第20話 ある意味、当ゲーム最悪最凶の魔法書を手に入れよう
「よくぞ集まった、我が精鋭たち!」
「いや、いつものメンバーだが」「テイクちゃん、大丈夫?」
「確かに私達、みんな上位クラスの最高レベルだけど」「テイクくん、何か変」
みんなざわざわうるさいな四姉妹、
朝から集めたのは俺なんだけれども!
「今から魔法都市ジーマに忍びこーむ!」
「テイク、本当なら国際問題だぞ」「テイクちゃん、大丈夫?」
「確かに内外の子供を攫っているって噂はあるけど」「テイクくん、どこか変」
最近ようやくテイクの『闇に隠れて人間になりたい』な喋り方以外が出来るようになってきた。
いや歌詞じゃないよ、歌詞だったら一発アウトでこの世界が抹消されちゃいそう!
助けてモキュ様! あ、モキュ様っていうのは配信主でよくミニゲームをって今はいいや。
「他所の子供がひとりくらいはいるっしょ」
「ひとりも居なければただの戦争、下手すると犯罪だが」「テイクちゃん、大丈夫?」
「ウチの国内を解決に導いてくれたから信じたいけど」「テイクくん、やっぱり喋り方が変」
いや、元がおかしいんだってばこのゲーム!
「狙うはただひとーつ、その名も『オブリビオンの魔法書』ですぜオーディエンスの皆さんよう」
「聞いた話通りなら恐ろしいな、記憶を全て消す魔法書など」「テイクちゃん、大丈夫?」
「そんな恐ろしい魔法書、暗殺するのに等しいよ」「テイクくん、目つきが変」
僕は誤魔化す所を誤魔化して、改めて説明をする。
「魔法都市ジーマの秘密研究所、そこに居るシャバドというお約束はげじじいが持ってる!」
「何がどうお約束なんだ?」「はげじじいなら、そこらじゅうに居るわよ?」
「それを使って、どこぞの姫の記憶を消そうとしているんだよなテイク少年」「テイクくん、本当?」
ゲームのシナリオに嘘は無い、
と思いたいんだけれどもなぁ、
こればっかりはなぁー……だってさぁ……
(時系列的に行けば、まだ悪の連中と組んではいないんだよな)
もちろんもうすでに悪い事はたんまりしている、両者ね。
だからこそ、上手く立ち回れば無事に俺は正義側という事で罰せられず、
記憶を無くす魔法書も、そしてその魔法書によってお目当てメインの悪女も入手できる、はず。
(何とか四姉妹の信頼を手にする事ができた、だがその分……)
親愛度が姉からB・A・B・Aである。
どっかのコマンドみたい、いや上下左右とかは無いが。
誰かひとりSになってしまったら、もうそこで『お・し・まい』←闇芝居風、かもしれない。
(悪女以外のENDだなんて、人生のリセットをしたいレベルだ)
だからといって次に飛ばされた先のゲームが、
再・転生先が『田●まさ●のプリンセスがいっぱい』とかだったら、目もあてられないけど!
あと『●さんのまもるもせめるも』とか『カ●フ君のジャンプ天国とか、ってチョイス古いな俺。
「とにかく! 攫われて人体実験させられている子を助ける!
じじいから記憶消去の魔導書を取り上げる! 後は任せた!!」
「……テイク、無茶を言っている自覚はあるか」「おいらに、おまかせー!」
日曜お昼のテレビ番組みたいに言っちゃった。
「わかった、もうこうなったら信じよう」「テイクくん、大丈夫よね?」
「これで私達を騙していたら、テイク少年の命は、無い」「テイクくん、顔が変」「おい」「冗談よ」
前世を考えると、
冗談にならないんだよなぁ。
「それでは出発前に、配布物がありまーす!」
そう、ポイントで溜めて買った、とっておきの、アレだ。
「まずは長女、ドミニクさん」
「なんだ、『くすりびん』か? ……いや違う、これはぁ!」
「次女、レイラさん」「えっ?! こっ、これってぇ?!?!」
うん、驚いてる、驚いてる、
「三女、ミラールさん」「豪華な瓶だな、ひとくち舐めても良いか?」
「四女であり末娘、ファルちゃん」「知ってる、これ、『エリクサー』よね」
「そうです! ピンチになったら、もったいぶらずに使ってね!」「「「「使えるかーーーー!!!!」」」」
さあさあ、ここまでさんざん色々と遠回りをして来たけれども、
ここからはようやく俺の悪女ハーレム第一歩、そのスタートが切れる!
(もういっそ、ここから先は一方通行だとでも思って……!!)
「では受付の皆さん、行って、きまっす!!」
「「「「はいっっっ」」」」
(うん、人形なのにみんな良い声だ)
コレもコレで声優は居るんだろうな、無名だろうけど。
……いや待てよ、経費削減で主要の方々が二役やっているのかも?
だとしたら、対応が少し違ってきちゃうかも……気にしない選択肢も、もちろん有る。
「ペガサス四姉妹も、出陣ぢゃああああああああ!!!」
「テイク、戦闘は私だ」「テイクちゃん、テイクちゃんは私の膝よ」
「とにかくボクはもう、テイク少年を信じる」「テイクくん、がんばろ一緒に」
こうして僕らは100%信じては貰えていないであろう中、
とても危険な魔法国へと侵入しに行ったのであった……。
(例のアイツらが居たら、流れによっては回収か共闘かなっ?!)