第30話 悪女が敵将を愛し過ぎていて辛い
スティラ「グナガン様、私の力をお使い下さい!」
主人公が与えたダメージを回復する声!
うん、エフェクトばっちりだね、
魔王の残りHPがまた半分以上になった。
グナガン「おおスティラよ、私の肩腕よ」
スティラ「貴方様の手に入れたい物は、全て捧げますわ」
艶っぽい声に聞き惚れたい所だけれど、
あいかわらずゲームとはいえ、この遠距離通話魔法は何なんだ、
しかも俺たちにも適応されるという、主人公が姐さんに問う。
エリオ「そっちはどうだ、かかったか!」
ドミニク「まだだ、やはりそちらの石化が先のようだ」
スティラ「さっきからわけのわからない魔導書を使っているわねえ?」
余裕の魔女スティラ、範囲魔法に通常魔法、
そして通常回復にラスボスへの遠距離回復魔法を毎回するバケモノだ、
ここまでみんな強くなっていても、しかも本来の二年前でもこの強さよ。
(だからこそ、そこに痺れる、憧れるんだよなぁ)
さっきのセクシーな服装が忘れられない、
ある程度の子供も遊ぶゲームなので露出はアレだが、
それでもフィギュアが発売されたくらいにはナイスバディだ。
エリオ「よし、かなり削ったぞ」
テイク「殺すのは、まずいっす!」
エリオ「わかている、先にあの魔女が死ぬんだろう?」
その言葉に驚くラスボス。
グナガン「な、なぜそれを」
エリオ「お前達の悪事を全て調べた上で、こうして来ているんだ!」
テイク「まるっとお見通しだいっ!」
一瞬だけ本業が声優になった事のある人気女優の台詞をパクらせてもらいつつ、
隣りで石化魔法をかけようとするハゲに目をやる、いやこのお方はクリア後も、
物凄く大事な仕事が舞っているから大切に扱わないといけない、敬いながら聞こう。
テイク「はやく! はやく! はやく!」
リーフ「後頭部をぺちぺち叩かないでくだされ」
テイク「おったん! おったん! おったん!」
迷惑そうな顔だが子供のやることだからね!
スティラ「あぁ、この身、この心、この命、何もかも全てグナガン様のものですわ……」
まーた回復される、
このラスボスに石化魔法がかかる可能性は最高で5%、
その間、毎ターン悪女の愛情表現を聞かされる事となる。
スティラ「昨日も今日も明日も、私が貴方を愛する事をお許し下さい……」
スティラ「私の中にある愛情は、何もかも全て差し上げますからどうか、どうか御無事で」
スティラ「グナガン様の前に立ちはだかる虫けらは、全て踏みつぶしてさしあげますわ!」テイク「踏んでー!」
やべえ、心の声が漏れた。
リーフ「こうですかな?」
テイク「お前じゃなーい!」
ジュリン「若、仕留めてきました!」
大魔道士対応の別働隊、こっち来ちゃった!
エリオ「アイテムは」
マクス「しっかり回収して来ました!
エリオ「よし、こっちに合流してくれ」
まあ奥から追加で湧く敵に関しては今はいいか、それよりも……
テイク「じゃあおいら、姐さんの方へ行く!」
ゼッカ「なら俺が乗せて行ってやろう」
機動力オバケと化したゼッカ様に担がれる!
そして移動中も城内に響き渡る悪女の声よ。
スティラ「あぁ、この愛を受け入れて下さるグナガン様の御慈悲に感謝を」
スティラ「触るんじゃないわよ! 私に触れて良いのは、生涯、あのお方のみ……」
スティラ「この血、肉、骨、全てを捧げて私は貴方様の盾となり鉾となりますわ」
いやあんた魔女だろう魔法特化だろう、
と思いながら四姉妹と聖女が対応するフロアへ着いた、
うん、ムッチムチで美味しそうな魔女に釘付けになるね!
テイク「ちゃんと体力、削ってる?」
ドミニク「ああ、殺さないように慎重に計算してな」
スノ「でもすぐ回復してしまい、記憶除去魔法をかけるタイミングがなかなか」
このメンバーだとスノちゃんが一番、魔法かけ易いんだけどな、
本来は戦闘中に使う魔法じゃないんだけど、かからないはずは無い。
リーフ「石化かかりましたぞー!」
今だ!
テイク「スノちゃん!」
スノ「はいっ!」
スティラ「えっ何? こ、これは、あ、頭が、頭が真っ白にっ!」
うん、残酷魔法の発動だ。
スティラ「そんな、そんな私は……あぁ、グナガン様、わた……ぁ…ぃ…し……」
ドミニク「……眠ったようだな」
スノ「はい、これをどうなさいましょう」テイク「おいらが貰うよ!」
と言いつつ担いでくれたのはゼッカ様だ。
ゼッカ「外へ出すか」
テイク「まずは全員で、王子の所へ!」
一旦、城の外周に出ると敵が沸いている、
ラスボス石化状態だからまだ終わってないのだろう、
おいらもドミニク姐さんに乗せてもらって、っと……そして玉座の間へ。
マクス「さあどうする、殺して良いのか」
テイク「マリーヌちゃん、どう?」
マリーヌ「……契約魔法の解除が先ですねぇ、ゆっくり調べたいです」
と、いうことはだ……
テイク「んじゃ、グナガンを石化したまま、運ぼう!!」
こうして対ラスボス戦、
『シンボリックウォーワールズ~第一作 光と闇の戦い~』
最終章は、とりあえず終わった……のかも?
(まだ敵の援軍が湧いてる? 知ったこっちゃない!!)
眠り姫と化したスティラを見る。
テイク「さあ、どんな悪女に育てようかな~♪」
マクス「おいテイク、それだとテイクが悪の手に染まる事になるぞ」
テイク「あっ……だいじょぶだいじょぶ、わるいことは、しなーい」
そもそも悪女とは、って話になるなコレ。