第27話 最終章前日
時は来た! ……それだけだ」「プッ」
隣りでハゲ僧侶改めハゲモンクが吹いているが、
いや上級職でレベルMAXになってもあいかわらず配信主『おったん』だ。
(※本人に許可は以下同文)
「髪、切った?」
「ああ、身だしなみは城で毎日やっている、伸びたら切ってくれるが」
「おい、若に失礼だぞ」「ごめんねごめんねごめんね~」
主人公相手にこの態度、
不敬で死んだら元の世界に戻れるかな~♪
(このハイテンションの理由は、そう、いよいよなのです!)
あれから時は流れ、
っていうほど年月が過ぎた訳でもないが、
王子やお付きも上級職Lv20にまでなったのです!
(これで手駒はカンペキダ!)
それではここで最終章へと挑むメンバーを紹介しよう。
エリオ(マスターロードLv20)
ジュリン(聖騎士Lv20)
マクス(装甲騎士Lv20)
フォスト(魔法騎士Lv20)
ゼッカ(アーマージェネラルLv20)
まずは主人公とその取り巻き、
本来なら妹とか途中で拾ったもとい説得したキャラとか、
補助的な仲間をもっと連れているはずの一派なのですが……
(余計なものなど要らないくらい、強くなっているよ!)
たとえば装甲騎士にクラスチェンジしたマクス、
硬いのに速いが攻撃力が足りないキャラなのだが、
ポイント交換で最上限まで数値を足している、チートか。
(そして何よりゼッカ様ですよ!)
アーマージェネラルというのは堅くて強い、
そのかわり遅くて素早さがまったくと言って良いほど無い、
しかしこれもポイント交換のアイテムで一度に20歩進める! (当社比)
「ゼッカ様、足、はやーい」
「おかげで素早さが抜群に上がった、敵の攻撃もまず当たらねえ」
「そしてゼッカ様の攻撃が、当たりに当たりまくるよ!」「まあな」
遠くから追加で湧いてくる近衛兵を全部、潰して貰おう。
続いてペガサス四姉妹だったドラゴン四姉妹を改めてご紹介。
ドミニク(ドラゴンライダーLv20)
レイラ(ドラゴンウォリアーLv20)
ミラール(ドラゴンアーチャーLv20)
ファル(ドラゴンプリーストLv20)
スノ(聖女Lv20)
ひとりふえてるうううううううう!!!
(落ち付け俺、何を今更)
回復役をひとり増やしました!
おまけに光の攻撃魔法まで出来ちゃう、
さすがは一国の、マティスリア国の妹系お姫様。
「早くあの『雪を見るダイフク』にポイントを交換したいですわ」
聖女も現代日本の味にすっかり俗物である。
いや、修行場から出るとポイントは貰えないのだが。
そして最後に俺様テイク軍、残念ながら増えてはいません。
クリネ(バーサーカーLv20)
マリーヌ(ダークウィザードLv20)
リーフ(モンクLv20)
テイク(アサシンLv20)
そしてハゲに最近なつかれている俺。
「テイク殿とのコンビネーションも、様になってきましたな!」
「俺たちは1+1で200だ、10倍だぞ10倍!!」
「……やはりテイク殿も孤児院で皆と一緒に勉強を」
うっせえ広島の限界集落で村一番の若手(50代)みたいな顔しやがって!!
「あっ、マリーヌちゃん死なないでね」
「うん……クリネも無理しちゃ駄目よ」
「この力で無理も何も無いよ、強くなり過ぎちゃって怖い」
元々のポテンシャルが凄いからね、
本当は怪しい薬だか魔法だか魔導書だかで、
とんでもないクリーチャーになって後衛を殺戮しまくるんだから。
(すげー機動力で回復役ばかり狙ってワンパンでキルしてきてたな)
実況で盛り上がる盛り上がる、
でもそれを今度は味方として敵にやって貰わないと、
そしてマリーヌちゃんは貴重な悪女枠だ、まだ育て中だけど、悪女としてね。
「ええっと、それでヤツの悪事の証拠は揃ってる? るぅ??」
王子とドミニク姐さんに首をかしげながら聞いてみる。
「ああ、確かに世界征服を企んでいると言われても、
おかしくないような悪事を水面下で進めていたようだ」
「こっちサイドからも、まあ死刑に出来なくは無い証拠だな」
やっぱり今この段階でも立派な悪人かぁ。
(ということは、それを慕う悪の魔女も当然……!!)
「よーし、おいら、魔女を捕まえちゃうぞー!」
「その女は生け捕り必須、テイク任せでいいんだな?」
「うん、おねがい☆先生!」「私は王子だ、教師では無い」
いや魔女の中の人がですね、
っておっとこれはフライングか、
詳しくは後で! 悪女役といえばこのCVなのですよ。
「若、やはりコイツは不敬で」
「幼いだけだ、許してやってくれ」
「崖から突き落とさないでくれよ、押さないだけに!」「もう」
ファルちゃんに背後から杖でこつかれた。
「んじゃ作戦通りで、さささーっとやっちゃおーーー!!」
それぞれドラゴンや騎馬に相乗りする、
おいらテイクはというと……ドミニク姐さんの後ろだ。
「本当に、本当にこれでこの世界が平和になるのだな?」
「うん、アイツを倒せば闇の、魔の世界ともつながらなくなるよ!」
正確には繋げられるヤツはすでに殺っちゃったんだけどね、
しかもドミニクさんが……おかげで記憶消去の魔導書を入手できた。
「では、出発!」
季節はすっかり春、僕は、いやおいらテイクは、
俺こと土間幸一は、ついに、ついに最高の悪女を手に入れるべく、
ダングルキア国へと極秘裏に進軍させるのであった。
(待ってておくれよ……悪女スティラ様ぁ!!)