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第18話 ついに来た快適ライフとクラスアップ、だがこれは序章だ!

「あれから三週間かぁ……」


 いや、この世界って暦どうなっているのよ?

 西暦ならぬ、なんちゃら歴何年とか設定にあったから(設定いうな)、

 二月とか五月とかあってもおかしくは無い、このへんは元の世界、前世基準だろう。


(というかコンビニが出来たら時計が買えるはず)


 ひょっとしたらコンビニを出現させたら家電量販店とか出てくるかも、

 そしたらPCルームより前にパソコンを買ってしまおう、WiFi設備も完備して元の世界と繋がるかも?

 昨夜も夢の中で『砂利ガニ』さんの配信を見ていた、いや自分の配信はどうしたよ、俺こと『どんコロ』の。


「戻ったぞ!」「今日もポイント、沢山稼ぎましたわ」

「テイク少年、いいかげん寝室を作ってはどうか」「私の部屋も、欲しい」


 そう言って戻って来た四姉妹、

 あれから下の姉妹だけでなく長女次女もすっかり仲間に加わり、

 国を抜け出してきてはここの『快適生活』そのおこぼれを貰っている。


「とりあえずハンバーガーを頂こう」

「私はそばを、この大きな箱自体がお湯を出す魔導具なのですわね」

「ボクはしじみドリンクを」「このチョコたっぷりのお菓子、好き……」


 みんな思い思いに自動販売機の虜だ、

 ポイントを集めて食堂、フードコートを作ろうって話も出たが、

 それぞれのポイントの合算は出来ないらしい、だから僕がかなり溜めている。


(もちろん自分のためだけどねっ!)


 三週間で色々と揃えた、

 まずは自販機を五台設置、

 寝具も五種類コンプリートしてカウンターの上だ、端の方ね。


(そしてそのカウンターはというと……)


 木偶人形をカスタマイズして人の姿にした、

 アレだ、ふた昔前の万博とかに居たロボット受付嬢、

 リアルだけどよく見ると怖い奴、ああいった感じだ。


(もっとポイントをかければゲームキャラになるけど、それは危険だ)


 排水管工事のオッサンとか、NTR桃姫とか、

 えっタイトルそれなのにお姫様の名前でお前が戦うの?! なハーフエルフとか、

 宇宙狐とか、あきらかに出現させると悪い事が起こるキャラクターは避けさせて貰った。


(この世界が、壊れそうな気がする……)


 だから当たり障りの無い『受付嬢A』『受付嬢B』『受付嬢D』にさせて貰った、

 いやね、Cがあの女の子キャラにそっくりなんですよ、某探偵倶楽部のアシスタントの……


「テイクどうした、ぼーっとして」

「はっ! おいら、上位クラスになる!」

「もうか、早いな」「あれだけ魔物を倒しておりましたからね」


 そう、ついにとうとうレベル20を達成し、

 クラスチェンジの資格を得たのです!!

 ……それ用のアイテムをポイント交換して、後は使うだけだ。


「それじゃあ……おいら、使う!」


 四姉妹に囲まれて、

 秘密基地の中心で俺は……光に包まれた!!


 ♪ジャーン ジャーン ジャーン ジャーン ジャジャジャーーーン!!


『山賊Lv20 から アサシンLv1 になった!!』


(盗賊の上位種きたーーーーー!!!)


 これが配信だったら画面いっぱい文字で埋まるね!!


「おお、テイクが格好良くなったぞ」

「暗殺者っぽくなりましたわ」

「でも少年は少年なんだな」「テイクくん……かっこいい」


 やばい、みんなの親愛度が上がっちゃう!


(俺は悪女にぐちょんぐちょんにされたいんだー!)


 い、いや、泥レスのことね、

 って俺はいったい何に怯えているのだろうか?


「みんなも早く、上位クラスに、なるべき!」

「おっそうだな」「ポイントで武器も増えましたわ」

「テイク少年のおかげで、どんどん強くなるよ!」「私はこのお菓子、持ち帰りたい……」


 一応それはお断りしている、

 本来まだ入手できないはずの武器アイテムはもちろん、

 現世というか元の世界のお菓子やジュース缶は外に出さない方が良い気がする。


(だからここのゴミ箱に必ず捨てて貰っている)


 ファルちゃんはそのために、

 わざわざ帰りに頬張りながら飛んで行くんだよな、

 最後までチョコたっぷり入ったアイツを。


「みんな、上位でレベルが20になったら、悪い王様、倒しに行く!」

「それなのだが、信じて良いのだよな?」

「もし違ったら国際問題に」「だいじょぶ、まーかして!」


 長女次女が心配するのもよくわかる、

 でも僕の記憶、ようやく完璧にメモした、


『これからのこの世界の歴史』


 まさに未来ノートだ、これからすれば、

 もうしばらくすると例の連中がここの近くの古代遺跡に来て、

 悪魔の竜族を召喚するはず、そのタイミングで迎え撃って……


(そこで、このゲーム最大の強さを持つ、最強の魔女を手に入れるんだ!)


 その前に行く所があるんだけれどね、

 実はそっちにも悪女が居る、その説明はまあ、後程。


「そういえばテイク、例の教えてくれた我が国の内情なんだが……」

「言った通りになる、嘘ついてない、はずっ!」

「ああ、その前提で探りを入れた結果、色々と正解だったぞ」


 そりゃあまあ、ゲームのシナリオですから。


「でもおかしな話もありましたわ、

 そうなりそうな気配はありますが、

 おそらくまだ思案中の段階だという様子もありますの」


 ……つまり、ゲームのシナリオに至る手前、

 まだこれからこうなりますよの方向へ行こうという状況か、

 って僕、日本語大丈夫だよね?! と子供ぶって誰かに聞いてみる。


(まったく、まだ俺は『配信中』という意識が抜けないらしい)


 ここは一度、

 自分についてもおさらいした方がいいな、

 メモとペンはあるんだ、そこに前世の全てを書き記そう。


「おいらを信じたら、間違い、ないっ!!」

「わかった、いざとなったら力で捻じ伏せる」

「そのためには私達も、強くなりますわ」


 ……ある意味、交換条件だな、

 僕は悪女を入手するのに協力して欲しい、

 彼女達は自国の内乱、国王が家族同士で殺し合うのを止めたい。


(欲張れば、あの姫様とかも味方にしたかった所だけれども……)


 でも敵だってまだ強くなる前、

 もっと言えば元凶を呼び出す前の段階だ、

 俺を含め五人、しかもこのバランスであれば……


(保険であのハゲ僧侶でも連れて行くかな)


 それには孤児院に行かないと、

 まあとりあえず、もっともっと強くなろう!


「みんな、落ち着いたら、もうひと狩り、行くっ!!」


 ……早く悪女に顔をむにゅりと踏まれながら、眠りに入りたいなぁ。


(その目標を考えたら、今はまだまだ、序章みたいなものだ)


「ねえ、もういっこお菓子買っていい?」

「ファルちゃん……」

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