表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紳士クンの、割と不本意な日々Ⅳ  作者: 椎家 友妻
第三話 紳士クンと乙女の集い
78/147

26 四者四葉

 ルールはできるだけシンプルにするため、

一ゴール一点で、スリーポイントは無し。

コートの半面を使い、攻撃側のチームが一点取るか、

守備側のチームがボールを奪ったら、攻守を交代してゲームを再開する。

その中で先に十点取った方が勝ちとなる。

 尚は純粋に楽しそうにニコニコし、

真子は明らかに何かを悪だくみをしている様子でニヤニヤし、

紳士クンは無事に事が運びますようにという様子で苦笑いを浮かべ、

静香はとにかく自信なさげにおどおどと目を泳がせている。

四者四様、様々な思いと表情の中、試合の火蓋が切って落とされた。

 尚と紳士クンがジャンケンをした結果、

最初の攻撃は紳士クンと静香のチーム(以下、チーム図書館と記す)となり、

守備は尚と真子のチーム(以下、チームお金持ちと記す)になった。

最初に紳士クンがボールを持ち、右手でドリブルをしながらゴールの輪っかを目指す。

チームメイトの静香はゴール前でパスをもらう為に動き回っているが、

真子がピッタリと張り付くようにマークして、パスコースを完全に消している。

そしてボールを持つ紳士クンの前には、

 「ここは通しません事よ!」

 と、やる気満々の尚が、両手を広げて立ちふさがった。

紳士クンはドリブルをしながら左右に揺さぶりをかけるが、

尚のスラッと長い手足にはばまれ、そこを突破する事ができない。

そんな中尚は紳士クンの隙を狙って、

「そこですわ!」と声を上げ、紳士クンのボールに手を伸ばす。

それを紳士クンは反射的にかわし、尚に背を向けて何とかボールをキープした。

しかし尚はあきらめる事なく、後ろから紳士クンにおおいかぶさるように、

手元のボールを狙って手を伸ばして来る。

 (こ、これじゃあ静香さんにパスが出せないし、ドリブルでかわす事もできない!)

 と、紳士クンが何とかボールを取られまいと苦心していた、その時だった。


 ポヨン。


 紳士クンの背中に、それはそれはやわらかく、ふくよかで幸福に満ちた感触が広がった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ