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❹サリナ視点

 私は、シェリ様が生まれた時からいつも側にいた。

 母がシェリ様の侍女をしていて、シェリ様と私を一緒に育ててくれたため、私たちは姉妹のように育った。


 いつも私には隠し事なく何でも話してくれる、可愛い妹であり、お仕えする主人であり…大切な大切な方だ。

 そんな方が、先日町に行った時に偶然2度も同じ店で会った男性を気にしている様子だ。

 本人は隠しているようだけど、けっこう顔に出るから丸わかりなんだよねぇ。


 今日はシェリ様と、本邸の庭で草取り作業をしている。


「シェリ様〜あのお店であった方、カッコよかったですねぇ〜。いつの間にあんなに仲良く話されるようになったんですかぁ?」


 ニヤニヤと揶揄うような笑みを浮かべた私は、少し使える土魔法で草を土から抜き出す。

 その草をシェリ様が集めていたが…ああ…集めた草を入れたカゴに躓いた…


「仲良くなんてっっ。妹さんが私たちのレースを気に入ってくださって、レースや妹さんのことを少しお話ししてただけよ?」


 顔を赤らめて少し焦ったように答えるシェリ様は、地味な格好をされていても本当に可愛らしい。

 カゴから溢れた草をせっせと拾っている。


「どこかの商家の息子か、下位貴族の令息でしょうねぇ。服の素材はなかなか良い物でしたし、品格がありましたもんねぇ。」

 あんな方に嫁いだら、シェリ様も幸せになれるんだろうなぁ〜と思うも、侯爵夫妻の態度を見るに良い縁組は難しいだろう。


 そこで、シェリ様が フゥッと息を小さく吐いた。


「妹さん想いで、優しい方だと思うわ。結婚するなら、あんな優しい方がいいなって…

 あっ、もちろん、お継母様に言われてることは忘れてないけど…せめて、誠実な人ならと思うわ。」


 ハンナ様は常々、シェリ様には支度金を多く出してくれる家に嫁がせるのだと、嘲笑を浮かべておっしゃっている。侯爵家はマーシャ様か領地にいる従兄弟の方に継がせると。

 直系長子であるのに、シェリ様には継がせる気が侯爵夫妻にはないようだ。


 病気療養をしていることになっているシェリ様にくる縁談は、きっと碌でもない家からのものが多いのだろう。

 シェリ様を大切にしてくださる方でなければ、母と3人国外でもどこへでも逃げる準備はできている。


 願わくば、シェリ様の初恋が叶うといいのだけど…。

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