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第11話 なんとかここを死守するために

 デバッグルーム、まずはトイレを確認する。


(なんとかここを、このアジトを乗っ取られないようにしないと)


 ここは俺の新しい人生におけるターニングポイントだ、

 ゲーム内では聖人君子のようだったこの四姉妹だって、

 こんなイルカが攻めてきそうな未来科学、詳しく知ったら手放したくないはずだ。


「すごいなこのトイレ、水が噴き出るぞ」


(はい異世界転生もののお約束、『ウォシュレットで驚く』いただきましたー!)


 お尻のでかい長女ドミニク姉さんにはさぞかし快適だろう、

 うん、悪の女幹部になった暁には是非、俺を尻で踏んで欲しい、ならないけど。


(いや待てよ、仲間にして親愛度Sにしてから、そうなるように育てる手も)


 しかし俺はこの世界で『悪』になるのはさすがに嫌だ、

 このゲーム自体、この世界が勧善懲悪で成り立っているはずだから……


(配信だったら『ゆるふわ煮わか』さんあたりが『やっちゃれやっちゃれ』って言いそうだけれど!)


「おいら、使い方、わかった!」


 電子パネルや水の綺麗さ、

 詰まった時の『スッポン』なども確認し、

 トイレから出ると思い思いにみんなチェックしはじめた。


「この人形、からくりが気になるわ」


 次女のレイラさん、こうやって生身で見るとより『ママみ』を感じる……


「ねえテイクちゃん、これ、どういう仕組か知ってる?」

「おいら、しらないっ!」


 ゲームのプログラムですっ!!


「この灯りって光魔法かなあ、調べられないかな」


 天井を見上げ興味津々なミラールさん、

 それLED蛍光灯で『光る半導体』と申しましてね、

 などと説明し始めたら他所の世界から来たってバレちゃいそうだ。


「ねえねえテイクくん」

「うんファルちゃん!」


 あ、なぜだかしらないけど、じーーっと僕を見てた末娘ちゃん、

 甘ったるい声、さすが幼女声のプロフェッショナルだ、いや少女だけど。


「テイクくん……何か知ってて見てるよね」


 どきっ!!


(なんて勘が良いんだ……)


 その手の勘の良さはキャラクター的にレイラさんだと思ったんだけどな、

 シナリオを読み返したい所だけど、ここにそんなものは無い、記憶が頼りだ。


「盗賊の、アニキたちから、聞いた!」

「……そういう感じじゃない、たぶん、きっと、ううん……ぜったい」


 いやいやここでバラすのは悪手だ、

 近代技術を良いように利用される案内人にされるだけだ、

 今現在、レベル1のテイクが四姉妹相手に逆らえる訳がない。


(子供の範囲で喋れる内容で、なんとか上手く丸め込まないと!)


「ここ、盗賊のアジト!」

「誰も、いないよ?」

「おいら、ひとりの、アジト!!」


 いん、とりあえず『ここをキャンプ地とする』のポーズを取ろう。


(あっ、上の姉三人が集まってきた)


「テイク」「テイクちゃん」「テイク少年」「……テイクくん」


 疑われてる、

 ぜっったいに、疑われてるううう!!!


「おいら、おいらここに住みたい、お願い、おいらを、ここに」


 顔を見合わせる四姉妹、

 若いけど上三人の中の人はもう結構なおばさ、

 いやいやゲーム自体古いからしょうがないよ俺だって四十九だ、元は。


「テイク、私達を信用してくれ」

「そうよテイクちゃん、私達は、味方よ」

「テイク少年よ、悪いようにはしない」

「……テイクくんって、ひょっとしたら……古代人?!」


 そうきましたかーー!!


(これはむしろ、チャンスかも?)


「し、しらないよ、そこの遺跡で目覚めたとか、実は古代文明とか、おいら、しっらないっ♪」


 あっ、部屋の隅へ四人して行っちゃった!!


(どうしよう、どうなるんだろう、うーーーーーん……)


「おいら、トイレ!」


 とりあえず大きい方をして落ち着こう。


(……こうしていると、元の世界の戻った感覚がする)


 とはいえこの身体のサイズは……

 これから会うであろう四大悪女が実はショタ好きで、

 それはもう口では言えない、なろうやカクヨムで規約違反になるレベルの事をしてくれるとか……!!


(うん、そんなキャラクター設定は、確かなかった!)


 実の弟を大事に思い過ぎて闇落ちしたのならいたけど、

 あれはあれでまだ子供だったはずだ、いや三歳差でも、おねショタはおねショタか?!


(まあいいや、もう出よう)


 手をエアータオル拭いて出る所をじーーーっとファルちゃんが見てるううう!!


「見ないでよっ!」

「……なんか、扱い方、慣れてる」


 そりゃあ公共施設で普通にありますもの、ええ、温風ぶおーーーーっていうのは。


「テイク、話は決まった、一旦我が国へ一緒に行こう」

「えー」

「そして我が国の技術者を集めて調べる、テイクも立ち会ってくれ」


 あーーー追い詰められる。


(どうしよう、乗っ取られたくないよう)


「ここ入れるの、おいらだけ!」

「……本当にそう思うか? 私は一度いた物の物覚えは良くてな」

「うっ」


 ドミニク姉さんの少し強めの言葉が悪女を連想させて、ちょっとドキッとした。


(いかんいかん、本物の悪女が俺を待っている)


「こーこーにー、おーいーらー、すーーむーーー!!」


 床に寝転んでバタバタしてみました、はい。


「レイラ、ミラール、回収だ」

「はいお姉様」「はい姉さん」

「やーーーーーーーーーーー!!!」


 こうしてあっけなくお持ち帰りされましたとさ。


(どうなるどうする、秘密のアジト?!)

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