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第38話 砂漠へ行く下準備、ゲームキャラが、増えている……だと?!

 タラマスカス国で決戦がある前の下準備、

 いや外交的にガルデーダスやマティスリアがいくつかの国を介して、

 まずは柔軟に、搦め手で仲良くしようとはしているのだが、時間が掛かり過ぎる。


「もうおいら、みんなで砂漠の国を強襲したい!」


 そう言ったらスティラ様が、


「めっ!!」


 て口を『とある方法』で塞いで来てですね、

 まあそんなに急いでそうするっていう意見なんでしょうが、

 本来のゲームだと、もうとっくに各国、戦争の火種が勃発している訳ですよ。


(テイクだって、最初の戦闘で死んでてもおかしくない)


 ハードモードだと実況主が『あっ』の一言、一瞬で終わるからね、

 特にやり直しをしない系実況だと、って逆にやり直す実況のが珍しいか、

 とにかく今、この世界はやり直しは効かなさそうだ、いや試してないし試す気も無いが。


「ということでおいら、レベルは現在カンストしててもポイント欲しさに絶賛修行中なのですが」

「テイクくん、なにを敵が並んでいる前で喋っているの?」

「マリーヌちゃん、おいら、ちょっと『風雲! た●し城』の戦場を思い出しちゃった」


 そう、ラストのカートバトル会場。


「あの、次の敵がそろそろ出ると聞いたのですが」

「そだねイアンくん、いま『次の戦闘を開始しますか?』ってコマンドが出てるから」

「コマンド、ですか」「で、このタイミングで消費武器アイテムの補充してるから、もちっと待って」


 と話したのは、

 前回の戦いをかなりショートカットしたせいで、

 訪れすらしなかったバスモー王国の若き騎馬戦士イアンくんだ。


(いや、いつ潜り込んだんだよ、すっかり忘れてて勘定に入れてなかったぞ?!)


 当然ながら彼だけでは無い。


「それにしても、ここで買える肌着は上質ね、持って帰りたいわ」

「いけないのです! えっちなのはいけないのです!」

「あらまあマセた少年ね、大人の女性を侍らせているって聞いたけれど」


 と同じく騎馬に乗って現れたのは、

 お嬢様騎馬剣士のセシリ様、確かに尻がでかい、

 バスモー国のこのW騎兵は組み合わせが鉄板、薄い本でも人気だったなぁNTR含め。


(いっつも隣り合わせで親愛度が勝手に上がる組み合わせだ)


 いや普通にゲームを進めるとそうなっちゃうんですよ。


「確かにセシリ様の貴族令嬢のようなお美しいお嬢様にも関わらず、

 その見事な剣捌きで魔物や敵軍を馬車の上から颯爽と斬り倒すそのお姿は」

「なにこの子、急に大人びて」「そういう病気らしいよ」「黙れ小僧!」「おおこわ」


 イアンくんを怖がらせちゃった。


「何か揉めているのか」

「いえサイモン将軍、おいら、戦力が増えてうれしい!」

「はしゃいでいるのか、見かけより幼いと聞いてはいたが」


 うん、このじいさんは逆らっちゃいけない、

 なんせ声が、CVがギャラクシーなお方だからね、

 ゲーム内で殺されて、彼に化けた魔物が油断させてバスモー王を刺し殺すという。


(だから操作できないキャラのはずなんだけどな)


 今更だがストーリー上で死ぬ重要キャラが、

 ことごとく生きてしかも味方になってくれるのは心強い、

 ただ本来のシナリオを無視というか大きく歪めている訳だから……


(そういったキャラが新たな敵になる可能性も、なくはない!!)


 だからこそ丁寧に接して、

 そして出来るだけ裏を探らないと、

 だがそんな腹芸が出来るような立場には無い。


(大きい国の婿に入れば、それもやや可能になるが……)


 まあこの俺、おいらテイクにとっちゃ、

 このハイテクSFゲーム内な修行場こそが、

 我が国でありお城と言えるのだが、いつ奪われやしないかヒヤヒヤしている。


「補充、終わったよ!」

「ありがとうエリオ王子、じゃあ、はっじめっるよーーー!!」

「そうか、では開始位置に戻るとしよう」「あっはいサイモン将軍、よろしくお願い致します」


 こうして戦闘を何度も繰り返し、

 新たなゲームキャラの皆さんもロビーやホテルで泊まり、

 たまにファミレスでとんかつ定食をご馳走したりして親睦も深めてみたり。


(サイモン将軍、あんみつにハマってやんの)


 まあ、おじいちゃんだからね、

 一緒に出て来る渋い緑茶もお気に入りらしい、

 ドリンクバーに無いからってポイント使い過ぎないように言ってはおいたが。


「……という話だそうよ、テイクちゃんの話だと」


 今日もそのファミレスで夕食を頂いている今、

 改めて流れをバスモー国の三人にしてくれたスティラ様、

 いやこういう場だとメイクも普通のオシャレなお姉さんになっている。


(ちゃんとリクエストすれば、恐ろしい悪女のメイクになってくれるよ!)


 こういう女性を砂漠でもうひとり、拾うのです。


「なるほど、では女神様の天啓を受けて先手、先手を打っている状態なのですね」

「先の大戦の噂を聞くと、信じるしかないわね……特にここの施設を見ると、尚更」

「うむ、絶対の秘密にせよとの陛下からのお達しもよくわかるな、それでこの抹茶プリンパフェというのは」「おごらないよっ!」


 対面に並ぶイアンくん、セ尻いやセシリさん、

 サイモン大将軍様って陛下も居て将軍も居るってややこしい国だなバスモー国、

 いや将軍は最上位クラスの称号だったからいいのか、の三人に対しこっちは両隣りにスティラ様、マリーヌちゃん。


(確かに六人掛けテーブルだけどさ、どこの宗教勧誘現場だよこれ)


 いや宗教は自由ですよ、

 おいらは無宗教っていう宗教に入っているけど!

 うん、神に誓って無宗教だ、ゲームの世界なら、尚更。


「ちなみに脱出方法は……潜る!!」

「テイクちゃん、またどうしたの?」

「マリーヌちゃん気にしないで、天啓がたまに、ちょこっとだけくるから!!」


 あとテーブルを潜って逃げた後、

 キッチンまで逃げるというのがおすすめの脱出方法です。

 深く考えた後、おいらの方を見て目を見開くサイモン将軍!


「それでテイクよ」

「だから奢らないってもう」

「いや、砂漠の国での目的は何だ、一番の目的を、言え!!」


 命令形きたあああああ!!


「平和にすること、かな」

「それだけでは無いだろう」


 頷く僕の両隣、

 元悪女のおふたり……

 軽く言っちゃってるもんな、目当ての人物が居るのを。


「ええっとそれはですね、

 助けたい人が居るのですが、

 あっ、会ってからのお楽しみということで!!」


 と、スムージーをずずずずずぅぅぅぅぅーーーっと一気飲みするおいら。


「助けたいなら情報を貰わないとな」

「ま、まあそれは確かにそうですが」

「もし言えないのであれば……」「言えないので、あれば?!」


 凄むサイモン将軍!

 その口から出た言葉は!!


「この『蜂蜜パンケーキ』を人数分、奢れ!!」

「結局、喰いたいだけなんかーーーーーいっっ!!!」


 まあ奢ってあげました、悪女ふたりにも。

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