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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅳ  作者: 椎家 友妻
第三話 紳士クンと乙女の集い
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38 ふ~ん・・・・・・

 尚の屋敷から帰る道すがら、紳士クンは静香にシミジミとした口調で言った。

 「よかったですね、尚さんや真子さんと仲良しになれて」

 それに対し、静香もシミジミとした口調でこう返す。

 「はい。これも乙子さんのおかげです。本当に、ありがとうございます」

 「そんな、僕はキッカケを作っただけで、

尚さん達と仲良しになれたのは、静香さんの人柄ですよ。

尚さんや真子さんは、本当に自分が好きになった人としか、

お友達にならない感じじゃないですか」

 「そう、なんでしょうか。

私、尚さんや真子さんに、好きになってもらえたんでしょうか?」

 「きっとそうだと思います」

 「もしそうなら、嬉しいです・・・・・・」

 そしてしばらく沈黙が続いた後、再び静香がポツリと口を開いた。

 「ところで・・・・・・」

 「はい?」

 紳士クンが聞き返すと、静香は少しばかり、

言葉にトゲを含ませたような調子で言った。

 「乙子さんは、あの、尚さんのように、

その、グラマーな女性が、えと、好み、なんですか?」

 「えぇっ?な、何でいきなりそんな事を聞くんですか?」

 「乙子さんはバスケットの試合をしている時、

尚さんと体がくっつくたびに、その、変な気持ちになって、

試合どころではなかったのでしょう?

真子さんと体がくっついても、そんな風にはならなかったのに」

 「なぁっ⁉そ、そ、それは、違う!

・・・・・・事も、ないんですか・・・・・・

と、とにかく!

だからと言って、僕が尚さんみたいな女性が好みという訳ではありません!

断じて!」

 「そうなんですか?」

 「そうなんです!」

 「ふ~ん・・・・・・」

 そして静香はそれ以上何も言わず、紳士クンもそれ以上何も言う事はできなかった。

 (な、何なんだろう、一体・・・・・・)

 静香がどういうつもりでそういう事を言ったのか、

紳士クンには全く見当がつかなかった。

一方静香は静香で、どうして自分がそういう事を言ったのか、

イマイチよく分からなかった。

 そんな二人を優しく見守るように、

赤い夕陽が、

西の空にぼんやりと浮かんでいた。



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