8 紳士クンは浮かれると鼻がヒクヒクする
伴兆太郎の言葉に、紳士クンの心は更にフワフワ浮き上がり、
今は成層圏に突入しそうな勢いだ。
するとそこに、紳士クンの知り合いの数多の女子生徒達が現れて、
紳士クンを取り囲んだ。
クラスメイトの樫増笑美や
戸入野華子や
日都好子や
凄木令奈。
撫子のクラスメイトで紳士クンの友達でもある
迚摸静香に
日鳥希里。
生徒会長の凄木令に
副会長の鎌井太刀。
占い姉妹の孔田野香子と
孔田野水落衣。
同級生の針須尚に
剛木真子。
そして教会で出会った幽霊の布由愁衣(何故か今は足がある)等が、
ウットリした顔で紳士クンに黄色い声を上げる。
「キャーッ♡紳士く~ん♡」
「紳士クンほど男らしくてたくましい人は居ないわ♡」
「勇敢で誇り高くて腕っ節が強い♡」
「まさに男の中の男だわ♡」
数多の女子に囲まれ、口々にほめそやされた日には、
流石の紳士クンも鼻をピクピクさせずにはいられなかった
(紳士クンは心が浮かれポンチになるとこうなる)
が、それを周りに悟られてはいけないと、必死に平静をよそおった。
紳士クンの考える男らしい男とは、
女の子たちに囲まれてキャアキャア言われても、
鼻ひとつピクピクさせずに涼しい顔をしているのだ。