第三話~ラリーナ~
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店から出ると、ラリーナは俺の手を離した。
『よし! メリック付いてきな!』
ドヤ顔でこちらを見た後、ラリーナは駆け足で町のほうへと向かった。
少し苛立つ奴だが、まぁいいか。俺はその後を追いかける。
「なぁ、どこに行くんだ?」
『情報集めだから、いろんな人に聞いて回ってね』
「お、おう」
『特に! ポルボラについて聞いて回って頂戴ね?』
「あぁ、そうだな」
昨日ガーダスさんと会った、町の入り口が見える通りだ。昨日は見渡す限り人がいないほど、人がいなかったが、今日は少し人通りがある。
『じゃあ、私こっちに行くから。メリックは向こう側で聞き込みしてね』
「わかった」
ラリーナはどこかに行ってしまった。
よし、俺も聞き込みするか。
………誰に聞こう。流石にいきなりギャングについて知ってるかなんて聞けないしな…。でも言われた仕事だからちゃんとやるか。
ちょうどすぐそこに一人の男が歩いている。この人に聞いてみよう。
「あ、あのこの町の…ポルボラっていうギャング知ってますか?」
「うん?ポルボラか?まぁ名前は知っているが」
「ほ、本当ですか!?」
「名前だけだってば」
何となくこの人が苦笑いしているように見えた。
「君、あの女の子のお手伝いでもしているかい?すまないが、俺はポルボラについては何も知らないんだ」
「は、はい。そうですか…」
俺はその後も何度か聞いて回ってみたが、誰一人ポルボラについて詳しく知っている人はいなかった。恐らく一般人とこのギャングの関わりは薄そうだ。
うーんこういった一般人との関わりはあんまり意味なさそうだな。意味のないことを続けても仕方なさそうだし、一旦戻るか。
ガーダスさんの所に戻るとラリーナもすでに帰ってきていた。どうやら下の階にはラリーナしかいないようだ。数少ない机の上に座っている。
『あ、お帰り』
「ただいま」
『メリック? どうだった?何か情報は?』
「何にもない。二十人ぐらいには聞いたけど誰も知らないみたいだよ」
『うーん、そうだよねぇ。私さ、もうこの町のほとんどの人に聞いたんだけど誰も知らないっていうんだよ!? 可笑しくない? 流石に誰も知らないって変だよね?』
「知ってたとしても――答えてくれるとは限らないぞ」
『まぁそうだけど、全員がそうとは限らないでしょ? 私は人を信じてるから!』
「あっそ」
『なんでそんなに素気ないのよ! もっと明るく振舞えないの? そんなんじゃいつまでも下僕だよ?』
「お前、まだ俺のこと下僕とか言ってんのかよ!? 俺は一回もなるなんていってねぇぞ! 大体なぁ!俺はガーダスさんに頼まれてお前を手伝ってんだぞ? お前を手伝いたくて手伝ってんじゃねぇからな!?」
『だから何よ!? 私のお手伝いには変わりないじゃない! それならちゃんと私の言うこと聞いてよ!』
「お前は、お手伝いのことを何でも言うこと聞く人形だとでも言いたいのか??」
『そんなこと言ってない!!』
「おい、二人とも」
階段のドアの近くにガーダスさんがいた。呆れたような表情でこちらを見つめている。
「喧嘩はよせ、それにラリーナ、君にはメリックと仲良くしろって言っただろう? 君のほうが先輩なんだからしっかりしたほうがいいんじゃないか?」
『私は、メリックに教えてるだけ、いちいち反論してくるしてくるから喧嘩みたいになるのよ!』
「いや、この人俺のこと下僕だとか言ってくるんですよ。何とかしてくれませんか?」
『何とかって何よ!!』
ガーダスさんはすこし困ったような顔をした。
「まぁ、ラリーナ…下僕だとか言うのはやめたらどうだ…? 多分、それで全部解決するぞ」
『はぁ………。もういい! わかったよ! 下僕って言うのやめる! それでいいんでしょ??』
「あぁ、そうだ。ありがとう」
意外と折れるのが早かったな。言い聞かせてくれたガーダスさんに俺は頭を下げた。
「あ、そうだ。二人とも、買い出しに行ってくれないか? 俺はこの後店の掃除をしなくちゃいけない。ここに書いてあるのを買ってきてくれ」
『嫌だ!』
「俺は別に構いませんけど…」
「お互いあんまり合わない性格かもしれないが――仲良くしてくれないか?」
『メリックが一人で行けばいいでしょ?』
「メリックはこの町のことを全く知らないから、ラリーナ、君が付いて行ってやってくれないか?」
『わかったわよ! はぁ、今日は私が折れてばっかり…』
ラリーナは少し悔しそうな顔をしていたが、自身の感情を振り払うようにガーダスさんが持っていた紙を取った。
『じゃあ、道案内するから。荷物はメリックが持ってね』
「はいよ」
ラリーナはそのまま何も言わず店を出た。俺はその後に続きながら少しの間店の方へと振り返った。
「い、行ってきます」
ガーダスさんはもう掃除を始めている。どうやら聞こえていないようだ。




