22 真子、攻略完了
「あんた、何をさり気なく私と打ち解けてる感じを出してるのよ?
私は静香お姉様はもちろん、あんたと仲良しになる気もさらさらないんだからね?
なのにどうして私とお嬢様の事を根掘り葉掘り聞き出しているの?」
「えぇ?いや、根掘り葉掘り聞き出したというより、
剛木さんの方から教えてくれたんじゃあ・・・・・・」
「何ですって?」
「いえ、何でも、ないです・・・・・・」
紳士クンがしおしおとそう言うと、
真子はプイッとソッポを向き、極めて小さい声で言った。
「――――――で、いいわよ」
「え?今、何て?」
紳士クンが悪気なく聞き直すと、
真子は紳士クンの方に向き直り、ツッケンドンに言った。
「だから!真子でいいって言ったのよ!剛木じゃあ呼びにくいでしょう⁉」
「あ、わ、わかりました。これからは、その、真子さんって、呼びますね。
だから僕の事も、乙子って呼んでください」
「言われるまでもないわよ!」
等と紳士クンと真子が言い合っていると、
いつの間にかそばまで歩み寄って来た尚が、からかうように言った。
「あらあら、真子と乙子さんもすっかり仲良しになったみたいですね。
真子はこの通り不器用でとっつきにくいから、
なかなかお友達もできないんですが、流石は乙子さんですね」
「仲良くなんかなってないわよ!
それに友達ができないのはお互いさまでしょうが!」
「あら、私は進んで友達を作らないだけよ。
照れ屋で恥ずかしがり屋の真子とは事情が違うの」
「照れ屋とか言うな!」
「あ、あはは・・・・・・」
尚と真子の言い合いに挟まれ、苦笑いを浮かべる紳士クン。
その様子を、少し離れた所から、静香がクスクス笑いながら眺めていた。
それに気付いた真子はさも腹立たしそうに歯ぎしりをしたが、
ふと、何かを思いついたようにニヤリとほほ笑み、改まった口調で尚にこう切り出した。
「お嬢様、私、お客様(、、、)をおもてなしする為のいいアイディアを思いつきました」
真子のその表情と口ぶりから、
そのいいアイディアとは明らかに悪だくみの部類に入るモノだと尚はすぐに悟ったが、
それに乗るのも面白いと判断したらしい尚は、迷う事無くこう言った。
「何か面白い趣向を思いついたのね。いいわよ真子。
真子のアイディアで、お客様をおもてなししてさしあげなさい」
その言葉を聞いた真子は、さも愉快そうに紳士クンと静香を交互に見やる。
その視線にただならぬイタズラ心を感じ取った紳士クンは、
大きな不安を感じない訳にはいかなかった。
(い、一体真子さんは、何を思いついたんだろう・・・・・・)




