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29 ある意味仙道より手ごわい
「お二人とも、大丈夫ですか?」
向かい合って尻モチをついた紳士クンと静香に、尚が心配そうに声をかける。
それに対して静香は、
「大丈夫です、ありがとう」
と声を返すが、紳士クンは
「だ、大丈夫、です」
と言ったものの、まともに尚の方を見る事ができなかった。
その後も紳士クンは尚のおっぱいディフェンス、いや、執拗なディフェンスと、
桃尻ドリブル、いや、粘り強いドリブルに文字通り骨抜きにされ、
正直、バスケの試合どころではなくなっていた。
おまけにチームメイトの静香の動きまで邪魔してしまう始末で、
ボールは簡単に奪われ、真子にいいように点を決められ、
気がつけばチーム図書館は一点も取れないまま、
チームお金持ちに八点差をつけられてしまったのだった。
「ちょっとちょっと、これでも手加減してあげてるのよ?
もう少し頑張ってくれないと、ゲームにならないじゃないの」
八点目を決めた真子はそう言いながらも、顔はこれ以上ない程にご満悦だった。
そんな中、いつになく大きな声で、
「タイムアウト!お願いします!」
と言ったのは静香だった。




