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第32話 そして目覚めた眠り悪女

「……ここは、どこ? あなたは……誰?!」

「おいらテイク! アサシンさ、大丈夫? 痛い所ない?」


 最後、実況なら『おっぱい揉む?!』とか言ってたな、

 いやいや今は大切なシーン、眠り姫ならぬ眠り悪女が、

 寝かされていたソファーから目を覚まし俺を見ている所だ。


「私は、私はいったい……??」


 声がドスの効いた悪女から、

 中の人の素に近くなっている、

 いや今ここで中の人とか言うなっていう。


「何か、思い出せる?」

「いえ……でも、大切な、何かが……ううっ」

「無理しないで! アイス食べて、おいしいよ」「ありが、とう」


 食べさせてあげる。


「おい……しいっ!!」

「ここでしか食べられないよ、内緒だよっ!」

「……私の、名前は……??」


 記憶喪失で名前が出てこないのはよっぽどだって聞いた、

 極端な話、どんなに記憶を無くしても名前だけは憶えているものらしく、

 それすら出てこないと深刻な状況なんだとか……本当なのかは知らない。


(まっ、ゲームだしぃ)


「お姉さんの名前は、スティラだよ!」

「スティラ……それが私の、名前……」

「とりあえず美味しい物をもっと食べよう、その前に、お風呂があるよ!」


 そう、シャワールームからポイントで上げた。


「テイクくん、スティラさん起きたの?」

「うん、マリーヌさんお風呂案内、入るの付き合ってあげて!」

「わかった、テイクくんは」「おいら、食事を用意する!」


 デザートが先になっちゃったけどね。


「ここ……気持ち、いい……」


 エアコン風は身体に悪いって感じる人も居るけどね、

 特にペットの犬猫、ってそれと一緒にしちゃ悪いか、

 まだぼーっとしてるからお風呂でスッキリして貰って、っと。


(マリーヌさんに残って貰って良かった)


 今、俺は四大悪女の半分と一緒に居るんだなぁ、

 まだ全然、まったく好感度は稼いでないけど!

 いいんだ、ここから少しずつSに近づけて行くんだ。


(何せスノちゃんとクリネを、修行場でペアにしていたのは俺なんだから……)


 この意外な組み合わせが本当にお互い親愛度Sになるとか、びっくりだったけど!


 さて準備準備っと、

 今からポイントを自販機で使っちゃうと、

 出来たての美味しいのをあげられないから……


(まずはおやつからだねっ)


 某きのこ、某たけのこ、某パ●の実、某切り株、あとチョコナッツのやーつー!

 他少々、これ長時間実況で頭が回らなくなった時に助かるんだよなあ、

 問題はあんまり食べすぎると眠くなるんだけど、ってこれ俺だけじゃないよね?


(聞いても答えるリスナーは居ない、グスン)


 後は筒に入れるタイプのポテチも用意して、

 早く出て来ないかな~と待つ事、小一時間。


「お湯、ありがとう」


(うわお、純白のふわふわバスローブ!)


 お風呂のオプションである。


「じゃあ、買ってお手本見せるから、

 そのへんのを摘まみながら見てて~

 あっ、マリーヌさんもいいよ、遠慮なく」


 ポリポリ先までチョコたっぷりなやつを食べるマリーヌさん、

 それを真似して食べるスティラさんは甘さに頬がにやけてる。


(いやこれ悪女の顔じゃないぞ?!)


 まあ今はね、

 とラーメン、そば、うどん、チャーハン、カレー、

 さらに缶のおしるこ、おでん、コーンスープ、甘酒も用意してあげる。


「こ、こんなに……」

「熱いうちにたーべてー」

「食べきれなかったら……おいらがたべるー!」


 育ちざかりだからね。


「いただいてー!」

「はい、では失礼して……お、おいしいっ!!」


 さすがに記憶消されても食事の仕方は憶えているか、

 箸はまだ無理でもフォークは上手く扱ってくれている。


「これ、ドミニクさん達がお湯入ってない状態で持ち帰りたいって」

「マリーヌさん、それダメ、ゼッタイ!!」「うん、そう言っておいたわ」

「あっ、お水もお茶も、次からはポイントちゃんと稼いでね~」


 そして、ポイントだけじゃないのです!


(実はラスボスを倒したという事は……!!) 


「それでスティラさん」

「はいマリーヌさん」

「あのソファーより、私の部屋で、一緒に寝ない?」


 えええええまさかの百合展開?!


(実況なら画面が『キマシタワー』でいっぱいになるな)


 確か俺が死ぬ前の、

 最新版のゲームだと同棲同士でも親愛度Sになるんだよな、

 そして同性婚するカップルも……それは俺が、泣く!!


「良いですが、その、なぜ」

「ベッドがひとつ空いちゃって、寂しくって」


 弟さんのか。


「テイク、くんは」

「スティラさん、おいらへーき、だって男の子なんだもん!」

「では、しばらくは」「スティラさんもポイント溜めて、部屋つくってー!」


 うん、もう俺はいっそ自分の部屋を作らずに、

 悪女の部屋を毎日はしごする生活を夢見てしまいたい、

 でもまだまだ先なので例の王子の部屋を使っています、居ない時はいいって。


「わかったわ、ふたりとも、これから、よろしくお願いします」

「落ち着いたらハゲもといリーフ様の孤児院を手伝ってー! 勉強にもなるよ!」

「テイクくんも勉強した方がいいよ、特に計算」「はちたすはちは、いんふぃにてぃ!!」


 といった悪女との生活が始まったのであった、

 そして数か月後……俺は、いや僕は、いや、おいらは……!!

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