはコメントで『また病気だ』『だからそういう店へ行け』『俺と一緒に縛られよう』とか貰ったな。
(これまたドM男性が大好物な、巨女お姉様だ)
これを躾けて、淫乱バーサーカーにしたい!!
いやむしろ気がついたら躾けられていました、でも全然良いぞっと、
それはそうと貰った汗ふきをきちんと使わないとな、お、良い匂いが。
「あっ、リーフさん、はいフキフキ」
「……修行場で購入したタオルがきちんとありますゆえ」
「空気読んで! あのお姉さんを狙ってるんだから!」「ほほう、しかし年齢差が」「何を今更」
それはスティラさんで気付いてっていう、
いやもうバリバリの悪女だったら眼鏡かけた四十代でもいいよって、
後作であったね悪の女秘書官、非戦闘タイプだったけど、まあ俺、中身四十九歳だし。
(とかなんとか、ハゲと戯れているうちに王城へ)
長かった砂漠横断いや縦断の後の、
とうとう面会する人間側の二大巨悪そのもう片方、
いよいよ会話だが、さてはて、連れてきたロイヤルファミリーの面々は、どう立ち回るやら?!
(お願いだから、シヴァールお姐様を確保して、いや縛らなくて良いから!!)
第三の悪女、
それを手に入れることのできる交渉は、いかに。




