第24話 忘れちゃいけない宿題を片付けました 前編
「よし、では皆よ、作戦通りに行くぞ!」
ペガサスでは無くドラゴンに乗る四姉妹、
上位クラスでLv20になったからね、ゲームならラスボス戦だ。
そしてそれぞれの後ろに乗る四人、一緒にひとっ飛び。
(そう、相乗りシステムだ)
ゲームのシリーズ第三弾からだよね確か、
騎馬や飛竜に乗ってると他の歩行型キャラを乗せられる、
もちろん一緒に攻撃はできないし素早さも下がるが人の移動には楽だ。
「では、出発!」
僧侶おったん(リーフ様)の孤児院を出発する僕ら、
一応は組み合わせを解説しておきましょうか?
どうせすぐに片付くんだけどね、僕らは強くなりすぎた。
ドミニク(ドラゴンライダーLv20) 同乗:クリネ(バーサーカーLv20)
レイラ(ドラゴンウォリアーLv20) 同乗:マリーヌ(ダークウィザードLv20)
ミラール(ドラゴンアーチャーLv20)同乗:リーフ(モンクLv20)
ファル(ドラゴンプリーストLv20) 同乗:テイク(アサシンLv20)
うん、本来の山賊マップへ行くメンバーより凄まじく強い。
(あれだけ準備期間があればね!)
一時期こっちの処理を忘れかけたけど、
ちゃんと俺の中のテイクが、せっついてくれた、
もちろんこの宿題は絶対に片付けないといけない。
(ちょっと最強最凶最恐の悪女に心を奪われただけです!)
などと考えていると、
あっという間に俺が隠し続けていたアジトの森へ……!!
「テイク、このあたりで良いんだな?」
「うん、あの崖の上に降りて! 入口があるよ!」
「よし、最近も商人の馬車が襲われたばかりらしい、行くぞ!」
俺はローブを深く被ってファルちゃんに護られる、
まずはクリネくんが戦闘で突っ込んでいくと中から……
「うおっ、なんだ!」「敵襲か!!」
「おい、親分に……ぐああ!」「まとめてかかれ!」
「ぐああ、後ろから炎が!」「このハゲやたら強いぞ?!」
続いて入ったマリーヌちゃんリーフのハゲも大丈夫そうだ。
(でも、でもなんだろう、敵の声を聞くと、涙腺が……)
やはり知っている声だからだろうか、
あんまり良い思い出は無かったはずなのに……
「我々は漏れてきた敵を潰す、テイクは顔を出すな」
「あっはい」
「……おっさんの方が出たな、大人しくしていろ」
ドミニク姐さんに従ってファルちゃんの後ろに隠れる、
いや前衛のアサシンが僧侶系の少女を盾にするとか罪悪感が。
あっ、マリーヌちゃんの火力が高すぎたのか逃げ出る山賊が!
「よし捕らえろ!」
テイクくんのために、
出来るだけ生け捕りなんだよな、
手足の一本二本はまあ、仕方ないにして。
(洞窟内の悲鳴も多くなってきた)
そして、やがて……
「くそっ、お前が囮になれ!」
「アンタ、必ず帰ってきておくれよっ!!」
出て来た出て来た車輪刑確定が!
隣国へ逃げようとするカソンだけが出てくる、
うん、ゲームと同じだ、よって中のエバレイ姐さんは……
(できるだけ長く引きつけて、自分の命を犠牲に……)
しかしこれだけ力差があると、
自害でもされない限りは捕らえられるだろう、
むしろ何もしない方が旦那の逃げ切るのを待つだろう。
(で、カソンの逃げた先には……)
「本当に来たな」「さあ観念しろ」「山賊の親分、手配書が出ているぞ!」
「な、なんだお前達、どうしてこの抜け道を……くううううう!!!」
そう、本来、本当の意味でこのマップで戦うはずだったジュリン、
別方向へ走るから姿しかここでは見せないマクス、そしてすぐ(ストーリー上)死ぬモブ、
顔合わせでフォストって聞いてようやく思い出したような気がする、いやほんと。
(ゲームクリア後のお楽しみでも操作できないキャラだからね)
さすがに現時点でレベル低そうなこの三人でも、
待ち伏せで容易に捕らえる事ができた、さあ、ここからだ。
(できるだけエバレイ姐さんの前で、酷い事を言わせないとな)
そう、百年の恋も醒めるレベルで。
「よし、レイラとファルとテイクは知らせに行ってくれ」
「「「はいっ!!!」」」
洞窟の入口へと戻って入る僕ら、
ドラゴン無しでもレイラさんは強いはず、
あと、こういう時こそ本職のおいらが……
(あっ、ちょっと中のテイクが出てきた)
洞窟内は懐かしい、
何も変わっちゃいない劣悪な環境だ、
縛られている山賊、足を折られた山賊……
(知らない顔も居るけど、知ってる顔も居る)
顔をローブで隠しているので、
テイクだと思って声をかけてくる奴はいない、
そしてゲームだとこのマップのボスが控える椅子で縛られていたのは……!!
「ちいっ、こんなに強い奴らが来るとはねっ!!」
(ゲームの中の台詞、きたああああ!!!)
でもそれじゃあ、
殺さないといけなくなっちゃう!
まわりのクリネ、マリーヌ、僧侶おったんを下げるレイラさん。
「とある事情により命の保証はします」
「ふんっ、アタシたちが何人殺してきたと思うの?」
「……彼に感謝するんですね」
僕はフードを取って前に出る。
「アンタ……アンタ、テイクかい?!」
「ごめんよう、でも、でもおいら、おいら」
「……生きてて良かった、いいんだよ、こうなる未来は見えていたさ」
少し目を潤ませている、
俺の中のテイクもわんわん泣いている、
だってこんなに涙があふれてくるんだもの。
「ではガルデーダス城まで連れて行きます、全員奴隷落ちでしょうね」
「そしてアタシは責任を取って処刑ね、いいわ、だって、だって……」
これカソンが逃げ切ってると思ってるな、
さてさてどうするか、ここは土間幸一の考え所ってやつだ、
なんとかしてエバレイ姐さんを生き残らせる方法、そう、それは……!!