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第二話 ~メモ~

誤字などがあったらご報告お願いします。

窓から差し込む光が徐々に橙色へと染まっていく。もうすぐ夕暮れだろうかと思いながら窓の方を眺ようとした時、日記のような形をしたものをラリーナから渡される。


『メリック、はいこれ、メモだから』

「どうも」


 手のひらよりも少し大きいサイズでタイトルにはメモとだけ書かれてある。そのメモは何度も開かれたり閉じられたりした痕跡があり、ところどころに折れ曲がった痕を反対側に折り曲げて直そうとした痕が見受けられた。


『まだ始めて一週間しかたってないから、全然集めきれてないけどちゃんと読んでおいてね?』

「何回も言わなくてもわかってるてば」


 彼女はそのまま上の階へと上がって行った。


「一通り済んだみたいだな。メリック、部屋はもう勝手に使っていいぞ。ただし、私が寝た後はあまり騒がないでくれよ?」

「あ、はい! 勿論です」


 渡されたメモでも読もうか…と思ったが、今日はもう疲れた。少し早いがもう寝よう。そう思って俺は階段を登って上の階へと行こうとした時、上から声がする。


『質問があったらちゃんと私のところに来てよ! 明日も情報を集めるからちゃんと起きるんだよ?』

「はいはい」

『はいは一回でしょ!』


 ラリーナはそう言い放つと、階段から一番近い部屋のドアを開けて中へと入って行った。

 メモは明日読もうと思ったが…さらっと目を通してから寝るかぁ。明日から情報を集めるなら明日読む暇はあまりなさそうだ。

 

 ドアノブに手を掛けてドアを開ける。その部屋は少し縦に広く、机と椅子とベッドそしてクローゼット以外何も置いていない。床も壁も机も椅子もベッドの柱もすべて同じ木製であり、統一感を感じられる。また、奥には一つ窓が付いている。

 ふぅ…と息をついて俺は椅子に座った。

 少し息を休めてからメモを開く。果たしてどれほどの量のメモが書かれているのだろうか…。


 俺は何度もメモを開き、その内容を何度も確認した。何故か? メモはたった三ページしか書かれていないのだ。しかも箇条書きかつ殴り書きだ。す、少ない…少なすぎないか…? 一週間もの間に集めた情報はこれだけだったのか? まぁいい、一度読んでみよう。


 ”イースリア”

 元々美しい町だったイースリア。しかし三年前、バラ・デ・プラッタとポルボラと呼ばれる二つのギャングによる潰し合いがこの町で起きる。どうやらポルボラと呼ばれるギャングの圧勝だったらしい。

 この三年でポルボラはイースリア全体に勢力を広げた。なのに三年の間、国の警備隊は動かなかった。多分これからも動かない。

 三年前の抗争で何人もの住民が巻き込まれ何人もの死人が出た。その影響の所為か、住民がかなり減ってしまい、今は浮浪者や孤児などが空き家に住み着いたりしている。

 この町の治安を回復しなければならない。前の美しいイースリアを取り戻す。


 ”ポルボラ”

 この町に拠点を置いているギャング。裏で麻薬を流している噂や、孤児などを攫っている噂がある。

 情報を集めるのが非常に難しい。このギャングのボスがどういった人なのかについて情報が一切出回っていない。


 これだけ…か。だが今の状況は大体掴めた。そういえば今日はギャングの抗争があった日なんだな。そりゃあ、まぁ―不吉だよな……。

 少し視界がふらついたかと思ったら、ガクッ! と体が揺れ、それに返事するように机がガタッ! と鳴る。俺はそのまま机に吸い込まれるように突っ伏して寝てしまった。

 

 * *


 ハッと目が覚めた。眠ってしまっていたのか? 一つしかない窓から朝日が差し込んでくる。どうやらもう朝のようだ。取り敢えず着替えようと思い、俺はクローゼットを開けた。

 ガーダスさんが言っていた通り、クローゼットには少し古めの服とズボンが何着も入っている。

 適当なシャツとズボンを取り、付いている埃を払ってシャツを着てみたが、サイズが合わない。このシャツはどう見ても俺の胴体より一回り大きい…。ズボンはバンドが通っているので何とかはなる。


 あ、そういやこのメモ返したほうがいいのか? 俺が持っていても仕方なさそうだし、返しておくか。

 ドアを開け、二つ隣の部屋へと渡されたメモを持って向かう。

 

 ドアをノックして俺は呼びかける。


「おーい、ラリーナ、昨日ののメモ返しに来たぞ」


 少しバタバタと音がした後、ドアが開く。


『あぁどうも』


 そのままメモを奪うように取ってドアを閉めた。相変わらず失礼な奴だな。

 一旦戻ろうと自分の部屋に向かった時、またドアが開く音がする。


『メリック! さっさと行くよ!』

「もう行くのか?」

『当たり前でしょ! ほら、行くよ!』

「待て待て、俺何も持ってないぞ?」

『いいから行くよ!』

「おい待てって――」


 そう言って俺の腕を引っ張っていく。階段で躓きそうになったのもお構いなしといわんばかりに引っ張っていく。


 下の階にはガーダスさんがカウンター席に座っていた。俺たちを見て優しそうに笑っている。


 店を出る寸前、ラリーナがこちらに振り返る。


『いってきます!』


 そう言ったラリーナに、俺も続いて振り返る。


「い、行ってきます」

「おう、いってらっしゃい」


 ガーダスさんが微笑みを浮かべながら答えた。

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