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ファンタジー小説(仮)  作者: 諸星中央
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「連続でみっつ、ちょっと間を置いてひとつ。部屋の入り口にひとつ置きましょう」


 アナスタシアの言葉に従って、聖術でではなく、直接地面に印を彫り込んで、薄く土を盛った。アナスタシアもそれを見て口角を上げ、同じようにする。印自体から術力は漏れない。手間は大変かかるが、徒党を組む相手にはそれなりの術士もいたはずだ。


「それと、アナスタシア」


 ぼくは作戦を伝えた。



 相手は剣の扱いに長けたものばかりだ。体捌きも上手い。迷路状の閉鎖空間で鉢合わせてはふたりいようが術士には分が悪い。さっきみたいに片方がやられかかるくらいならまだいいほうだろう。ぼくたちはダンジョンのあちらこちらに術で印を刻んでいき、また中に地面に彫り込んだ印も混ぜ、罠で相手にストレスをかけつつ影に潜んだり、あるいは術で土に潜り込んだりして敵を待ち伏せた。こういうのはアナスタシアはお手の物で、暗色の魔法衣で薄暗い洞窟に潜り込み、さっと相手の影に入って暗器で急所を突く。術力は気力体力より派手に使われ尽きやすいので、これまでも彼女はそうして浮いた敵を獲ったり、とどめを刺す役割を担ってきたのだった。よっぽどぼくのほうが怪しいけど、言った手前、白と薄青色を基調とした聖法衣……というか聖職衣から頭巾を取っただけのような目立つ服でできるだけ擬態し、壁の中から手を伸ばしたり、天井から降ったりした。


「! かかったな……」


 罠に対する緊張も増し、敵対者同士での狩り合いも増えた頃、ダンジョンの出入り口と目している小部屋の通路で、ぼくの罠にかかったものを感知した。発動したのはひとつだけ、となりのアナスタシアのものは分からないが、巻き込んだのはふたりで、後続はいないようだった。次の罠にかかる気配はない。


「ふむ」


 そろそろ、聖剣を手にした者がいるだろう。罠にかかってくれれば良いが、戦いにも備えなくてはいけない。


 ぼくは下った先の小部屋へ曲がっていった五人パーティーの姿を確認し、水聖法で水を流し込みながら、小部屋の石柱の配置や部屋の灯りを思い返した。


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